東京球場

 

廿楽順治

 
 

その頃
才能というものを思っていた

落ちてくる球の影を
ぼくは
きちんと受けられるだろうか
とか

(ばかだよね)

あのじいさんたちは
捨てられた野手のように構えながら
すでに
腰をあげることができないでいた

落ちきってしまった
子どもらに
どんな
まぶしい地名をつけてやるか

見あげたまま
あやまって
かわいいぼくの目玉を
踏んでしまう

じいさんたちは
おかしいくらい
才能のないひとたちであった

 

 

 

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