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今井義行
萌黄色の花が、あつまっている。
萌黄色の着物の端切れのように。
あの方とはもう逢わないだろう。
僕は、もう60歳に達してしまったし、
あの方は、後期高齢者になる。
慈しみあったことも、あった。
狂ったようにいさかいあったこともあった。
でも、手と手は温かかった。
あの方の手の方が、温かかった。
僕は、もう、平和が、いい──。
墓が、2つ並ばなくていい。
萌黄色の花が、あつまっている。
そのときに、思い出されればいい。
(2024/04/20 グループホームにて。)