一条美由紀
落ちていく
螺旋を描いて誰も追いつけない深淵へ
流れていく
身体をうねらせて
生命の源に
溶けてゆく
不安は忍び寄る
囁く声は優しいのに
目の奥に淡く光る真実はなんの味かわからない
安心して暮らせる世界はないと神は言う
喘ぐ彼女の願いは傲慢と欲にまみれ
振り返る彼の目的は溶けて流れてしまった
小さな幸せがあれば満足だと思った時を
思い出せなくなってる
上目遣いでニャーとなく子猫のように
素直なわがまま娘に戻れたらいいな
青空にボールを追って遊び疲れてしまう
赤ん坊のような男の子に変われたらいいな