光の疵 その目を閉じてふたたび開くこと

 

芦田みゆき

 

 

2008年新宿。
あたしはカメラをもって地下道に座り込んでいる。

 

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あたしはもう何年も身近な人以外にあっていなかった。
カメラを持てば、
カメラを持ってシャッターを切ることでだったら、
外側に触れることができるかもしれない。

 

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この年、あたしは小さなカメラを買った。

 

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地下道の隅に座りこみ、
カメラのモニターをのぞき込む。
たくさんの足が通り過ぎていく。
そうやってあたしは、
歩行を取り戻した。

 

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瞬きをするように、
シャッターを切る。

 

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新宿の皮フは破れそうに震えていた。

 

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