光の疵 その目を閉じてふたたび開くこと 投稿日時: 2015年7月5日 投稿者: michio sato 芦田みゆき 2008年新宿。 あたしはカメラをもって地下道に座り込んでいる。 あたしはもう何年も身近な人以外にあっていなかった。 カメラを持てば、 カメラを持ってシャッターを切ることでだったら、 外側に触れることができるかもしれない。 この年、あたしは小さなカメラを買った。 地下道の隅に座りこみ、 カメラのモニターをのぞき込む。 たくさんの足が通り過ぎていく。 そうやってあたしは、 歩行を取り戻した。 瞬きをするように、 シャッターを切る。 新宿の皮フは破れそうに震えていた。