爽生ハム
三つ子になったんだけど
光らない夜に集うから
ひとつがふたつに攻撃される
一人が受け皿になって
二人がお湯を注ぐ
沸点が尋常じゃなくて
溺れそうな一個人が
浅瀬に打ちあげられる
ここで眠るのは容易いが
眠らない事が人格の形成に役立つのだと
言いきかしながら
自由に彼岸にひれ伏す
彼岸に立つ女子大生は
留学を求めていて
母国語が亡くなるんだと
危機を抱いている
日本語がいなくなったら
私のアイデンティティは
どうなるんだと
私は思います
と彼女は言った
僕は日本語と字幕の
相互関係に甘んじれば
いいんじゃないかと
無理を言った
言語も侵略だから
と同時に
言語は私達の故郷だからと
私達は無自覚に誓った
身体と発語にタイムラグが
あったって
私達は滑稽に見えるから
これが異国語のタイムラグなの