月光に 間男(まぶ)を探しし 霊揺るる 投稿日時: 2020年10月8日 投稿者: michio sato 一条美由紀 鬱屈した声は灰色の染みとなって喉のあたりに潜んでいた。 ある時そのシミはヒラリと落ちてきて、 私の行先でニヤニヤしながら待っていた。 ごめんなさいと言う。 ごめんなさいは山彦となって揺れて消えた。 嫌いだわと言う。 嫌いだわは花びらとなって目に突き刺さった。 枝をつたう滴がキラと身体をすり抜ける。 文字は玩具の喜びに満ちて、 囁きはベッドになり、 わたしはサナギに変化し、 遠い時の果てで目覚める。