月光に 間男(まぶ)を探しし 霊揺るる

 

一条美由紀

 
 


鬱屈した声は灰色の染みとなって喉のあたりに潜んでいた。
ある時そのシミはヒラリと落ちてきて、
私の行先でニヤニヤしながら待っていた。

 


ごめんなさいと言う。
ごめんなさいは山彦となって揺れて消えた。
嫌いだわと言う。
嫌いだわは花びらとなって目に突き刺さった。

 


枝をつたう滴がキラと身体をすり抜ける。
文字は玩具の喜びに満ちて、
囁きはベッドになり、
わたしはサナギに変化し、
遠い時の果てで目覚める。

 

 

 

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