日常のさざなみは強く

 

ヒヨコブタ

 
 

わたしの日常はざわめきつつも守られているのか
どうしてふつうを生きていられるのだろうか
なぜなにどうしてが重なって
ぷつんと糸が切れるような

このような世界を想像しなかったわたしは
平和にとぼけて生きていたのだろか
世界に目を向けていればその兆候に気がついたのだろうか
そしてできたことはあったのだろうか
また今できることは何なのだろうか

ベビーカーが広場に並ぶ
なくなった子供の数だという
避難して駆け込む先は地下
それすらも守られていないばしょ
大江戸線ほど深いという
まだまだ寒いだろう
そこで夜が明けるのを待つ日々のひとのこころをわたしは知らない
知った気になることはゆるさない

かつて子どもだったわたしは
先祖の墓参りすら許されぬことを悲しんだ
その国にもその人々にも先祖がいるだろうに

せめてもの墓参り
そこで暮らした日々に思いを馳せる日
それが政治により叶わぬ年があることに
ときに苛立った

不意をつかれたような戦争だ
脅威というのは別のところにあると思っていた

なんの理由があって祖国を暮らしを生活を奪う
根こそぎ破壊しそれでも足りずに命まで奪うのだ

わたしは考えることをときにやめる
その人たちが救われる道を考えることも
疲れて横たわる
体を横たえて思考をとめる

誰もが親族を亡くしたあの戦争は
ついこの前だと大人になってから思う
こどもの頃には大昔だと思っていた
田舎町には関係ないと思っていた

それがどうだろう
ただ語られないうちに時が進んだだけだったとは
もうこどもでいられないわたしは
知ることを選び
知ることを拒絶もする

ずるいと思う大人には
わたしはなりたくないのに

桜が咲き誇る
かなしい気持ちでみている
桜を穏やかに眺めていたい
ふたつの気持ちがどこにもいかない
それらを持って今日を明日を生きるのだと

 

 

 

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