夏の終わりに迎えた柴犬

 

みわ はるか

 
 

数週間前、我が家に生後3ヵ月程の柴犬がやってきた。

昔から犬がいる生活をしており、以前から飼いたいなと考えていた。

今年の6月からペットに対する法律が厳しくなった。

ICチップ埋め込みの義務化、1匹に対するゲージの大きさはある一定以上に・・・・・・等々。

多頭飼育やペットを捨てることを防ぐための改正だ。

さらに、このコロナ化で在宅ワークが増え動物を飼う人が増え、ペットの価格が高騰した。

そんなこんなで、犬を飼うことにちょっと尻込みをしていたのだけれど、ちょうど生まれましたよとの連絡をブリーダーさんから受けえいやっと決意したのだ。

 

家の中で飼うため、ゲージ、フローリングの上に敷くマット、尿とりシーツ、餌、空気清浄機、考えることはたくさんだ。

家の外でしか犬を飼った経験がないので思った以上に頭を悩ませた。

人間と犬とのスペースを完全に分けたかったので、狭い賃貸の1部屋を犬用に捧げることにした。

その代償で、わたしがPC作業をしたり本を読んだりするスペースは畳1畳程度となってしまったのだが・・・・。

受け渡し日前日の夜になんとか犬用スペースが完成した。

なんともまあ立派な贅沢な広さだなと見惚れてしまった。

かわいい柴のためだ、わたしは狭いスペースで我慢しようと頭をポリポリ掻いた。

 

手のひらにのるくらいの柴を予定通り翌日迎えた。

わりと鈍感な性格の柴を選んだつもりだったため、案の定すぐに我が家に馴染んでいった。

おそるおそる色んな所を嗅ぎまわっていたが、数時間後には元気いっぱい走り回るほどとなった。

くりくりした何の疑いのない目、焦げ茶色の整った毛並み、ピンとたったきれいな三角形の耳。

ずーっと見ていたくなるほどにかわいかった。

これ以上大きくならなくていいからねと何度も話しかけたが、小首をかしげられてしまった。

 

しかし、大変なのはこれからだった。

おしっこや便は指定した所ではしない、甘噛みが結構痛い、フローリングを守るためのマットをかじりだす・・・・・。

まだ1才にもなっていないのだから当然なのかもしれないのだが、何度もため息が出た。

特に朝の時間のない時に粗相をされるとたまったものではなかった。

朝の弱いわたしは、いつもより早目におきるようにはしたものの、てんやわんやであっという間に時間が過ぎていった。

イライラがマックスに溜まると、どうしても柴に当たってしまって大声をあげることもあった。

きゅーんと悲しい鳴き声を聞くたびに、しまったなと後悔した。

日にちを重ねると、以前より容量よく世話ができるようになり自分にも余裕がでてきた。

少しずつ大きくなる体を見ていると逞しさも感じた。

わたしが出かけるときは、カチャリと玄関が閉まるまで、きちんとお座りをして見送ってくれる。

帰宅したときには、やはりカチャリという玄関の音を聞きつけお座りで迎えてくれる。

洋犬のようにべたべた甘えてくることはないが、忠実で誠実だ。

そこがまた色々悪いことをしても、まあ仕方ないかと許してしまう所以なのかもしれない。

 

もうすぐ、3回目のワクチンも打ち終わる。

狂犬病やフィラリアの注射も打ち終われば、外に連れ出せる。

彼女の視野が格段に広がることは間違いない。

好奇心旺盛な彼女とこれから色んな経験ができることを楽しみに、今日も朝から尿と便の処理をしている。

 

 

 

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