一条美由紀
<ある殺人者のポエム>
小さな箱の中から覗き見てるような
自分と無関係に感じる世間
他人ごとのような僕の身体は
冷えた炎を放っていた
君の見開いた目に熱く流れる血の映像が浮かぶ
ピクピク動くデコネイルがとても愛おしい
甘ったるい歌詞を切り刻み
ナイフを舐めた時に走る絶頂感を
今君に教えたい
すべてを話せど足らず
すべてを聞けどわからず
捨てたものを思い出して
また捨てる
複雑さはいつまでも簡易にならない
昨日の北の空は
波立っていた
私は彼方までは泳げなかった
ただ恨めしく仰ぎ見て嫉妬するだけだった
人は叶えられないものほど
より強く望み
死してさらに肉体に求める