ピコ・大東洋ミランドラ
見捨てられた人々がいたし、いるでしょう
以前、わたしは、トランプ大統領のことを「金髪の花札男」として詩に書いたことがありました。
現役の大統領が、”自身のために” SNSを使って様々な批判やデマや嘘を発信し分断を利用して熱狂的な支持者を増やし、遂には議会を襲撃させるまでなりました。
大統領選に勝利したバイデン氏は1月20日の就任式で正式にアメリカの新大統領となります。
就任式が行われるワシントンの議事堂前の広場や周辺は有刺鉄線やコンクリートブロックなどで塞がれて立ち入りが制限され、2万5000人もの州兵が動員されているのだそうです。
アメリカにはコロナとともに分断が渦巻いています。
就任式の2日後、1月22日に「核兵器禁止条約」が発効されます。
「核兵器禁止条約」は、
「あらゆる核兵器の開発、実験、生産、保有、使用を許さず、核で威嚇することも禁じた初めての国際条約。国連加盟国の6割にあたる122カ国・地域の賛成で2017年7月に採択された。批准が50カ国・地域に達したため、1月22日に法的な効力を発する。核軍縮の交渉義務を課す代わりに米ロ英仏中の5カ国だけに核保有を認めている核不拡散条約(NPT)とは発想が異なり、核兵器そのものを非人道的で不法と見なす。」 *
いままではトランプ大統領が核のボタンを押す(核兵器を使った攻撃命令を出す)権限を持っていました。
バイデン新大統領に代わったとしても、また別の大統領に代わったとしても、
「不安定な大統領」が核兵器を使った攻撃命令を出すことを防ぐための体制を整えるべきなのだと思います。
バイデン新大統はオバマ政権が掲げた「核兵器なき世界」の理念を継承し「核兵器のない世界に近づくよう取り組む」と言明しているということです。
広島と長崎に原子爆弾を落とされた唯一の被爆国であるにも関わらず、
日本政府は日本がアメリカの「核の傘」の中にあることを理由に「核兵器禁止条約」を批准しないという。
広島と長崎の被爆者の方たちの長く厳しい被曝後遺症による苦しみの生と死を受け止めて、
日本政府は「核兵器禁止条約」を批准し、核保有国に対して核兵器廃絶を強く要求するべき立場にあるのだと思います。
日本政府が「核兵器禁止条約」を批准できないことは、被爆者の方たちに対して恥ずべきことだと思います。
かつて、
長崎の坂の多い街を歩いたことがありました。
長崎の坂の上では舟越保武の26聖人の像を見ました。
空に浮かぶように聖人たちが並んでいたました。
聖人たちのいる公園には野良猫たちもたくさんいました。
原爆資料館では原爆で吹き飛んだ石の天使の首を見ました。
原子爆弾ファットマンの丸みのある模型も見ました。
船の汽笛も聴きました。
教会の鐘の鳴るのを聴きました。
長崎では一瞬にして7万4千人が亡くなったそうです。
たくさんの被爆者たちが原爆後遺症に苦しみ亡くなっていったでしょう。
見捨てられた人々がいたし、いるでしょう。
日本にも、世界にも、たくさんの見捨てられた人々がいたし、いるでしょう。
呆れてものが言えません。
ほとんど言葉がありません。
* 朝日新聞 2021年1月17日朝刊の記事より引用させていただきました。
作画解説 さとう三千魚