西の山が
薄緑に浮かんで空は明るい水色となった
日射しを集めて
明るくなるものと消えさるものがいた
まだ生き延びて
夜の足の表で血を吸う蚊がいた
深夜に白鷺が叫び声をあげていた
空は明るい水色となった
西の山が薄緑に浮かんで空は明るい水色となった
西の山が
薄緑に浮かんで空は明るい水色となった
日射しを集めて
明るくなるものと消えさるものがいた
まだ生き延びて
夜の足の表で血を吸う蚊がいた
深夜に白鷺が叫び声をあげていた
空は明るい水色となった
西の山が薄緑に浮かんで空は明るい水色となった
白い花が
揺れるだろう
その根元で
虫たちが鳴いているだろう
ハクセキレイも澄みわたった声で鳴くだろう
港で水面は
空の色を映すだろう
突堤の向こうに
空と海がひろがっている
そして夜には
満天に星々がひかるだろう
たぶん
きみとは共有できない
きみには
なにも話したくない
きみには
触れたくもない
きみは
全てを買えばいい
具体的なものと
抽象的なものの全てを買えばいい
デパートには
全てが売られています
全てが売られています
そのヒトは
片隅にいた
片隅に咲いていた
白いタマスダレの
花の
片隅に咲いていた
モコの
足裏の
匂いをかいだ
モコの香ばしい匂いをかいだ
大好きです
大好きです
風がふいていった
モコは公園の芝生のうえを走っていった
明け方
少女が手淫していた
少女がひとり手淫しているのだった
ここ
ここなの
少女はいった
夢のなかでここなのといった
たしかにそこなのかもしれない
たしかにそこなのかもしれない
でもそこは
夢のなかの少女のここなのだ
少女のここはそこにあるのか
ここはそこか
地上では
やさしくできなかった
かもしれない
すべてのものたちが
二重にみえて
虫たちの声が地上をうずめていた
虹がたつのをみた
さよならといった
さよならといった
すべてのものが流れていった
星がひかっていた
いま富山にいる荒井くんから
深夜に電話があり
ドコモのiPhoneについて話して
富山のホタルイカの煮干を買ってきてほしいとつたえた
物理学者の神の数式から
コトバの叙情性について話がおよんだ
でも階下でモコがなくので電話を切ったのだ
木も木材も森も無い
昼に
突堤をみていました
突堤のむこうに
海と空が水平にひろがっていました
磯ヒヨドリが鳴いて
カモメたちが飛んでいました
深夜
虫たちの声がすべてを埋めています
突堤も
海も空も磯ヒヨドリも
カモメたちも
消えて
いまは闇にひろがる声の生地です
この世がデコボコにみえると
そのヒトはいっていた
この世がデコボコにみえると
よりよい
なんてない
よりよいなんてないだろう
この世がデコボコにみえるヒトには
あの世しかないだろう
この世のデコボコは
あの世だろう