ぶどう園

 

廿楽順治

 
 

ぶどう園に来た若いひとを
ころしてしまった

(旅びとだったのだ)

この旅の記憶を頭石として
隅に置いた

「わたしたちの目には不思議に見える」

ほどなくわたしたちも
ころされるだろう

ぶどう園はゆれている

その譬えは
もうぶどうの陰にかえしなさい
旅はおわった

声は
石のように
ふるえておればよい

 

 

 

そこにいた

 
 

さとう三千魚

 

憶えて
ない

ほとんど

憶えて
いない

日曜日だったはずだった
昨日は

海浜公園までクルマで行った
釣り人たちを眺めていた

海を
眺めていた

光ってた

夕方に
女と

餃子の店に行って食べた
ビールを飲んだ

帰って
ソファーで

時代劇をみた

眠って
ソファーで目覚めた

歯を磨いてベッドで眠った
それから

今朝
目覚めた

女と墓参に行った
帰りに郵便局に寄った

帰って
珈琲を飲んだ

食パンを焼いてバターを塗った

午後に
小川の傍をすこし歩いた

小鳥が桜の枝にいた
そこにいた

うぐいす色の
逃げなかった

青空に桜の花芽が膨らんでいた

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

脂肪の塊

 

工藤冬里

 
 

低空飛行の機体が風光明媚な岬(三崎半島辺り)を迂回して空港(羽田辺り)に帰り着こうとするが堪らず着水する
濡れて
冷たくて
いやだなあ
躰の水甕は毀れて
in other words
生まれながらの泥棒はいない
立ち向かえる装備を着けて!
幅の広いベルト、
バックルの大きい、、
要らんかくめいの幟が立って損な娼婦の塊がゴロゴロ
いろんな脂肪がある
牛スジの脂肪があり
サバのドコサヘキサエン酸があり
モオパッサンの脂肪があり
星の脂肪がある
襟裳の岬では飽和脂肪酸を暖炉で燃やしているらしい
其れにしても

 

 

 

#poetry #rock musician