黄砂日記

 

工藤冬里

 
 

・「ああその可もなく不可もないメロディー」
というところと
言葉だけではなくもはや文字が分断されているところがうっせぇ

 
・「原子力時代における哲学 國分功一郎」
図書館車の今月のお勧めですよ
10年代の総括と言っても過言ではありません

 
・「Foggy Notion」

 
・マテ子の大サボテンの写真が摩天楼に見えた件

 
・「アヌンナキ」
アナンヌキ工務店
穴吹不動産
サヌキ
アナキン
アナ雪
アナーキーin the USA
みずほ銀行

 
・「宇多田」
宇多田はもうウタというよりエッセーみたいになってて写真もアーカイブしないと言ってる諦め切った終末感がやるせなくて良い。死海文書のゼカリヤの断片が発見されたニュースもエヴァのファンしか騒いでないのが可笑しい。

 
・「マクラウド」
マクラウドは家で王様やってたけどとうとう個人通貨を発行した
#金融リセット

 
・「ライブ」
4月3か4に柳井町でライブします。電気は使えないです。浮草を退いた武井君主催
やるのは春の空家、下鴨yugueの唄、鎌倉、ピアニカとか居れば春のサーファー、、とか
詳細後日
3日7時ぽいです溺れるノ・アート旧浮雲
消毒液、マスク、アクリル板
チケット売り場の穴から手
ぁ ァぁ ァぁ ァぁ ァぁ 
互いの脈拍を同期させる
互いの動機を動悸に変えて混ぜ合わせる
胸が苦しいのかいベイビーそれは恋さ。さあ踊ろう
〽︎お前と俺とは動悸のサクラ
歌うのはやめました。
消毒します
二人一組になって
衝立を介して向き合います
まず自分の右手親指で左手首の脈を測ります
同時に左手親指で相手の右手首の脈を測ります
互いの脈を口にしてループにしてもいいです
消毒します
以上です

 
・「Sibylle Baier」
音響エレクトロニカ後の、ジョセフィン・フォスターの登場に付随して浮上してきた系列
これでルーパーは廃れた
10年代のssw諸兄姉を準備したようで
途切れている
だって違うでしょうよ。

 
・遺作になりそうな「Le Sel des larmes」
いっぽんのガレルに若かず

 
・「メンタリティー」
タリティーメン
ソレータムメン
ヘラメン
ズノンノメン
ズオムメン
セキノモトメカタメン
ソーレオキナワメン
チカツメン
タンピンメン
バーゲンテイメン
カイシャゼツメン
タイコメン

 
・「命への礼儀 生田武志」
プルーストは長々とブルジョワ対貴族の思い出を書き綴った後、最後に、「小説を書ける」と書いて小説以前の何かを終わらせた。生田は野宿者襲撃論を動物論と共に部分解と捉える視点を持った時に「書ける」と決断してこの本を書いた。冒頭の「全共同体を見渡すこと」というカフカの引用が泣ける。
ディネシュ・J・ワディウェル「現代思想からの動物論―戦争・主権・生政治」人文書院 も併せ読むといいです。

 
・「蝶の道行」
「蝶」は地歌か端唄のSPからヒントを得た、ということになっていましたが、元は薗八節で、戦前に義太夫節に改曲された「蝶の道行」という曲だった、というのをやっと思い出しました。#goodman9枚組

 
・「N響 マルケヴィッチ」
83年マルケヴィッチ チャイコフスキーの悲愴 N響 てラジオで聴いたけどとんでもない名演 身体が追いつけない

 
・「蕎麦」
雨や
蕎麦蒔くつもりやったに

6時から始めて半分蒔きましたが疲れるといけないのでやめました
僕は意識高い系なので自然農法です
そんな僕を見つめている一羽の影があった

 
・「高菜」
悲報
高菜のスムージーはワサビとして使えます

 
・「表現の永続革命 河東碧梧桐」石川九揚
碧さんは高校の先輩なのでどうしてもお勧めします

 
・「ミャンマー」
カレンとかカティンとかシャンとかで考えるべきで国境の問題じゃないから
ミンシュシュギ対軍事政権とか言ってる限り理解できないですよ
蕎麦焼酎と山岳軍隊に中共が絡んでいる

 
・連載を終えて
今日で詩のサラリーマンは最後で4月から週一になります
この一年で聖書を都合よく使う論調が増えてきたように思います
さらに深く収めないと盗られてしまう
細胞にさえ上澄みがあり
土地は逃げていってしまう
へらへらしていてはいけない
空白「夢」
空白ハリウッドはもう映画を作れない
空白雨だった
空白僕は何か教えてくれそうな教授と外を見ていた
空白野良犬が泥水を浴びては僕の方を見ていた
空白泥水は井出に溢れ女が泳いでいるのが見えた
空白鮫も見えた
空白実況していた教授が心配して通報したら河口付近で保護されたようだった
空白旅館の人々は寝に入った
空白無口な女の子が雨に烟った天窓の犬と話していた
空白教授が暴れるので大木さんを紹介したいと思った
空白旅館の人が布団を敷くのを手伝った
空白僕はもう全てに興味はないんだと伝えて
空白覚醒した白の中に居た
きみたちは
人なつこい鷺のようだ
油っこい菓子のようだ
みんな台湾に飛んで行っては
帰ってくる
ぼくは延命の努力はしないで
介護だけはする
出て行った雄猫は春を見ず春を看る
畑を走り
山の白をたよりに
川で迂回する
白と紫のドレスが揺れて
春は先に落ちる
午前7:19
軍備ということが信じられないほど遠かった
緊張も必要と言われて闘争を受け入れるようにしていたが
正論を吐く人の結論が軍備だと正論でないことが分かるので
軍備が遠かった頃の衰弱した感性が懐かしく思えた
疲れ切って、人がなんで闘ったりするのか分からない
疲れて終わる
屠殺されて終わる
やさしさとやましさは親戚だ
夫婦別姓と民主化運動はたたかいだから遠い
軍政は生権力だから近い
モグラは空にも空洞を作るか
午前7:34

 
・「アケビ」
今年の春のデザイン賞は木通(アケビ)の雌花で、萼のような、花とは言えない大きさのtransparentな三つ組の椀型が雄花を受け止めます。いや、受け止めるというのは正しくない。背を向けているというのが言い過ぎなら双方下を向いている。

 
 

 

 

 

#poetry #rock musician

He likes taking a walk by himself.
彼は一人で散歩するのが好きだ。 *

 

さとう三千魚

 
 

this morning
I didn’t walk

always

4 o’clock in the morning
I wake up

vaguely
breathe

book
read

then

along the river
I was walking to the estuary

this morning
I open the window

I’m waiting for a little bird to come to the window

once
from Mr. Shirouyasu

I got a “walking newspaper” **

“tobotobo walking is completely different. that’s it. it’s walking that has only free time.” ***

so
was written

He likes taking a walk by himself *

 
 

今朝
歩かなかった

いつもは

4時に
目覚めて

ぼんやりと
呼吸して

本を
読んで

それから

川沿いを
河口まで歩いていた

今朝は
窓を開けて

窓辺に小鳥がくるのを待っている

かつて
志郎康さんから

“徒歩新聞” ** を貰ってた

“トボトボ歩きは全く違います。それしかない。暇だけしかないところの歩行です。” ***

そう
書かれていた

彼は一人で散歩するのが好きだ *

 

 

* twitterの「楽しい例文」さんから引用しました.
** 「徒歩新聞」は鈴木志郎康が発行していた冊子のこと.
***「徒歩新聞」創刊号(1973年1月1日発行)の創刊の辞から引用しました.

「徒歩新聞」創刊号 創刊の辞

トボトボ歩いている。これは非常にいゝことです。散歩ではありません。散歩は気分を変えるとか、健康のためとかいろいろ利益を目録んでのことですが、トボトボ歩きは全く違います。それしかない。暇だけしかないところの歩行です。本当は凝っと坐っていればいゝのだし、それに越したことはないのですが、残念ながら、そうしているとすぐに飽きてしまうので、歩き出すという奴です。トボトボ歩いていると、人間は自然とものを見て、もの思いに入ります。この二つのことが紙の上に移されたのが、この徒歩新聞です。

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

What do you want with me?
私に何の用事ですか。 *

 

さとう三千魚

 
 

I want to meet a little bird

so
I want

in the morning

when I wake up
I open the window

the tangerines at the tip of the driftwood branches on the windowsill have dried up.

the west mountains stand in ultramarine under the light blue sky.

I want to meet a little bird
I want to meet a little bird

someday
I want to meet

so
I want

What do you want with me *

 
 

小鳥に
あいたい

そう
思うのです

目覚めると
窓を開けて

窓辺の流木の枝の先の
蜜柑の

干からびて
西の山が

薄い青空の下に群青色に佇っています

小鳥にあいたい
小鳥にあいたい

いつか
あいたい

そう
思うのです

私に何の用事ですか *

 

 

* twitterの「楽しい例文」さんから引用しました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

I put aside the book I was reading.
私は読んでいた本をわきに置いた。 *

 

さとう三千魚

 
 

yesterday

from evening
it was raining

it became a storm at midnight

the rain was banging on the ground

this morning
sunny

on the windowsill
I put the tangerines of the little birds

I listened to Thom Yorke’s song

repetition
listened

singing “we were standing on the edge” **
singing “we were standing on the edge” **

this morning
on the windowsill

little birds do not come

I put aside the book I was reading *

 
 

昨日は

夕方から
雨が降ってた

深夜には嵐となった

雨が
地面を強く叩きつけていた

今朝は
晴れて

窓辺に
小鳥たちの蜜柑を置いた

トム・ヨークの歌を聴いた

繰り返し
聴いた

“we were standing on the edge” ** と歌っている
“we were standing on the edge” ** と歌っている

今朝
窓辺に

小鳥はこない

私は読んでいた本をわきに置いた *

 

 

* twitterの「楽しい例文」さんから引用しました.
** RADIOHEADの曲「LUCKY」から引用しました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

追いつけぬ、春

 

ヒヨコブタ

 
 

濃い紅色の花が咲く頃はとても嬉しいのに
薄く色づいた花が咲き始める頃
わたしは落ち着かなくなっている
毎年のことだ
と言い聞かせようとして
さて
毎年がここ数年は少しずつ異なっていることを思い知らされて
また落ち着かない心持ちになる

家の窓口になるというのは
不幸があってもお祝いがあってもさしてかわらないのだが
不幸が続くと
花をみる心も揺らぎ始める

墓参りを済ませ
すこし清々しく感じても長続きせず
年老いて気弱になり始めることばを吐く人たちに
ゆらゆら揺らされていることにも気がつく
平気な顔をしてそれらを片付けては
ため息のような空気がこころにたまっている

変化していくのはなにも子どもの頃だけではなかったのだ
大人になり年々季節が変わるのに追いつけなくなっているじぶんがいる

わたしの年齢にかつて暮らした親を重ねてみても
なんだか心許ないのは
そのひとたちに心底安心を得て過ごしてきていないからではないかと
責任転嫁してみる
いや揺れ動くじぶんを
操ったり宥めたりすることが
まだまだ不得手なのだと
思い知らされる気がする

春を待ちわびていたのは
何かが変わるからだった
いまはそうではないのかもしれない

日々新聞をひらくとそこには猫が乗り
撫でろと鳴く
一枚捲るのに宥め撫でながら
すこしの安寧がそこにあることを思う
猫は撫でて欲しいのか
はたまたそうではないのか
わからないまま撫で、ブラシをかける
気が変わりすとん、とジャンプをして
また寝入る猫に
羨ましいようなほっとするような不思議さ

春は嫌いだといえばいいのか
いや春は好きだ
いまのじぶんの心持ちが好きではないのだと
離れたじぶんがじぶんをみている