disrupt・混乱させる 分裂させる

 

さとう三千魚

 
 

野菜
刻んで

サラダを作った

昨日の残りの
カレー

食べた

女にサラダを持たせた

車で
出かけていった

それから

机の前にいる

本を
読んだり

浜風に
詩をアップしたり

メールと
facebookを

チェックしたり

電話で
林さんと話したり

した

林さんは遠い
先輩

コロナで本がたくさん読めるわと
林さん

元気そうだった

夕方になり
犬のモコと散歩した

蜜柑の白い花
咲いてた

白い白い

咲いてた

幼稚園の前とおって帰ってきた

きゃあきゃあ
声がした

混乱や
分裂や

分断

誰の利益になるんだろう

 

 

*タイトルは、twitterの「楽しい英単語」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

千年理性批判

 

工藤冬里

 
 

ミルクラッパーは
古屋雄作の創作
原因があって結果があるのではなく
結果を夢想して演出していく
因果ではなく現実はヤラセだ
関東はカントだ
因みにデカルトはデカンショ節だから兵庫だ
カントは原因ではなく結果に押し出されたのだ
津波に押し流されたのだ
判断は果実で
根はいろいろだ
例えば橋の下に流されてきたのだ
夏の知識はいわれを問わぬ
枝が柔らかくなってきて先端が葉になる
実を生み出さぬなら枯れちまえ
さて俺(ジジェク)はコロナラッパー企画を打診された
俺はラカン派DJだからそういうときまず
コロナは存在しない
と見栄を切ってみる
そこから始めるのが俺たちのやり方だ
いつもそうやってきた
事物がそれを許さないところまで進んだとき
俺たちはカントのように千年に押し出されるだろう
滅びの前に祝祭が来る
死後はこんなにも美しい
俺の死後夕焼けは凄絶なまでに美しいだろう 
進化論を信じたまま死んだとしても
俺の死後夕焼けは凄絶なまでに美しいだろう
起きる前に起きたので寝る前に寝たら
ロシア語講座でアリョーシャの最後の演説をやっていた
悪霊の詳細については
あれこれ話す必要はない
いま大事なのは粉飾していくことではなく
果実として落下することだけだ

 

 

 
#poetry #rock musician

コロナの部屋

 

佐々木 眞

 
 

こんにちは、黒柳徹子です。「コロナの部屋」へようこそ!

全国の良い子の皆さん、そして万国のパンダ・プロレタリアートの皆さん、お元気ですか?
お陰様で、あたしもいたって元気。このまま一生死なないんじゃあないかしら。

さてコロナ、コロナで、毎日大勢の人たちが死んでいますが、あの良寛さんが「死ぬる時節には死ぬがよく候」と言っているように、人間死ぬときは死ぬんですから、仕方ないですよね。

でもひとさまじゃなくて、他ならぬ自分が死ぬんですから、死に方だけは徹底的にこだわって死にたいですよね。
あーた、なんたってこの国は、世界一自由な国ですから、いろんな死に方を選べますよ。

そういう訳で、ここでいきなり問題です。
あーたの、それも生死に係る大問題ですから、今から5分間、よーく考えてみてくださいね。

1)「私はコロナで死にたい」
2)「私は職場から雇い止め、解雇されてしまい、ハローワークへ行ったけど次の仕事も見つからないので死にたい」
3)「私はコロナ自粛で日銭が入らなくなって、家賃も払えないので、一家心中したい」
4)「私は休業補償を求めて役所へいったけど、申請手続きが超複雑で、お金が出るのは早くても3ヶ月後と言われたので、いっそ首を括って死にたい」
5)「私は学生なんですが、アルバイトの口がなくなって、家からの仕送りも激減して、学業を続けられなくなったので、死んでしまいたい」
6)「ホームレスのおらっちなんかには、誰も食べ物も恵んでくれないので、このまま野垂れ死にしたい」
7)「私は上の6つが当てはまらないので、それ以外の理由で死にたい」

の中から、あーたがお好きなのをいくつでも選んで、その番号で答えてくださいな。

さあさあ、早くもタイムリミットが来たようです。
あーた、どっちになさいますか?
ほんといっぱいありすぎて、迷っちゃいますよね。

 

 

 

brute・獣

 

さとう三千魚

 
 

浜辺で

日が暮れるのを見てた

西の山に
日は落ちていった

海は
凪いでいた

しずかに

波は
打ちよせていた

わたしの中に一匹の獣がいる

獣は
灰色の目をしてる

黙っていた

浜辺で

黙って
見ていた

獣は

凪いだ
海を見ていた

 

 

*タイトルは、twitterの「楽しい英単語」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

千年合法ドラッグ

 

工藤冬里

 
 

全てのことは合法であるが
全てのことを我慢できるわけではない
全てのことは合法であるが
だからといって全てのことが膨れ上がっていくわけではない
私(ホラティウス)はこのふた月毎日十八時間くらい‬画像整理だけしていた
世界に関心のあるふりはしていたがそれは普通の生活を送っているように見せかけるカモフラージュだった
映画も本も見なかった
全てのことが合法であるが
全てのことが空一面に広がってゆくわけではない
いつどこで何があったのか思い出せない
その期間内の画像数の比率によって経験の濃淡が決まる
紀元二千年以前の現像された写真の時代は人生の範囲外なので存在しないも同然で
思い出というものが撮影機器とネット環境に大いに左右されていることがわかった
重要なことだったから記録されているのではなく記録されているから重要なことになっていくだけなのだ
個人も全体主義国家もその点は同じだ
時系列が適当だがとうとう諦めがついて終わりに近づいてきた
あまりに忙しくてコロナとかどうでもよかった
カフェ”カルペ・ディエム”が閉鎖されることになりやっと頭を上げたらみなマスクしている
夢はみな娯楽映画のようで切ない
感染すると思う
全てのことは合法だが
少年よ聞け フーコー明媚なアレオパゴスはドラッグだ
全てのことがためになるわけではない
全てのことが許されているが
全てのラテン自動詞が増量されていくわけではないのだ

 

 

 
#poetry #rock musician

新型コロナ星から愛を込めて 2

 

正山千夏

 
 

火曜日の公園
まばらに家族たちがはしゃぐ
キラキラ輝く光にとけて
ウィルスは目に見えない
なんと素敵な光景か

私は葉桜の下を歩く
いつもより料理に時間をかけ
ゆっくりと食事をする
洗濯に布団干し
身の周りを清め
好きなところで仕事をする

私は好きな音楽を聴く
雨上がりの芝生の匂い
風が小さな桃色の花びらを届ける
ヨガと瞑想、読書
人間の理想的な生活とは
こんな風ではなかったか

ただ唯一
足りないものがそれだ
濃厚な接触
握手、ハグ
何気ない会話
深く見つめあう目と目

ただ唯一
あの人に会いたい
人肌、口づけ
耳元で聞こえる息づかい
混じりあう汗
からみあう指と指

 

 

 

integrity・高潔 品位

 

さとう三千魚

 
 

香港にいる
三木(Sanmu)のfacebookに

藤原公任の
歌が

引用されている

春の夜の やみにしなれば 匂ひくる 梅より外の 花なかりけり

三木(Sanmu)が
中国語で

在春夜的黑暗中 除了幽香递来的梅花 什麽花也没有
Zài chūn yè de hēi’àn zhōng chúle yōuxiāng dì lái de méihuā shénmó huā yě méiyǒu

と訳している

三木(Sanmu)には
六四の

同朋もいて
死者の同朋たちもいて

香港の

若い
同朋もいるだろう

春の夜に匂うものは梅の花より他にない

やがて
誰にも”2047″はやって来る

Happy Hong Kong 2047
Happy Hong Kong 2047

今夜

あなたたちとわたしは
ひとつとなり

闇のなかで梅の花の香りを嗅ぐだろう

 

 

*タイトルは、twitterの「楽しい英単語」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

千年朱鱗洞

 

工藤冬里

 
 

とある路地口しげしげと虫が鳴いてゐし ー 野村朱鱗洞

 

押韻矢の如し
zoom town ratsも過ぎ去り
街はデストピアです
朱鱗洞の虫はしげしげと啼くが俺は耳鳴りの虫が酷い
朱鱗洞の墓のある小坂のネカフェ、
二軒共閉まった
朱鱗がスペイン風邪で死んだのは、
膝突き合わせる密結社をやってたからだが、
いま生きてたらそのどちらかのネカフェで感染したんじゃねえか
いま俺(ハムレット)は便宜上日本語を使っているが
バベル期はとうに過ぎ去りパラレリスムとアクロスティックしか技法はなくなった
以前俺にとって詩とは
悲劇詩
喜劇詩
歴史詩
田園詩
田園喜劇詩
歴史田園詩
悲劇歴史詩
悲劇喜劇歴史田園詩…
しかなかった
そのなかでライミングの技を競ったのだ
それらはすべて過去のものとなった
嘆きも叫びも苦痛ももはやない
以前の言語は過ぎ去ったのである
ただ虫はこれからも
二十六で小坂のネカフェで死んだ朱鱗君の所為で
永遠に
しげしげとしか啼かないのだ

 

 

 
#poetry #rock musician