エフェクトのない竹林の静止 *

 

西の山が霞んでいる

見えない

山を
窓を

開け

見ている
風を入れ換える

道を行く
犬を

連れた女

傘差していない

止んでいるのか

止んだのか

若狭だったか
奈良だったか

若いころ
竹林が風に揺れるのを見た

動物の背中が波打つよう
震える

揺れる

ああ
これ

背中

忘れていない
忘れられない

こまかく

震える
揺れる

そして静止する

女も

獣のような背中をもつ
こともある

物語ではない


でもない

竹林が揺れていた
竹林が静止する

 
 

* 工藤冬里の詩「ふたつの詩のある風景」からの引用

 

 

 

ふたつの詩のある風景

 

工藤冬里

 
 

最後に一言いいですかあ▶は新聞読めるだろうからきっとコロナのことだったと思う▶最初から言ってくれればわざわざ自分がやらなくてもよかったのに▶ほんとは知ってたんでしょ▶と

eighteen▶and dreaming

東の人は分からないだろうけどjoyfullに黒豆茶がなくなったのは許せない▶代わりにドリンクバーにはピーチティーというのが入っているがそんなの飲まないよ▶徹夜してる人種には黒豆茶の優しさが必要なんだ▶ファミレスのホームレス▶スレを立てたらフェミにはマジレス▶psfはプロレス▶太ったロックンコレステローラー▶ニールヤングはホープレス▶スペイン人かゴンザレス▶日航レスキュー坂本九▶下着はなんとシームレス▶レスザンゼロのキャッシュレス

歌のラインより高い音程の伴奏には三味線の音色が自在で特権的である▶耳は声と弦を同時に聴くが我々は弦を無意識に虫の音と同列に置く▶ギターだと二人格を聴くことを強いられることになる▶フォーク野郎のギターが凡庸なのはギター人格を押さえ込もうとするからである

道連れ

NullPo▶guts

ルルは非道い物語だ▶ベルクとしては中の人だから見えないんだろうけど▶まあ殺されて終わるから帳尻は付くが

夢はオールスターだった▶客商売の人の夢には客が出てくるんだろうか▶その人にも毛根があるんだと思うのも気付きと言う乎▶明け方 そんなには寒くなかった▶突然 チビ太はママになりました と口を突いた▶東から素直なメッセージで▶ハーネスではまめに換気して声は使わない▶とあった

hey Zach, is being in Europe no longer able?

春は春とて夜は夜とて単管の▶音色の栄誉に与れば▶師とは呼ばれぬ揚雲雀▶上がり下がりの寒暖を▶鳴かず飛ばずの興行の▶見えぬ掟に震えつつ▶筆舌尽くしてWiFiの▶見えるウィルスに乗せましょう▶見える電波に乗せましょう

ウィル・スミス▶ミス・ウィルス

〽︎神戸 泣いて どうなるのか▶感染された我身が みじめになるだけ▶神戸 船の灯うつす▶濁り水の中に 靴を投げ落す▶そして ひとつが 終わり▶そして ひとつが 生まれ▶夢の続き 見せてくれる▶宿主 捜すのよ▶〽︎神戸 呼んで感染る店か▶傷ついた免疫系が みにくくなるだけ▶神戸 無理に足を運び▶眼についた名もない 花を踏みにじる▶
そして ひとつが 終わり▶そして クラスターが 生まれ▶誰か うまい 嘘のつける▶バンドマン 捜すのよ

そして埼玉

着々と進む花見の準備

マックの店長やってる夢みた

はなれ瞽女おりん▶ピック▶を▶ニックに▶ぴくっ▶憎い

くるしみぼろぼろ▶くるしみほかほか▶くるしみふわふわ▶くるしみしゃきしゃき▶くるしみはぐはぐ▶くるしみギィーンギィーン▶ビールをストロングゼロに変えるようにかなしみはくるしみに変わったのだ▶くるしみによって認知の進行を防ぐ

ロックダウン

アーカイブ化に沈潜し春を軽んじる

耳障りなプロコフィエフは終わりの時になお稼働するATMのようだ

夢見たものは ひとつの幸福▶だとか▶〈私には 何が ある?〈私には 何が ある?▶だとか▶誦じているが▶〈それが何になるのか▶深夜のファミレスで▶不味いカフェオレを飲んでいるおれ

A列車のテーマの繋ぎ目は地下鉄のドアの開閉だということにやっと気付いた▶ということはハーレムの手前の各駅に対応している筈だ

即興をあるべき位置に置く、とか言い続けてきたわけだがこれでやっとわかっただろう一番大事なのは音楽でも自分でもないということが

ビーツなら栽培してもいいかな

小学生まで「これまでの人生を振り返って」などという作文を書いて自らのアーカイブ化に勤しんでいる

今頃は長野の盆地の夜景が綺麗だろうな

朝一番早いのは▶寝てない屋のおじさん

闇はシームレスなので闇だらけという用法は当たらない▶それに対して光は光源の数だけ存在しうる▶闇は打ち勝つことができない

安全は平和とセットの二番手で目立たなかったのがここに来て平和より先に浮上してきた▶戦争する力はなくなるので終わりは安全だ平和だという宣言から始まる▶安全は平和より上に来るということに気付かなかったのは氷河期の狭間で安寧を貪っていたからであろう▶ここに来て玉置浩二が浮上してきた▶安全バンドてのもいたな渋谷屋根裏で▶絶対安全剃刀という漫画もあった▶今やジジェクもウェルベックも残雪もアイラも「安全」という本を書いている筈だ▶鉄コン筋クリートのシロもクロをあんしんあんしんと宥める代わりにあんぜんあんぜんと言うようになる▶人間が結束して何かに立ち向かおうとするとき人類は滅びる▶映画を観るということはその反対のプロパガンダに晒され身体にそれを刷り込まれるに任せるということだからウィルスと一緒である▶アナーキズムは平和のみに、アンチナタリズムは安全のみに対して考え出されたカウンターでしかない

突然のあつまれとびだせどうぶつの森会議に唐突な胸肉のアップ
下付きの顎の鮭に生まれた方が良かった
どの子も可愛いは嘘ね
英語の発語の愉楽は即興では出来ない
問題は毛深い
法的に納車し廃車にする残酷な春を
輸送の菜畑に賭ける
正当性は得てしてこの平野部を覆う故に
人の傘は小さすぎる
小さい傘が百円皿に張られて
キッズはココアを舐める
溶血の空はみどりの聚楽壁に映り出て
鎖付き眼鏡は幾度も死を乗り越える
黒い鞍馬天狗が六本木ヒルズのように聳え立って
前屈みの俳優は雪達磨型のアイコンを呼び寄せる
梯子を上り下りする水のやり取り
成り行きで工事する粘土の庭
広い天蓋を張れるなら
殺意は無縁のままだ
はだらのほどろのまだらが火のついてないストーブから立ち昇る
家に来る豹がコロナに罹る
クラスターはエメラルドの空のなかで溶血する
灯油を買えず氷を買うエスキモー
道路の写真の灰色を眺め続けてアーカイブを完成させる
胸肉がそんなに分厚く取れる鶏って一体どれくらいの大きさなんだ
鮭だったら良かった
下顎を突き出して高潔さを捨てず海を泳ぐ
積算で支える赤いメンテナンス
秘蔵の笑顔の灰色写真を眺め続ける
善意をダウンロードして敵意をアップロードする
誓うことができないラクダが
フィットネスクラブで体調を崩した
気取って泳ぐ太平洋
泳ぐ能力は否定しようがない
イクラは何の子ですか
鮭の子なのであれば何故イクラ丼はサーモン丼より高いのですか

監視拒否より安全を選択する時に人間社会は終わる▶戦争などでは世界は終わらない▶安全によって終わるのだ

いろいろと考えたことはすべて無駄に終わるだろう

こども電話相談室を流していたらブラックホールでは点も潰れている、と聞こえてきた▶点が潰れるということは抽象概念が潰れるということだからそりゃすごいなと思った

幻影が見えるまで起きていると恐怖心から本心に立ち返ったと誤解することがある

泣きの寂(サビ)にストンと落ちるマイナーの
窓枠から眺める春の写真
どの春も同じだった
取り返しがつかなかった
菜の花は咲く前に
蕗の薹は伸びる前に
柿の芽は太る前に
採らなければならなかった
眺めせし間に世は過ぎた
区切られた枠の期間を黒いカーテンが仕切った
その枠の中で倅に説明しようとして
光合成の頭を磨り潰す
白犬連れた二人
白いミニバン
フレームの中の動画の道に
注入され続ける桃花
道作りの倅に死なれた
損失に
補填され続けるペースト
同じ写真を削除し続けると
どの春も悔しかった
チューブは悔悟を出し切って
今年も炎が芽吹いた
擬古典様式を装って
教えようとする春休みの垂直抗力
願わくば花の下にて春死なむあの如月の望月のコロナ
網戸の声がにちゃにちゃして
化調で育った焼きそばの記憶のような確からしさ
そう、蓋を取り、
水に証印を押す
これはコックピットのように鮮やかだ
色のない旗が振られ
濃い落ち着きと重量と
エフェクトのない竹林の静止
わたしの羽搏きさえも捕らえられた
招待の鉄の甲羅が張り伸ばされるのは胸か頭か
最早地上でこのフレームを見る気は失せる
風は何処から再び生まれるのか知らないのであれば
風を問うてはならない、とは逆北條だ
いわれを問われる→ぬはよい。問われるままに、こたえる→ぬ都であったから。笠をぬぎ、膝へ伏せて答えた。重ねて北條と。
石原には城の石しか見えなかったのだ
このテントの垂直抗力
早く脱ぎ捨てたいわけではないが
別の服を着て命にのみ込まれたい
赤い薄い手を拡げ
知り得ぬ空を

 

 

 

胸騒ぎの春

 

正山千夏

 
 

春はざわざわする
見えないところで
なにかがうごめいている

地下を流れる川が
ざわざわいう
都会の音は入り交じり

そらから見たら
大気圏の下でうごめいている
いきものたち


の皮膚の下でざわざわいう
創造性が低い沸点でわく

夢でトイレの床をふく
汚れた血が
きれいになってった

目が覚めて
カーテン開けたらガラス越しに
胸騒ぎの春がはらはらと散るのがみえた

 

 

 

増産される、のは

 

ヒヨコブタ

 
 

ひとが
ひとが怖くなるこんなとき怖くなる
ウイルスへのおそれのほうがわかりやすい

ひとは
ひとは鬼になる
大切なものを守るというたてまえで

幼心にそんな母をみたことがある
わたしは怖かったが母は笑った
その笑顔はほんとうじゃない
本物の笑顔だけください神様

誰かを蹴散らし誰かより上に行き
誰かを嘲りわらうためにいきているのではありません
たぶんほとんどのひとが
そうだと信じています
だからお願い

もう叩きあうのはやめにしませんか
そっとほほえみあいたいのです
抱きあいたいのです
泣きじゃくりあいたいのです

傷を誰しもがもっているなら
優しく手をあてていたいのです神様

 

 

 

ヒの字

 

辻和人

 
 


ヒ、ヒ
ヒ、ヒ、ヒ
ヒの字
こりゃ
手まっすぐ、足まっすぐ
伸ばしたら

だよ
こりゃ
で、確かに
眠ってるみたいだよ
こりゃ

「あのねえ聞いてよ。レドちゃん、死んじゃったのよ。
夕ご飯の時、いつもみたいに食卓の椅子に上って頂戴頂戴するから、
牛肉を小さく切ってやったらおいしそうに食べて、
もうひと切れ、
それもおいしそうに食べて、
もっともっと、
鼻くんくん言わせるからどうしようかと思ってたら、
いきなり、いきなりなのよ、
ばたんと椅子から転げ落ちて、そう、
ヒの字
みたいな姿で床にべたっとしてるから、
あらあらレドちゃん急におねんねしてどうしたのって触れてみたら、
息してないの。
慌ててお医者さんに電話してみたら車で来てくれて、
そしたら心臓マヒで即死ですって。
ほんと、眠ってるようにしか見えないの。
悲しいより何よりただただびっくりしちゃってねえ」

母からの電話を受けたのが帰宅途中の電車の中
ぼくもただただびっくりしちゃって
言葉出ない
涙出ない
出ない出ない
出ないまま

今日土曜日
庭に埋めるためにやってきた
バスタオルを敷いたダンボール箱に収められた、あれは
レドだあ
手足は畳まれてるけど
前足と後足ピンと伸ばしたら
まさにヒの字
ヒの字のレドだあ
かたぁい
つめたぁい
でも苦しそうな感じはない
眠ってるみたいって
ほんとだったんだ
口からひと筋うすーく血が流れてるけど落ちた時の衝撃だろう

「今年に入って急に痩せてきちゃったんでどうしたんだろうと思っていたんだけど、
食欲もあるし甘えてもくるしで、
元気にしてたんだけどねえ。
やっぱりあのケガが基で臓器全体が弱ってきてたんだろうねえ。
預かったのにすまないねえ」
杖ついた父が申し訳なさそうに話す
レドが懐いていた母は辛いからと「お葬式」には出ずにお店に行ってしまった
どっかの誰かさんが外に出たレドのしっぽの部分を力任せに叩いたおかげで
腰の骨が折れてレドはおしっこが一人ではできなくなってしまった
父が体を押さえてペニスを飛び出させ
母が尿道にカテーテルを通して排尿させる
毎朝毎晩、毎朝毎晩
レドは最初はちょっと抵抗したものの
じきに慣れておとなしくおしっこを取らせるようになった
目を細めて舌をぺろりと出したりとか
父母にかわいがってもらえる時間と思っていたのかもしれない
「いいえ、こんなに手厚くしてくれて本当にありがとうございました。
お父さんとお母さんには感謝しかないです」
「そうかい。そう言ってもらえると心が軽くなるねえ。
とにかくレドはピンピンコロリのお手本みたいだったよ。
自分も死ぬ時はああいきたいもんだね」

焼いた牛肉をふぅふぅ
小さくちぎって
鼻の先に差し出す
黒目真ん丸がくるっと動いて
くんくん
ぱくっ
おいしいおいしい
もう一つもう一つ
母の腕に前足かけて黒目真ん丸きゅっとさせて
くんくん、ぱくっ
おいしいおいしい
またまた黒目真ん丸
鼻ひくひく
前足かけて後足もちょっと伸ばして

ヒの字

かたぁいつめたぁいレドが収められた箱の傍には
ホタテ
マグロ
ササミ
の猫缶と
牛乳
お葬式なんだあ
故人の好きなものが並べられてるんだあ
手を合わせる
そろそろ庭に埋めに行きますか

椿の木の下
フキが植わってるここ
日当たりがいい
ここがいい
スコップで穴を掘る
おやおや、根が張り巡らされていてなかなか進まないぞ
すると父が杖を置いて貸してみなさいって
スコップの先でまず周辺の植物の根を切って
掘る、また切ってまた掘る
なーるほど
いろんなものが植わってる庭で穴を掘るってことは
土を掻き出すってことじゃなくて
まず根を切るってことなんだな
すいませんね
庭仕事あんまりしたことなくて
お父さんさすがだね
でも、コツわかったから代わるよ
がしっ、がしっ
根を切って掘る、を繰り返していると
いつのまにかファミがベランダ近くにやってきた
ガラス越しにぼくの作業を見ている
にゅあにゅあ鳴いてるじゃないか
ファミもここ数日レドの姿が見えないことに不安を覚えてるんだろう
ぼくが庭で何やら妙なことをやってることと
相棒がいなくなったってこと
何か関係あるって勘ずいてる
レドとはすごく仲良しってわけじゃなく時々ケンカもしてたファミ
それでもベランダを行ったり来たり
にゅあにゅあ、だ

がしっ、はい、長方形の穴ができました
レドの体を箱から出しました
眠ってるみたいでした
いつものレドの顔でした
いつものレドちゃん
最後の頬ずり
かたぁいつめたぁい
紙に包みました
穴の中に置いて、がしっ、がしっ、土を被せました
すっかり埋め終わって土をスコップでとんとんしました
ホタテ
マグロ
ササミ
牛乳
土の上に撒きました
父と一緒に手を合わせました
黙祷
にゅあにゅあ
良い天気
「この上にフキを植えてやるかな。レドも賑やかな方がいいだろう。
椿の季節になったら赤い花が落ちてきれいだぞ」

帰って母に感謝の言葉を伝えて
さあお風呂
ちょぽーんとお湯に浸かると
ありゃま
浮かび上がってたぞ
ヒの字
おいしいものをひと切れ、もうひと切れ
おいしいおいしい
くんくん
もっともっと
一番いいトコで
ヒの字
前足が横の棒
頭からズッと線が走ってしっぽで曲がって後足が横の棒
食いしん坊のレドらし過ぎる
2008年、ノラ猫クロがくわえてきて
ご近所さんの目を盗んでご飯あげて遊んでやって
猫路地に放り込まれたのを救ってやって
2009年、祐天寺のアパートから伊勢原の実家へ
あれから10年
自分の分を食べ終わってファミの皿に手を出して一喝されシュンとなったレド
成長してファミが遊ばなくなったというのにいつまでも猫じゃらしに飛びついていたレド
マッサージして欲しくなると食卓に飛び乗って背中をしなしなさせていたレド
レド全開のまま

ヒ、ヒ
ヒ、ヒ、ヒ
ヒの字
あーあー、やっぱりくるよなあ
丸い透明な液体があとからあとから
ホタテ
マグロ
ササミ
牛乳
を連れて
湯気の立つヒの字の周りを
ぽたぽたぽたぽた、旋回
レドちゃんレドちゃん
楽しかったね
また遊ぼう

 

 

 

証明写真の背景に寒色が入っている *

 

朝食は

ちりめん干しと大根おろしだった
鱈の粕漬けも

焼いて
食べた

大根おろしには
牡蠣しょうゆを垂らした

そして冬里の

白い
碗で

お茶を飲んだ

フィンランドの
fbフレンドのTepiのwordsに出会った

I refuse to be unhappy ! 🙂

すこし
気持ちを溶かした

それから
車で

街の犬猫病院に行き
モコのサプリメントをもらってきた

モコは
ソファで待っていた

最近モコと
お風呂にはいっていない

お風呂には

ボタニカルの入浴剤をいれてはいる

明かりは
消してはいる

少女みたいだ

たまに
防水スピーカーでパルティータを聴く

Partita no.4 D major BWV 828 II Allemand

ぼくは
ここにいて

遠くを見ている

西の山のうえの空を見ている

きみはいまどこにいるの?

 
 

* 工藤冬里の詩「春」からの引用

 

 

 

 

工藤冬里

 
 

証明写真の背景に寒色が入っている
ふたつの人格がエネルギーを掛け流しにしている
瞬間に倫理はない、という着古した欲望の流れ
寒暖の差額のように綱から踏み外し続ける
血は樹木のように枝分かれして
入れ替わるかもしれない顔を形作る
姓が食い止めているのは何の氾濫か
蒸せ返るような苦々しさの小石が紅い
ハグする正しさの井戸を塞ぎ
掘り返して命名する緊張を学べ
シルエットは人質の解放を夢見させている
落語家か梟か識別出来るほど日は伸びて今はしんとしている
有名な俳優に翻訳されていく夜
猫の理解と比べてみる夜の目
染めた髪と白髪の同根の緊張
毛根に光を当てて
自分を描け流す
なんで猫が退屈しなければならないのか
最も大事なことをなぞるなら樹木は折れる
ヤギの白が一七℃で
政権など何の考慮にも値しない
赤縁メガネにピンクの雲が絡まる
答える必要がないことに答える奏法が無駄
折れて斜めになっても伸びるミモザ
猫の叛乱
原因が分からないので暴れているのだ
コンパクトな室町様式の肖像画の直線に猫の哭き声が被さる
ブルドーザーはニカニカする
銀は寒暖に降り注ぐ
生きている人は死んでおり
死んだ人は死んでいる
コロナの人はコロナを生きており
コロナじゃない人はコロナを生きている
今日という日のいらだちを
通過させるのはETCしか使えないスマートIC
全て発掘して陳列させられる格言の疫病
アメリカの形がシルエットになっている
やましい発音としてのあーたとわたいたち
背景色は黄色が良い
創造界のデザインに見られるヒョウ柄
ヒットエンドラン×2
抗癌剤でニット帽
無緑感で散らされる
日本人かどうか区別するのは
パンシロン色のニット帽
老齢ローレライ
シンプソンズの瞼
椅子は猫にoccupied
編笠の風化と共に
黒鍵は指に昇られてゆく
病気と
金欠
老齢
あたいたちとあーた
安普請
どのICから入るか
ツバメ国道で吃る
闘え!コロナウィルス!
昔は一度言ったことは取り消せなかったが
今は指が滑ってストーリィさえ消える
写真術の進歩などない
梅は落ちた
柿芽は食べる
テカる人間価格
ちんちちゅじょで柿の芽は膨らむ
薄汚れた毛皮の不興
和紙の道はコウゾ
雀の居なくなったworld
我ハトのごと翼ありなば
声はギンとハウる(シェールの”Do you believe in life after love?”みたいに)
石切りのように消えてゆけ
自由になって命を軽くするより
正しくなくてもいいので重くする
大抵のアナウンサーはそうではないが
きっとズボンも履いているに違いない
顔が物語っている
私の闇
レッツゴー役立たずと唄っていたが死んだ