ひかって
いた
風が
ふいていた
失えば
よかった
全てを受けるためには全てを失えばよかった
ひかって
いた
風のなかに
あなたは佇っていた
ひかっていた
ひかっていた
ひかって
いた
風が
ふいていた
失えば
よかった
全てを受けるためには全てを失えばよかった
ひかって
いた
風のなかに
あなたは佇っていた
ひかっていた
ひかっていた
人間を
着て
人間を着たうえに下着と服を着て
電車にのる
多摩川をわたり
積み上げた過去を捨てにいく
帰りに
酒で輪郭を溶かした
たましいだけが電車にのって帰っていった
たましいだけが電車にのって多摩川を渡っていった
時計を
はずして
顔をうしなう
顔をうしない
林のなかをさまよう
さがしていた
あの声をさがしていた
いまどうしてる
いまどうしてる
林の木々に小鳥がたくさんとまっていた
林の木々に小鳥がたくさんとまっていた
顔をうしない
林のなかをさまよう
あの声をさがしていた
もっていません
宝石は
もっていません
雪が
降るまえに
霜柱を踏んだことはありました
白く
焼石岳が
ひかっていました
宝石はもっていません
白い息を吐いて
みて
いました
焼石岳が白くひかっていました
焼石岳が白くひかっていました
ひくい
草むらにいて
日にひとつのコトバを語ろう
ひくい
草むらから
隣人へ
委託されたコトバを語ろう
死者から委託されたコトバを語ろう
風がふいていた
ひかっていた
それだけだ
それでぜんぶだ
日にひとつのコトバを語ろう
青空
ひろがっていた
青空がひろがっていた
帰り道
ひとり公園にいた
樹木の
葉裏をみあげた
樹木の葉裏を
愚かだ
愚かだ
意味も
ない
青
意味がない
お堀の土手を逆に歩いていった
お堀の土手をヒトビトとは逆に歩いていった
青空
青空
草
むらの
なかに
いたのか
深夜に桑原正彦の肥大という絵をみた
生成された
肥大するみにくい女の顔のなかに
草むらが
あり
異人がいた
突破するもの
突破する者たち
草むらの
土の
天皇
突破する天皇
突破する天皇たち
ツグミが
鳴いている
スズメも鳴きはじめた
中央線の通り過ぎる音が聴こえる
荒井君と
テリー・ライリーを聴いた
テリー・ライリーを聴いた
通り過ぎる音が聴こえた
耳をすますと
通り過ぎる音が聴こえた
通り過ぎていった
今朝
多摩川を渡った
目的や
意図のまえに
新しいこの日と古い日々がある
浜辺で空にかもめが浮かんでいた
磯ヒヨドリは
このところみない
かれらに目的や意図はないだろう
ヒトには
小鳥たちほどの自由もないだろう
空にかもめが浮かんでいた
昨日
モコと海辺を歩いて
海と
空を
みました
空にはかもめが飛んでいました
今朝
窓の外に
西の山は青くかすんで
燕たちがよこぎるのをみました
あのヒトがいいました
つかみどころがなくて
空をみたり太陽をみたりしていると
あのヒトがいいました
あのヒトはいいました