大男がガッツイ手にシャベルを持って

 

鈴木志郎康

 

 

俺っち、
どうしていいか、
わからんちゃ。
いい加減な大きさの、
軽いボールだっちゃ。
コロコロ、コロコロ、
坂を転がって行くっちゃ。
コロコロ、コロコロ、コロコロ。
コロコロ、ガッ、
ガッツッ。
鉄のシャベルだっちゃ。
大男だっちゃ。
怒り肩の大男が現れたっちゃ。
大男はガッツイ手でシャベルを掴んで
地面に穴をけっぽじって、
ボールを埋めたっちゃ。
コロコロを、
忘れろっちゃ。

俺っち、
どうしたらいいか、
わからんっちゃ。
コロコロっちゃ。

 

 

 

長い柄のハンマーを空想してゾクゾク

 

鈴木志郎康

 

 

ハンマー、
ハンマー、
ハンマー、
柄の長いハンマー。
それで、
人の頭を、
前からでも後ろからでも、
力いっぱい、
ぶん殴れば、
人の頭蓋骨は破壊されて、
死ぬに決まってるっちゃ。
柄の長いハンマー、
思っただけで、
身がゾクゾク。

人を殺すっちゃってこと。
地球上じゃ、
毎時毎秒、
焦眉の至る所で、
人は殺されてるっちゃ。
昨日ロンドンでテロリストに、
四人の人が車で轢き殺されたっちゃ。
テロっちゃ、
戦争っちゃ、
処刑っちゃ、
殺人っちゃ、
人は殺されてるっちゃ。
愛知の用水路で、
全裸の女性の遺体が見つかったっちゃ。
俺っち、
殺されるのは、
やだね、やだ、やだ。
人を殺しちゃいけねっちゃ。

俺っち、
長い柄のハンマーを
持ったことないっちゃ。
俺っちんちにゃ、
柄の長いハンマーは
無いっちゃ、
無いっちゃ。
人を殺しちゃいけないっちゃ。
ハンマー、
ハンマー。
ゾクゾク。

俺っちのこの部屋は、
すっごく平穏無事。
三度の食事に、
アローゼン顆粒1g呑んで、
五回のうんこ。
詩も書いてるっちゃ。
ゾクゾク。

 

 

 

夜中のつぶやき詩を書いてやるっちゃ

 

鈴木志郎康

 

 

俺っち、
息をしてるっちゃっ、って。
夜中に目が覚めちまってね。
変な夢っちゃ。
俺っち、
ごろんと小肥りの
体躯だっちゃ。
ほっ、
生きてるっちゃ。

部屋の薄明かりに、
あと何年生きるのかねえ。
今日また右太ももを痛めちゃってさ。
二本杖でも歩けないっちゃ。
八十一年と十ヶ月生きたなあ、
同じ思いっちゃ。
テーブルの上には
一つ灯りが点いてるっちゃ。
まだまだ、
小肥りで、
詩を書くっちゃ、ってね、
思って、また眠ったね。

夜が明けてみれば、
夜中の、
部屋の薄明かり、
なんて当てにならない。
小肥りっちゃ。
ウッヒョッヒョ、ヒィー、アハハ。
また、これ。
いや、それ。
これ、これ、それ、それ。

 

 

 

貨幣について、桑原正彦へ 31

 

昨日
桑原正彦のアトリエに行った

描きかけの絵が壁にならんでいた

建売り新築住宅と
100円ショップが主題だといった

床に
青いシュラフがあった

そこに寝て
起きては描くのだろう

そこにも枯れた花たちはいた

貨幣に外はあるか
貨幣に外はあるのか

 

 

 

貨幣について、桑原正彦へ 30

 

世界は自己利益で回っている

安倍も
金髪の花札男も

自己利益を見ている
ヒトの自己利益を見ている

ライヒは

外に出ろ
外に出て彼らに見せてやれ

そう言った

貨幣に
外はあるか

貨幣に外はあるのか
いやだなあ

そこには
枯れた花が在るだけですよ

 

 

 

貨幣について、桑原正彦へ 29

 

一昨日
山形新幹線で帰った

新庄で降りて
車で西馬音内まで帰ってきた

ライヒは

外に出ろ
外に出て彼らに見せてやれ

そう言った

母は
去年の昨日

涙を一つ流して逝った
ライヒは外に出ろと言った

貨幣に
外はあるのか

世界は自己利益で回っている