こぼれる

 

村岡由梨

 
 

「白いキャンバスに最初の絵の具を塗り付ける時は何時でも
一瞬、絵筆が、躊躇するの。」
まるでママが、出だしの言葉を躊躇するみたいに?

君が、逆さまにしたワイングラスから雲がこぼれて
空へ昇っていく絵を描いて、
「青空を青く、草原を緑で描くのは安直すぎ」
って先生に言われたそうだけど、
ママは、この優しい絵が好きだよ。
君は今、こんなにも優しい世界で生きているんだね。

「昔の身体をガブガブ食べて、わたし大きくなった」とか
時々突拍子もないことを言う君だけど、
真っ直ぐな気持ちで、
青空を青く、草原を緑で描いた、君の揺るぎなさ。
絵の具だらけの手で顔をこするから、
いつも、顔中、絵の具だらけ。
自分にしか描けない絵を追い求めて
何度も悔し涙の海に溺れて、
無責任な人たちの言葉に
気持ちが壊れてしまうこともあると思うけれど、
君がどこまでも自由に、
自分の描きたかった絵を見て嬉し涙をこぼすまで、
おぼれる こわれる こぼれる
とことん付き合うよ。

そんなことを考える私
の姿を描く君
の姿を詩に書く私
グラスの中の雲を飲み干したら、
私たち、空を飛べるようになるのかな?
そんな風に考えて
二人顔を見合わせて、
思わず笑みが、こぼれる。

 

 

 

 

pâque

 

工藤冬里

 
 

親指から裂けながら
コラージュ主体の世界線で
濁りのひかりのフォントを運ぶ
土の器の
土にではなく入れて運ぶものに器の価値があるのであって
川沿いにじわじわ行きよってえなsouvenirとして
なんか踏んだ?
いや、あのフラーの家今日招待状持って行った
ほうなん?野球は?
黒銀河にアザゼル
突き落とすんやっとおきやいわれて
やっといちゃらいゆうてはみたんじゃが
わしが身代わりでえんけ
いくまいげ弁償できまいげ
見とおみミカン山に立っとらい
まーえにきしゃない牡丹色の病院があったろ
やめやめ数え切れんて
ミカンもうやめたけんな
ほうよ要介護2ーよ
デイは週2行きよらい
今から結婚てて
養子に入ったんじゃけんど
発酵もせんもんで
われてしもとらいの
マックに人肉混ぜよらい
埋めても烏がつつきだしよるけんの
葡萄茶と青緑の
言語を撫ぜるように杯は回され
黒銀河に消えていった
回転する言葉
シャコ色だな
白黒の

 

 

 

#poetry #rock musician

再会funfair

 

工藤冬里

 
 

20年
old faithfulな間歇泉は
怒りの専心を溢れていたのか
きみは高潔​を​歩ん​で​い​たか
自分で自分を精錬するのは難しい
集約を閲覧し花粉を憎み潔白​を示している
家を愛しているきみは平らな場所で7回ワクチンを打った
すき家のネズミのように、あの頃
ワンオペだから差が開いていったのかなあ
賢さは死体の色
奈良か
一人殺したことに比べればネズミなど
自分の中foremostで三権分立
司法の武器化
あれ?マニュアルのレバーがどぎついバーミンガムの紫緑方言が北へ
I am the foremost
親指で塗り消し
died for nothing

 

 

 

#poetry #rock musician