special 特別の 専門の

おなじ
花をみました

特別なものではありません

いつかもおなじ花を
みていました

一昨日は埠頭のある街にいました

ヒメツルソバという花なのだ
そうです

埠頭の傍の空き地に薄いピンクの
花を咲かせて

群生していました

群生しているのをみていました

 

 

 

ton トン

やわらかい
女性のような膨らみでした

重さ4.5トン

ファットマンは
TNT火薬22,000トンの破壊力で

1945年8月9日11時2分に長崎上空で炸裂した

石の使徒ヨハネは眼を見開いてみていた
イエスの首も天使の首も飛んだ

ヒトビトはどこに行きましたか

 

 

 

@140509 音の羽

萩原健次郎

 

 

DSC06085 (3)

 

 

暴れ川と呼ばれた面影はないね。
氾濫して、呑んだのは、幼児だったのかなあ
老女だったのかなあ、

山と川の
天地を逆転して、夜眠っているあいだは
眼の間の、眉間のまんなかに、細い水流があり
見えていないが、
それは、両耳のあいだでもあり
溺死した、高い声を発する
ぎゃあという叫びを、顔面に流している。

泥という字は、
なずむ、と読むことは知らなかった。
溺れた人も、
地が液状になり、川と野の境が失せた

ぼくの眼と、耳のまんなかで

泥になった。
なずんだ。

ここは、いつも夕暮れているようで不思議だ。
午前も、午後も、夜も
泥んでいる。

一画に、春に花をつける木々があり
その下に、黄花の野草が密生している。
その光景も、夕暮れで

むかし、溺れた人の、
ガラスペンで書いたような叫びが
電気のスイッチみたいになって
暮れていく。

なあんだ、絵だったんだ。
一人か二人の、死がね。

それから、叱られる。

なあんだ、劇だったんだね。

それだから、怒鳴られる。

空に、傷つけたな。
また、ぼくの眼のまんなかに
文字を、なずませたね、え、

鳥の糞か。

白い粉になってる。

泥の図が
嵌め絵になって、
ホースの水で、じゃあと、地面に落ちていく。

ありすぎる。
白茶けた、息。

 

連作「音の羽」のうち

 

 

 

reason 理由

風が吹いて
いた

水面を渡っていった

波紋は
振動していた

草木の
花芽の先端の伸びていった

荒ぶるものがある
それが理由だ

そこで生まれた

わたしは
そこで生まれそこに帰る

汽笛は鳴っていた
鐘が鳴っていた

ひかりの中から此の世をみていた

 

 

 

ring 鳴る 鳴らす

昨日は
夕方にモコと近所を散歩した

道端に
花々は咲いていた

それから
西の山に日が沈むのを見た

日は沈み
日は昇るだろう

長崎では
汽笛が鳴るのを聴いた

たくさん鐘が鳴るのを聴いた

長崎では鐘が鳴っていた
長崎では鐘が鳴るのを聴いていた