ケロちゃんとコロちゃん

 

辻 和人

 
 

ケロケロ鳴いていますよ
コロコロ鳴いていますよ
でもって
コロコロ転がっていますよ
ケロケロ転がっていますよ

新居に引っ越してひと月
ミヤミヤが薬局のオマケでもらってきた
ケロちゃんとコロちゃん
小さなアマガエルのマスコットで
マツゲのある赤い洋服のケロちゃんは多分女の子
マツゲのない青い洋服のコロちゃんは多分男の子
両手を広げにっこり顔で突っ立っている
「かわいいでしょ。ここに飾っておくね。」
キッチンの縁に置かれたケロちゃんとコロちゃん
ご飯食べている時もソファーでくつろいている時も
ぼくたちをちょっと上から見下ろす感じ
「あ、また落ちちゃった。かずとん、拾っておいて。」
軽い軽ーい彼らはちょっとした振動でも転がって
すぐ床に落ちちゃう
何気に存在を主張してるんだなあ

ミヤミヤは国分寺の丸井に買い物に出かけて
ぼくはお掃除
ひと息入れようとコーヒー沸かしてたら
「ゥグゥーー、ゥグゥー、コイツラー、ナニー、ナニー。」
新居までついてきた光線君
体をタオル状に変形させ
ふらーりふらーり家中を回遊してるうち
ケロちゃん、コロちゃんの存在に気づいたらしい
「アヤァー、アヤァー、アヤァーシィ、コイーツラー、シィー、シィー。」
ケロゃん、コロちゃんの周りをぐるぐる旋回しながら光線君が叫ぶ
どうやら対抗意識を燃やしているらしい
光線君、お前も十分怪しいんだがなあ
「ただのオマケだよ。気にするようなもんじゃないよ。」

っとっと
触ってないはずなのに床に落ちちゃった
光線君の念が落としたのか?
よいしょっと拾ってキッチンの縁に置き直す
定位置に戻ったケロちゃん、コロちゃん
仲良さそうだ
両手を広げ目をぱっちり開けて
ケロケロ鳴いているよう
コロコロ鳴いているよう
安心したのかなあ
でもまた落ちちゃうんだろうなあ

そう言えばここに越す時に
いろんなモノが処分されてったなあ
「かずとん、この小型の電気ストーブ、今にも発火しそう。危ないから捨てるね。」
「かずとん、このジャージ、くたびれてるから捨てるね。
かずとんって何でモノを買い換えないの?
大切に扱わない割に
モノ持ち良すぎるんじゃない?
このジャージだって、あたしが言わなかったらおじいちゃんになるまで着てたでしょ?」
ああ、そうだよ
今着ている「welcome!」ってTシャツもそうだよ
15年くらい前に買ってまだ着てる
着ない理由が特にないから
着るなって言われなかったら
60になっても70になっても着てるだろう
ああでも、これもそのうち処分されちゃうな
「かずとん、今度一緒に、丸井に新しい服買いに行こうね。」

服や日用品に対してさっぱり思い入れがないんで
買ったら買いっぱなし
同じ奴をいつも着たり使ったりして
その他は捨てるのもめんどくさいから放置
そんな暮らしの臭いが
前の引っ越しではまだ少しは残っていたけれど
今回の引っ越しで根こそぎになりそうだ
見ろよ
このリビング
明るいだろ?
面積は狭いけど
無駄なモノがないし、無駄な仕切りもないから
広々と見える
棚の上には
グラジオラスとウイキョウと名前のわからない黄色い花
勤務先の華道部でお稽古した花を活けたんだそうだ
「ね? 部屋がぐっと華やかになるでしょ?」
窓の外の3坪半しかない庭は更地のままだけど
今度ウッドフェンスを立てるらしい
昨夜、ミヤミヤは
取り寄せたカタログをそれはそれは熱心に見てた
ページから目を離すと振り向きざまに
「ちょっと高いけどずっと使うものだし、ある程度材質の良いものにしないと。
植える植物もこれから考えなくっちゃ。」
うぉ、すごい気迫
不意を突かれたぼく
「ああ、いいんじゃないかな、きれいになるんなら。
ぼくとしてはできるだけ安くあげたいもんだけどさ。」

落ちちゃうモノがあって
拾われてくるモノがある
それもこれもみーんな
生身との接触のおかげ
強い意志を持つ生身にはかなわない
かなわなくてもいいさ
接触して変化する
うん、自然
すごく自然だ

てなこと考えてたら
せっかく淹れたコーヒー、少し冷めちゃったよ
生身と接触しなくても
変化する時は変化するんだ
これはこれで自然なこと
ズズッとひと口啜って
うん、まあまあうまい
ちょっとは落ちたけどちょっとは拾えた
落ちて、拾って
こんなことが
この明るい、狭いけれど広く見える空間の中で
姿を変えながら
繰り返されていくんだろうな

ケロちゃんとコロちゃん
今のところまだ静かに立っている
ケロケロ鳴いていますよ
コロコロ鳴いていますよ
でもって
何かの拍子に
コロコロ転がっていますよ
ケロケロ転がっていますよ
になるかもしれない
「ゥグゥーー、ゥグゥー、コイツラー、
オーマーケー、、アヤーシィクー、ナーイーイー。」
三角の目を丸に変えた光線君が叫ぶ
そうそう、その調子
光線君、いつまでも仲良くしてやってね
ぼくとミヤミヤも
落ちたり拾われたりしながら
仲良くやっていくからさ

 

 

 

とがりんぼう、ウフフっちゃ。

 

鈴木志郎康

 
 

尖った
尖った
とがりんぼう、
ウフフ。
とがりんぼう、
ウフフっちゃ。
ウフフ。

春だなあ、
四月も半ば、
夕方の日差しがながーく、
キッチンの床に射し込んでるっちゃ。
こんな一日もあるっちゃ。
とがりんぼう、
ウフフ。

とがりんぼうっちゃ、
何ね。
俺っちの、
禿げてきた
頭のてっぺんってか。
ウフフ。
違う、違う、
違うっちゃ。

尖った、
尖った、
とがりんぼう。
ウフフ。
春の気分の、
とがりんぼう。
ウフフ、
ウフフ。

 

 

 

貨幣について、桑原正彦へ 32

 

嵐の朝にめざめた

新丸子から
引っ越してきた

嵐の風の中に
ハクセキレイの声が聴こえた

チユチユチユと
鳴いてる

マリア・ユーディナの
平均律の

22番を聴く

そこにも枯れた花たちはいた
そこにも枯れた花たちはいた

閃光は言葉の先にあった

 

 

 

さくら

 

長尾高弘

 
 

さくらはやっぱりさ、
満開だってときより
ちょっと散ってる方がいいなって感じだよね、
そんなこと言っちゃいけないんだけど。
ってそこまで言ってから、
あれ、変なこと言っちゃったなって思ったよ。
そんなこと言っちゃいけないんだけどって
言ったことだけどね。
言われた相手はスルーしちゃったけどさ。
これって、毎年さくらの時期には言ってたことなんだよ。
でも、今年に限っては、
さくらのように潔く散れって言われて、
戦争で命を落とした人のことが頭をよぎったんだ。
なんでかって?
たぶん、
学校で銃剣道を教えてもいいってことになったとか、
教育勅語を教材にしてもいいと閣議決定したとか、
そんなニュースばかり聞かされてるからさ。
銃剣てさ、単なる人殺しの道具でしょ。
戦争のときはあれで無抵抗な人をどんどん突き殺したって話じゃない。
そうやって殺された人たちの子孫はどう思うんだろうね?
それにさ、戦後になってもあんなのやってたのは、
自衛隊だけだっていうんだよね。
誰が教えるんだよってことさ。
学校の体育の先生だって教えられないでしょ?
元自衛官が臨時教員にでもなって
学校に教えに来るのかしらん?
それじゃあ戦時中の軍事教練と変わんないじゃないか!
で、教育勅語といえば、
戦争になったら天皇のために死ねっていう
絶対的権力者の臣民に対する命令だよ。
さくらのように潔く散れって言葉のもとさ。
自分の生命を大切にしないことを叩き込まれて戦場に行ったから、
手当たり次第誰でも平気で殺せたんだと思うよ。
いや、平気ってことはなかったと思いたいけど。
だからこそ、今の憲法には、
国民は、個人として尊重される
って書いてあるんじゃないの?
その憲法に真っ向から対立するものとして、
国会が排除無効を宣言した教育勅語を
なぜ政府が勝手に復活させられるんだ?
そんなこと考えてたからさ、
潔く散れって言われて殺された人や
その人に殺された人のことを考えたら、
さくらが散るのがきれいだなんて、
とても言えないよねって、
思っちゃったんだよね。
むしろ、今までそこに頭がまわらなかったのが
おかしかったんじゃないかってことだよ。
でもさ、
そんな悪い比喩にいつまでも振り回されたくないじゃん。
さくらの花はたださくらの花として愛でたいよ。
戦前日本ときっぱり決別しない限り、
それが許される日は来ないんだけど。

 

 

 

引っ越しで生まれた情景のズレっちゃ何てこっちゃ。

 

鈴木志郎康

 

 

詩人のさとう三千魚さんが引っ越しちゃった。
「さよなら、新丸子」のFaceBookの投稿だっちゃ。
前の座席の背後の写真だっちゃ。
さとうさんは車の後ろの座席からスマホで撮ったっちゃ。
「新丸子から先程、しぞおかに帰ってきました。
あの洋品店のウインドウの老姉妹や、
帰りの裏道の花たちをもう見ることはないんですね。」
って、
日々を追ってFaceBookに投稿されてた、
老姉妹のあの洋品店のウインドウの写真、
夜の闇に吊るされてたセーターの写真、
帰りの裏道の花たちの写真、
それを、
俺っちも、
もう見ることはないっちゃ。
ここが、実は、極めての、
問題なんっちゃ。
さとう三千魚さんはコメントに、
「意味を持たずに堆積した記憶がわたしたちの自己の意識を形成していますね。
ことばはその堆積から生まれる萌芽でありましょうか。」
って、書いてるっちゃ。
日頃の生活で、
どんなふうに詩が生まれてくるかってこっちゃ。

人が生きてそこに居れば、
そこにその人を囲む、
ぐるりの情景が生まれるっちゃ。
「新丸子には、13年程住みましたが、
週末には静岡に帰っていましたので静岡と東京を行ったり来たりしている感じですね。」
って、
さとうさんは、
週始めに、
新幹線で静岡から東京に、
その早朝の
「ひかり 5号車、通路にて」の車窓からの写真、
熱海辺りの遠い海と流れる家。
その週末に、
静岡への夜の車窓から、
「こだま 5号車11番A席」で、
縦横に並んだマンションの窓の灯り。
そして、
翌朝、
「good morning moco!
good sunday everyone!!!」
愛犬に挨拶、
SNSの徘徊者に挨拶。
そして海辺に散歩して、
「海辺にて」の写真。
磯辺に波が寄せてるっちゃ。
三千魚さんの写真はほとんどお決まりの写真。
お決まりの生活から撮られた
お決まりの写真。
ウフフ、
それがいいのだっちゃ。

さとう三千魚さんは
詩を書く。
言葉を書くって、
もともと、
権力者が支配の定めを書いたってところから、
始まったっちゃあね。
だからさ、
個人が
行き先の定まらない言葉を書くっちゃってことはさ、
己れの生きる権利の行使なんっちゃ。
貨幣に組み込まれたお決まりの生活、
お決まりの生活で産まれる言葉、
個人の感情の言葉、
個人の思考の言葉、
個人と個人の連けいの言葉、
俺っちたちは、
そこに生きてるってこっちゃ。
さとう三千魚さんは、
お決まりの生活して、
「左手でiPhoneを持って、
右手の親指でiPhoneの丸いボタンを押して」
お決まりの写真を撮って、
頭の中に、
詩の言葉が生まれたっちゃ。
そして、
その言葉を書いたってこっちゃ。

これがさとう三千魚さんの詩だっちゃ。

貨幣について、桑原正彦へ 28
投稿日時: 2017年3月15日

昨日は
ライヒのCome Outを聴いて

東横線で帰った
目をつむってた

ライヒは

外に出て彼らに見せてやれ
そう言ってた

外に出ろ
そう言った

新丸子で降りて

夜道を
帰る

老いた姉妹のウィンドウの前で佇ちどまる
重層した声が外に出ろと言った

さとう三千魚さんは引っ越しちゃった。
川崎の新丸子から
もともと住んでる静岡の下川原へ引っ越しちゃった。
もう老いた姉妹のウィンドウの前で佇ちどまることは
ないっちゃ。
このズレっちゃ、
このズレっちゃ。
ズレるとそれまでみえなかった姿が見えてくるっちゃ。
「引越し、やっと終わりました。
これから片付けが大変です。」
なんとも意味深い片付けだっちゃ。
言葉を書くと、
言葉の形が出てきちゃう、
形と意味とのぶつかり合い、
そこんところで、
言葉をぶっ壊す力が
要るんだっちゃ。
「外に出ろ」
ぶっ壊す力、
ぶっ壊す力、
それが、
俺っちの心掛けっちゃ。
ウフフ、
ハハハ。

 

 

 

4月の歌

 

佐々木 眞

 
 

 

だいだい色の夕空の下、
ぼくらは、思いっきり、両手を伸ばして、羽ばたいた。

のぶいっちゃんが、いた。ひとはるちゃんが、いた。
みわちゃんが、いた。ぜんちゃんも、いた。

ブーン、ブーン、ブーン
ぼくらは、みんな、ヒコーキだった。

丹波の、綾部の、西本町だった。
春の空気は、冷たかった。

のぶいっちゃんが、歌った。
「だーるまさん、こーろんだ」

ひとはるちゃんが、歌った。
「ぼんさんが、へーこいた」

みわちゃんが、歌った。
「商売繁盛、笹持ってこい」

ぜんちゃんも、歌った。
「弁当忘れても、傘忘れるな」

みんな、みんな、幼かった。
みんな、みんな、夢を見ていた。

みんな、みんな、いいこだった。
みんな、みんな、いいこだった。

 

 

 

俺っち赤ん坊を抱いたの何年振りだっちゃ。

 

鈴木志郎康

 
 

みつききぬよよしみつつばさの
尻取り名前家族が、
俺っちの、
家にやって来たっちゃ。
義光ちゃん、三ヶ月と一日、
三月ちゃん、七年零ヶ月十三日、
翼さん、二十三年八ヶ月二十五日、
絹代さん、三十四年四ヶ月二十日、
麻里、六十六年五ヶ月と九日、
俺っち、八十一年十カ月と六日。
わーいわーい、
生きた日にちの数が部屋に溢れたっちゃ。
みんな、生きているっちゃ。
三ヶ月と一日の義光ちゃん、よっちゃん、
義光坊よ、
これから事故に合わず病気せず、
事件にも戦争にも巻き込まれずに、
九十、百まで、
長い長い月日を生き抜いくれっちゃ。
その時この世界はどんな世界っちゃあね。
俺っちはもういないっちゃ。
ホイホイ。

母親の絹代さんに抱かれた
義光くんは
喃語を口に、
父親の翼さんに渡されて、
俺っちの
この部屋の
テーブルの
椅子にちょこんと、
座らせられ、
王子様よろしく、
頭をぐるりと回したっちゃ。
可愛いねえ。
そして次に、
お父さんから、
俺っちに、手渡されたっちゃ。
おう、おう、
俺っちは、
何年振りかで、
赤ん坊を抱いたっちゃ。
重いっちゃ、
重い。
頬を指先で触って見た。
ウッホッホッ、
ウッホッホッ。
義光ちゃん、
義光坊、
どんどん大きくなれっちゃ。

義光ちゃんは
お母さんの胸に抱かれて、
両方の乳房からおっぱいを飲んで、
両腕の中で、
ゆるゆる揺られれて、
喃語をつぶやき、
眠っちまった。
満腹の至福に眠るって、
それが人が生きるってことっちゃ。
生き物ってことっちゃ。
おやおや、
俺っち、
赤ん坊を前に哲学かいな。
ウフフ、
ホイホイ。

 

 

 

権柄面のおっさんの顔にちょろい俺っちの顔

 

鈴木志郎康

 
 

俺っち、
新聞紙にざらっと出てた
どこかのおっさんの顔付き見てさ、
頭で突き上がった、
こいつどぎつい奴っちゃって、
感じた瞬間に、
俺っち、
自分に向って、
ほんと、俺っちって、
ちょろいなって、
言っちまってさ、
こん畜生、なんて顔だっちゃ。
おっさんの顔が、
凄え権柄面でよ。
横恣の横紙破りの面構えっちゃ。
こいつの脳味噌に何が詰まってるっちゃ。
俺っち、
自分の顔と比べちまってさ、
鏡で見ると、
ウホホッ、
確かに、俺っちの顔は
ちょろい、
ちょろい、
俺っちって、
ちょろいって、
また、
言っちまったっちゃ。
まあ、呑気なものだっちゃ。
ウホホッっちゃ。

ちょろいって、
明鏡国語辞典には
「考え方ややり方が安易であるさま。見えすいていておろかしい」って、
書いてあるっちゃ。
俺っちの生き方って、
安易は、ウホホッっちゃ。
見えすいてる、
確か、
その通り、その通りっちゃ。
権柄面のおっさんの顔はごついっちゃ。
座敷に通され、
鰻を矢鱈に食ってるんか。
顎で人を動かし、
遠くから目配せで人を自殺に追い込んだって、
邪推したくなる顔っちゃ。
その眼が優しく見えるのが奇怪っちゃ。
やだね、その眼、その顔つき。
俺っちは独立個人っちゃ。
ちょろいっちゃ。
人の為はともかくも、
世の為なんて糞食らえっちゃ。
ちょろいっちゃ。
独りで立ってるって寂しいよ。
ちょろいっちゃ。
俺っち、
それが誇りよ。
自分独りを立てて、詩を書いて来たっちゃ。
詩集の数が、
大したことないけどプライドだっちゃ。
俺っち、
ちょろい顔で、
やってっちゃ。
ちょろい俺っちだから、
詩が書けると、
居直っちゃおう。
ウホホッ、
ウホホッちゃ。
ハッハツハッ。

 

 

 

奴と俺っちとわからんっちゃ

 

鈴木志郎康

 
 

俺っち
いきなり、
奴に脚を引っ掛けられたっちゃ。
土手の草むらに
仰向けにすっ転んで、
奴を見ると、
奴は笑っているっちゃ。
その顔が
なんとも言えない、
いい顔だっちゃ。
こいつは、
俺っちの
友だちだっちゃ。
仲間だっちゃ。
ハハハ、
ハハハ。

俺っち
立ち上がって、
尻の枯れ草を手で払って、
奴に近寄って、
笑ってる顔に、
柔らかく、
拳の一撃をお返ししたっちゃ。
ハハハ、
ハハハ。

俺っちがやられたのは、
俺っちに
隙があったからだっちゃ。
その俺っちの隙に
奴は、
俺っちの仮想敵になって、
その敵意を、
サッと感じて、
試したっちゃ。
敵は常に隙を伺ってるっちゃ。
その予防だっちゃ。
ハハハ、
いい奴っちゃ。

友だちか、敵か、
厄介だっちゃ。
共に生きてるって、
涙流して手を取りあった友だちが、
ある時突然、
手の裏返したように、
敵になっちまうってこと、
現実にあるんだっちゃ。
その心底の、
自己防衛は、
わからないっちゃ。
いや、わかってるっちゃ。
ワッハッハッ、
ハハハ。
奴がいつ手を裏返すか、
わからんっちゃ。
ワッハッハッ、
ハハハ。