柄眼類の胎児 *

 

さとう三千魚

 
 

昨日は

女と
モコと

墓参に行った
墓地の上空は晴れていた

帰りに
近所のスーパーに寄った

スーパーの壁には子どもたちの書が並んでいた

空という字
並んでいた

空 空 空 空
空 空 空 空
空 空 空 空
空 空 空 空

たくさん
たくさん

並んでいた
それからわたしは居間のソファーで夕方まで眠った

傍らで
モコも眠った

言葉もなく

柄眼類は
触覚の眼を伸ばすだろう

女はエアロビスタジオに行った

 
 

* 高橋悠治のCD「サティ・ピアノ曲集 02 諧謔の時代」”ひからびた胎児” より

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

ウラー!カラマーゾフ

 

工藤冬里

 

すべての涙の想像がつかないので疑う
根からマスクを取り除く
墨色の死の霧が晴れてゆく
地底と海底にドームを吊る
重い支柱を気球で運ぶ
死は食べるものではない
呑み込まれるものだ
エジプトに逃げず進んで行って当然の報いを受けた
荒廃のガソリンを満タンにして
救援ディアコニア
カードローンを払ってくれた男の死体を凝視めるドスト氏

draw◯
haul❌

雨かと思ったら擦れ合う木の葉だった
ボジョレー解禁日は無くなればいい
痛む肺を押さえながら
二百年かけて説得してきた
美術手帖も無くなればいい
四次元はあまりにも非道過ぎる
今はコレラ禍で
殺されたのは原敬である
ウラー!カラマーゾフ
星は監視カメラだ

首は傾けてはいけない
90年代は心が別のことに向かったので
柔軟性が必要だった
正しい態度を持つ人を探す
デフォルメされた人が
耳も大きいのは良い
オールバックの小母さん
首を傾けてはいけない
耳が大きいのは良い
柔軟にデフォルメされた人を
高さの詰まらなさを探す
柱は届かない

 

 

 

#poetry #rock musician

生盛薬館

 

廿楽順治

 
 

せいせいやかんのばいやくは
(オイチニイサン)

上手に数えることで
世界はまっすぐに暮れていくが
いったい

実人生とはなんであるか
咳なのか

ラッパのように鳴り出す路地で

足されることも
まして風景から引かれることもなく
生きていくことに

オイチニイサン
貴様はすこし泣いているのではないか

(せいせいやかんのばいやくは)

数のふりして
やかましく
膨らんでいくが

ずっとは
生きていけない内臓なのさ

 

 

 

花より団子

 

佐々木 眞

 
 

花より団子
団子よりタンゴ
タンゴより丹後

丹後より丹波
丹波より哲郎 
哲郎より鉄道 

鉄道より自転車
自転車より散歩
散歩より散髪

散髪よりパーマ
パーマよりパーマン
パーマンよりアンパンマン

アンパンマンよりセールスマン
セールスマンよりウルトラマン
ウルトラマンより人世マン

人世マンよりマントヒヒ
マントヒヒよりネアンデルタール
ネアンデルタールよりホモ・サピエンス

ホモ・サピエンスよりホモ・セクシャル
ホモ・セクシャルより野茂英雄
野茂英雄より野口英雄

野口英雄よりリービ英雄
リービ英雄よりリーバイス
リーバイスよりストラウス

ストラウスよりシュトラウス
シュトラウスよりベートーヴェン
ベートーヴェンよりモーツァルト

モーツァルトよりモンドリアン
モンドリアンよりエイリアン
エイリアンよりシガニー・ウィバー

シガニー・ウィバーよりマリリン・モンロー
マリリン・モンローよりオードリー・ヘプバーン
オードリー・ヘプバーンより若尾文子

 

 

 

雫石

 

道 ケージ

 
 

雫石をどうすべきかは
皆知っているようだ
何もわからない私は
途方に暮れる

なんのためにあるのか
どこにあるのかさえ
わからない

調べてくれる田村は
二階の片づけに忙しい

橙の水玉模様
板状らしい

どこで知ったのかわからない
それをどうするのか
なんのためにあるのか
わからない

ともかくも
何かに必要らしい
雫石は何になる

あやめたい朝に
曇が映る
好都合のように

露がたまると
もう不吉ではいられない

走らされ
シャツを引き裂くと
それが合図のようだ

ハバロフスクあたりの
郊外の水で
犬の死体を見た

 

 

 

無柄眼類の胎児 *

 

さとう三千魚

 
 

女が
台所で

洗い物をしている

水の音が
聴こえる

金木犀の木立の中で

今朝も
雀たち

鳴いていた

朝の光の中でナメクジが金色に光るのを見たことがある

柄眼類なのだろう
体の端から

触覚の眼を伸ばしていた

伸びる触覚の眼がない者が
無柄眼類というのだろうか

黒く大きな瞳をしていた
黒く大きな瞳をしていた


きみは

黒い瞳で空を見ていた

 
 

* 高橋悠治のCD「サティ・ピアノ曲集 02 諧謔の時代」”ひからびた胎児” より

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

わたしたちはどうして死ぬまでここに座っているのだろう

 

工藤冬里

 


縦横に織りなされゐし内奥の何かのやうにむらさきの紐
夢で糺される杉のchoochoo
ミニアさん
ソチュアト
三津浜
なんと寿司
同じ通り
いとやん
蛙軒ゲロ軒
田中戸
Como no son parte del mundo, el mundo los odia
池上彰の14歳からの政治入門を返しに来た人が、他の作者で似たような本はないですかというので斎藤美奈子学校が教えないほんとうの政治の話と響堂雪乃ニホンという滅びゆく国に生まれた若い君たちへを紹介した
Hago exactamente lo que el Padre me ha mandado
Consideramos felices a los que han aguantado
小坂の翔の、春光亭がベトナムに移転したようなトリ魚介平打で、駐車場になりたいとさえ思えてきたのを、
Cuando hay comunicación, los planes salen bien; haz tu guerra con orientación experta
不平等だと国が成り立たないと憂えるのではなく国がそもそも成り立たないから格差が開くのだと思い直すべきだ。
国家よりも大きい旅商人達から見れば不平等だと騒ぎ立てる「国民」は「何それ?」という感じだろう。
劣勢の全体主義国家の言い分が「ホワイト」に見えるのもそのためだ。
Si el mundo los odia, ya saben que a mí me odió antes que a ustedes
Take away for free
70代生活保護夫婦に頼まれギターの五弦を苦労して張り替え終わり、動機は加山雄三だったというのでブラサンビーチの一節を弾くとおゝ、俺は十番街の殺人が一番好きで、と話し始める。
malmute
やまぐちゆうた
crum
clum
東に今日高円寺だと伝えると第8ぱなのになぜ来るのかと言われた
大江カレーの牡蠣美味しかったですよ
あゝいう暗いディストーションはBGMに合うんですね
見かけの動きはいく通りかの数式で表すことができる
数式によって動くのではなくて観察者によって数式が作り出されるのである
そうすると数式を使って説明しようとする行為そのものが真ではないと言える
死者とは観察者ではないというだけで、データとして立派な存在である
今や死者の方が生きている
国とは見かけの国であるので死者は国民ではあり得ない。国葬や地域興しデザイン主義が意味を成さないのはそのためである
インターナショナルを唄うのは死者たちである
観察者たちが歌うのはすべて鬼太郎のテーマソングである
一切の希望は死者にあり一切の人権は死者にある
数式がなければ貨幣もない

Ayuden a los que son débiles
今月はプチ今村夏子フェアを設えますのでどちら様も奮ってご来車ください。
https://jla.or.jp/demand/tabid/78/Default.aspx?itemid=6548言われても絶対置かないからな
https://addendumrecs.bandcamp.com/album/black-eyed-susan-live-at-forestlimit-2017アリゾナにもカッティングマシンはありぞな、もし
愛は感情ではない
愛の反対語は感情
愛はカットされた石
蝶になる毛虫がぶら下がる新築の家は六角形の多面体で
雪達磨を止めるsarcastic なブルックリンの坂で
自分を見る
脾臓フィロストルゴス

「安らかな心は最高の枕」
Why are we sitting here until we die? 2k7:3
わたしたち​は​どうして​死ぬ​まで​ここ​に​座っ​て​いる​の​だろ​う
音楽は昔は一つだったかもしれないが今は音を使っているというだけで用途は全く分断されている

https://youtu.be/u5WN1iKEEUw leven(e)違いだった

 





 

 

 

#poetry #rock musician

年终总结
年の終わりの締めくくり

 

Sanmu CHEN / 陳式森

 
 

手中的命運線鬆開,
樂師鬆開了琴弦,
彷彿要撈起那些暗黑的血姓名,
讓沉默開始沉默。
這一年死期將至,一如少年。
昨日的月亮,血眼睛,全食。
且石頭正緩慢成熟,
趨向着行星,成為光束
去承認黑暗,瀕臨垂熄的手相。
哦,鹽越來越重。低音。
這一年堅硬無色,鹽艱困成巖。
鐵淚渾圓,她淚懸一線!
她沿着鐵道,沿着坍塌的長城
讀我,讀杜甫!沿着忘川之水。
沿着籟籟之聲,脆弱的秋色。
擋住去路的水馬鐵馬,
哭號南無!誦讀詩篇。
掌心的命運線填滿陡峭的雨,
垂直。直擊秋日的深處。
從大海。

 
2022年11月9日、12日
血月次日 西貢

 
    .
 

手中的命運線鬆開,
 掌の運命線が緩やかに開き、
樂師鬆開了琴弦,
 奏者は琴の弦をゆるめて、
彷彿要撈起那些暗黑的血姓名,
 まるであの黒々とした血の名前をすくい上げようとするかのように、
讓沉默開始沉默。
 沈黙を沈黙に向かわせる。
這一年死期將至,一如少年。
 この一年が臨終の時を迎えるのも間もないのだが、変わらぬ少年のようだ。
昨日的月亮,血眼睛,全食。
  昨日の月は、血の眼の、皆既食。
且石頭正緩慢成熟,
 まさに石は緩慢な成熟をとげつつあり、
趨向着行星,成為光束
 惑星に向かって、光の束となるが
去承認黑暗,瀕臨垂熄的手相。
 暗黒の行方を認める、薄れ消えかかった手相なのだ。
哦,鹽越來越重。低音。
 おお、塩はいよいよ重く。低く音を響かせる。
這一年堅硬無色,鹽艱困成巖。
 この一年のうちに堅く無色の塩は艱難のうちに岩となった。
鐵淚渾圓,她淚懸一線!
 鉄の涙はまん丸な粒となり、彼女はいまにも溢れ落ちんばかりの涙をたたえている。
她沿着鐵道,沿着坍塌的長城
 彼女は鉄道に沿い、崩れた長城に沿って、
讀我,讀杜甫!沿着忘川之水。
 私を読み、杜甫を読むのだ!忘却の川の水にそって。
沿着籟籟之聲,脆弱的秋色。
 かそけき風の音に寄りそう、はかなげな秋の色。
擋住去路的水馬鐵馬,
 行く手を遮る放水とバリケードに、
哭號南無!誦讀詩篇。
 南無と泣き叫び、詩編を朗誦する。
掌心的命運線填滿陡峭的雨,
 掌の運命線は激しく降り注ぐ雨に充填され、
垂直。直擊秋日的深處。
 垂直に。秋の日の深みを直撃して。
從大海。
 海にいたる。

 
2022年11月9日、12日
血月次日 西貢
 ブラッドムーンの翌日、サイクンにて

 
 

日本語訳:ぐるーぷ・とりつ