餉々戦記 (微塵無尽にもどき 篇)

 

薦田愛

 
 

月改まって葉月はちがつ
屋外での活動はなるべく控えてください夜間も積極的に冷房を
という夏のさなかだのに
いささかもおとろえる気配のないわが家の
いえ私の食欲
夏やせ知らず
かえりみるに
いつの夏もそうだった
近ごろ外食は少なくなったが会社勤めの頃は
なんでももりもり食すもののとりわけ
穴子の天ぷらあじフライ蛸の唐揚げ鯖の竜田揚げ薩摩揚げ串揚げ
フリット諸々もメニューにあれば注文せずにはいられなかったほどに食いしん坊で
むろん厚揚げだの練り物のごぼう巻だのあぶって生姜醤油というのも目がない
けれど
うちご飯の朝餉夕餉に
そうだ作ってみようとスイッチが入らないのは
油が撥ねてアツッとなるにちがいないことや
使ったら漉してストックしたり固めて廃棄したりの始末を横着がる
不心得者だから
とはいえ
食べたい思いが募りにつのり
面倒くささを凌駕しそうな日があり
さらにごくごく稀だが
ついに凌駕する日もある
暑気より疲労より食欲がいやまさる恐ろしい夕べ
この場合けっして
つれあいユウキの底なし型食欲が招く事態ではない
だから
今夜はあれを作る

ネットでしばしば目にする
――と感じるのは恐らくアルゴリズムのなせる業だが
揚げないなにがしだの、何なにの揚げ焼きだのという文言
その
とても無理と彼方へ押しやるあきらめの呪縛をゆるませる言葉が
そよいで
フライパンをひたひた満たすから
つい、ね
つい
これならできるんじゃないかと
勘違いしてしまう
だってほら フライパンって
つまるところフライ用のパンではないか
炒めるのと揚げるのとの境界はどのあたり
目玉焼きはフライドエッグなのだもの

はじめは揚げない南蛮漬けだった
三枚におろされたあじやいわしのパックひとつ分
削ぎ切りにして塩こしょうに薄力粉
焼くより幾分多めのオリーブオイルでジュッジジッ
裏返してジュジュッ 蓋してそろそろいいかな皿にとり
にんじんの千切り玉ねぎスライスしめじも炒めてしんなりしたらドッドサッドサ
ああ多すぎたなと毎回 そこへぽん酢をたっぷり
って
食べていたのだったけれど
いま思えばどこかあの
豆腐ステーキの魚版って趣き

けれどある日
真夏ではなかったその日
いや いいや 
やっぱりね
欲望にはとことん正直になりたい
揚げない南蛮漬けも美味しいけれど 
本当のところ
がんもどき食べたい
あじフライより天ぷらより
がんもどき食べたい
飛竜頭というのだ関西では
豆腐生地に野菜やらひじきやら時に銀杏やらきれいにちりばめられて
じゅじゅうっと滴るほど煮汁をふくめるあの
やわらかさ
でも、ねえ
おでん種にするには他にも揃えるのがちょっと骨だし
何より
まぁるく揚げるには油をたっぷり張らなくては
でも食べたい がんもどき食べたい
あるかなあ揚げないがんもどき
揚げ焼きでできるかなあ
キーワードふたつかみっつでさがす
――あっ あるよ
揚げ焼き版がんもどき
おお 揚げないからがんもどきじゃなくて
がんもどきもどき、だってさ
同じくらいに油の始末が億劫なひとや
同じくらいに食いしん坊の始末屋のひとかな
同じくらいにヘルシー志向なのは確かだな
すごいすごいや
薄くまとめて作るレシピが次つぎ

木綿豆腐はキッチンペーパーきっちり巻いて重石の平皿乗っけて水切り
ゆでてざるにあげるやり方はその後に知った
探し続けてプリントしたレシピ三つを並べてふむふむ豆腐一丁分で片栗粉は
だいたい大さじ三杯なんだな
塩や砂糖は入れたり入れなかったり
超時短派レシピだと干し椎茸をそのまますりおろして投入するとか
別のレシピは豆腐の水分でもどるからひじきもそのまま使うとか
山芋入れるのもあるなあ
(これが本式なのだとわかったのはずっとあと)
すごいなあ考えた人たち
ありがたや
いいとこ取りとしっくりするやり方を手探り
もどした干し椎茸は細切りのち微塵切り芽ひじきも右に同じ
直売所でみつけた無農薬にんじんもカタカタ刻み
畑でとれた黒枝豆を昨日ゆがいた残りもひとにぎり大まかに刻み入れ
賞味期限きれて久しいけどアミを半袋
生姜も入れようおろさなくても粉末のがあったっけ
微塵無尽オレンジに緑こげ茶に黒
ぐぐぐっちゃり崩してゆく豆腐の生成りに色をこぼせば
ステンレスボウルの冷たい肌はすっと曇って隠れ
しとっと重くなる
片栗粉を大さじ三杯振り入れ使い捨てビニル手袋の手で混ぜる
にちゃっぬちゃっ
フライパンに大さじ三、四杯目分量のオリーブオイル
カレースプーンで掬ってずとっとおとし
隣にまた
ずずっとおとし
平たく平たぁく あっ
こんなだった
昔いただいたことのある豆腐屋さんの
木の葉に似たかたちの平たいがんもどき
木の葉がんもって呼ばせていただいたのだった
比べればこれはずっと小さいけれど
アツッ 少なめの油だってやっぱり撥ねる
水切りしたって豆腐だもの
あらら
あとから間におとしたのがくっついちゃった
フライ返しと菜箸でくくっと隙間をあけ
うらがえっあっ
ふちから落っこっあっ
だ だいじょうぶ
最初に焼いた側はつるっつる
こんがりには届かないもっと焼こう
「おお、何作ってるの なんだろう」
やぁ待っててねもうしばらく
お楽しみにと言って大丈夫かどうか
うらがえして皿に取ると油はすっかりなくなったので注ぎ足し
一丁の木綿豆腐から平べったい小さなそれが
フライパンで二回分つごう十四枚ほど
大皿に重ねてスマホで二カット
ぽん酢とおろし生姜を添えて食卓へはこぶ
箸をのばすユウキの口もとが気になる
いや
最初の思惑からすればね
食べて私が美味しければいいのだけれど
小さめの平たいそれを取り皿に二枚
ぽん酢をたらし口から迎えにゆく香ばしい大豆がふっとにおう
んん
美味しい
みるとユウキも頬張って一枚食べ終わったところ
「あのさ 
ふつうのがんもどきって僕はとくに好きじゃないんだけど
これは美味しいよ こんなふうに食べるのは好きだな
ふつうのよりこっちのほうがいいな」
ほんとに? もどきもどきなのに?
うれしいな たしかに美味しいよね
「きっと柚子胡椒があうと思うんだ」
持ってくるよ。こないだ買った柚子山椒もね
柚子胡椒はもちろん柚子山椒も後押ししてくれて
平べったく小さなそれは何枚も残らなかった

がんもどきもどき
なんて言うけれど
雁の肉とがんもどきの距離より
油少なめまんまるく揚げていないこのもどきもどきまでの距離は
思っていたよりずっと小さかったよ
もちろん本式もどきの
煮汁たっぷりふくむことのできるふっくら加減には
及びもつかない
けれど
とりどり混ぜ込む微塵無尽にいささか手間がかかる
けれど
暑さ寒さに負けないわが(家の)食欲みたすレパートリーのかなり上位にこの夜加わった
もどきもどきのための木綿豆腐をいま
冷蔵庫から出すところ

 

 

 

peace frog*

 

工藤冬里

 
 

カレーに転身
胃瘻に検診
尾籠な塁審
ティンカーベルは陽性
なので反共とコミュニズム、自己否定としての反日と自足としてのナショナリズムは金の出所が同じだったと思いながら思いつつ
犀のように吐きながら進め
雑魚はいいからカメラは国連と政教分離のトレンドのみを追え
願わくば私が仰向かんことを!
記録的短時間大甘情報
付き合いもあるし、腸内菌の嫉みの際にも手伝ってもらっている
openfield with no child
ドブ胡瓜のインド屋台風
ドブ胡瓜は極限まで細く縦切りにし、それらしいスパイス全部入れて炒める
裂けトマトなどあればそれも潰して混ぜる
砕いたインスタント麺を入れ溶き卵を加えて数分で出来上がり
非常に量が増すので二人分でも多いくらい
冷やし胡瓜の深沢七郎風
胡瓜は極限まで薄く輪切りにし、冷たいご飯に乗せる
冷たい残り物の味噌汁を掛けて出来上がり
鯛の擂り身などがあれば伊予薩摩と呼ぶこともできる
あとは
・メロンと思ってスプーンで食べる
・冬瓜と思って煮る
など
それはどんなジャンルなんですか
えーっと,例えば、純粋な数式だけを音にしてるんです
昭恵は徹也を許すチャンスを逃さない
peace frog
腐る服を着てインスタにアップしながら
技術は
いやに黄色い
熱り立った人を
水と思え
竹籤は折れ
瑠璃は逃げる
お気持ちはよくわ分かります
からきしだめな
オルナンはアラウナ
神罰でさえ良いこと
水を探り当てる
Take away from me the noise of your songs;
for I will not hear the melody of your viols.
紙が飛ぶ
すぐに腹を立てない 
万札と思って追いかける
裁判官が目撃証人
何回も洗濯して白が褪せている
職場では無理だ
四国だけ井戸にするとかスーパーやコンビニをなくすとか集落ごとに電気を自前でまかなうとか山を掘って住むとかは八十八ケ所的結界妄想と出所が同じだったが、エデンは最早展げるものではなく覆うものなのだとしたらグローバリズムにも積極面はあるということになって笑いが込み上げる
理由を見つけて
靭帯の平和
ひとり
いろいろ
善悪を判断する機能は?
違いを楽しむ
人の舎弟を批判しない
分画はどの時点で血ではなくなるか
ネオンは輸血していい
自分の感覚に従うのは良心に従うのとは違う
謙遜温和辛抱愛
良心は詩ではない
森山さんシンバルキレイね#フジロック
ワタラセはカモガワみたいだったけどね
時間を轆轤にかけて細長く筒にしているだけではないのか
「私が人間であったことなど一度もない」エマヌエーレ・コッチャ
一致する理由しかなかったがそれでも憎み合う理由を見つけた
一致する理由はなかったが一致した
靭帯の伸び縮みが平和
違いを楽しむだろうか
アル中だろうか
一生は素早く過ぎるので
腰掛けだと思っている

料理を削ぎ落とす
貯蔵はできないわ

https://youtu.be/22GEvDupWGo

 

 

 

#poetry #rock musician

明かりについて *

 

さとう三千魚

 
 

“ひかりだね”

きみは言った
電話の向こうで言った

小舟で
夜明け前の

青黒い海に漕ぎだしたことがあるかい

沖に出ると
空は

透明の薄い青になり
太陽が

水平線から昇ってくる

ひかりが
海原にひかりの道をつくる

無数の
ひかりが

凪いだ
海の波間に輝くのを

見たことが
あるかい

またたくんだ
ひかりは

ランプの明かりじゃない

ひかりは
無数のひかりが

またたくんだ

 
 

* 高橋悠治のCD「サティ・ピアノ曲集 02 諧謔の時代」”自動描写” より

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

わたしが子どもだった頃、ちいさな

 

ヒヨコブタ

 
 

たくさんの神様がいることは子どもの世界でも当たり前だった
〇〇ちゃんをお祭りに誘ってはいけない
△くんはまた異なる神様のおうち
そんなふうに当たり前のこととして覚えていた
そうしなければ、うっかりすると彼らの顔に戸惑いと諦念が浮かんでしまうことをしっていた
信仰というのは自由だと幼稚園のシスターは教えてくださった
異なるからということで争ってはならないということだと
子どものわたしは考えた

仏教の幼稚園の子たちは少しだけ勉強が進んでいた
そして少し誇らしそうだった
僅かなほんの僅かな時期

わたしのなかに特別な信仰はなくても
他の子の数人には強い何かがあることは
当たり前だった

それでも迷ったとき、悲しみの中にあるときは
マリア様を思うことがわたしには自然なことだった

余裕の見えない今のこの数十年に
子どもだった彼らを思い出す
諦念の中に居すぎないことを
異なることを威張らないことを
少しだけ願う

人は少しずつ異なる
顔や体つきと同じように
それを言い出したら争いばかりになる
争うのはもったいない
せっかく生きて生まれてきたのに

まるで子どもなわたしには
時々起こる違和感や他者を強く排除することがたまらなくなる
同じように、少しでも同じように生きていたいのに

家族の中でも変人なわたしを
わたしは何度も諦めようとした
けれども誰かが呼び止める
幼かったわたしのような
諦めていいの?と

信じているのは生きていくこと
誰のことも貶まずに生きていくこと
当たり前が通じなくても

もともと変人だったんだからと開き直る
変な子といわれて大きくなったわたしなのだから
今更絶望で総てを諦めたりはしない
傷ついた人に塩を塗りたくないのだ

八百万というだけあって
あまりに多い神様の
そのすべてを知ることはないだろう
その神様たちを知ることは無理だろう
それでいい
ただ、静かに見ている
静かに通り過ぎる

先祖たちが知っている
わたしのなかにも受け継がれている
なにかを
見つめ直す頃に来たのかもしれない

 

 

 

いつも寝転がって手をひらひらさせている

 

工藤冬里

 
 

沈黙の丘蝉無き夏に決起せり

周りが追いついてない感がある人は現実界が過多で、束を緩めたり抜いたりする藁
https://aquariumdrunkard.com/2022/06/10/zach-phillips-the-aquarium-drunkard-interview/

https://youtu.be/MHuw97AA0No/
https://youtu.be/njvC6_IXhAA
フォーク野郎とトラッド野郎がコンプレックスの裏返しでエイトビートのハードルを越えようとした苦闘の記録でもあった。ひとりでロックはできない。ドールズ系は例外だが。

全ての料理に胡瓜が増量材として入る

ソーシャル・ダンスの夢を見たのはソーシャル・ディスタンスから来ていると思われる
ソーシャル(ディス)ダンス
無意識も駄洒落で出来てるんだ!
昨日起きている時に一番可笑しかったのは「鮮明な文ですね」という誰かのツイートで、そこからもう既に(夢が)始まっていたのだと思う

茂木幹事長は子供の頃の顔が分かる
眉間を交差する罰点が見える
どこで間違えたのだろう
模擬試験の時かな

動員されたサクラを見る会

科学委?読売?
WHO is 国連?
https://www.yomiuri.co.jp/science/20220719-OYT1T50202/

ヒースロー付近で40℃超えというが、大抵の家にはエアコンなどない。カレー屋がfully air conditionedと大書きして客を呼ぼうとしていたくらいだった。

履き物は熱量として一番大事よね
冷やすのは山火事としての胡瓜
火を止めるために火を使う
準備のない草鞋を燃やして
水で水平を出す
ジョイントしようじゃあないか
その人は
国葬や消費税やインボイスに賛成で山本太郎が嫌い
非番のないわたしは井戸の水平を乱した
疲れていても待合室では決めつけないで
安部公房「飛ぶ男」を棚から引き出しライチの種を包む
アポロ計画にはニュートラルで水平な水を掛ける
基礎は日本の建物だが咲く建物の縦板の焼杉
水の中のようにお辞儀したり呼吸したりしている五十絡みのヴィンテージの日光
学士会館で挙式した

痛みを探る オクターブ奏法 冷房の湿度

そもそも

ゴミがなくなってほしいと思い電話で交信します
信用と信頼の囚人服で収監されています
取り残された偶然が食べ過ぎのように遠い
友は多糖類
助けになりたいと思っている正直な湖
避難所で落胆するreluctant

対立は対立を隠すためにある
だから批判されるのはガス抜きにさえなれない時である
政策を批判されるのではない
不甲斐なさを批判されるのである
それらはひっくるめて社会的である
ひっくるめられてアナキストもヤクザもカルトも「社会」にされているのである
それらに対して真に反社会的な存在がある
背後に居るのは動物的なものだが、かれは植物のふりをしている
真に反社会的なのは社会そのものである
反社認定する主体が反社であるので社会は反社とセットでしか存在し得ないことが分かっただろう
反社こそが真の社会である
社会とは来るべき社会がない反社のことである

星占いはやらないが、カツカレー期からハンバーグカレー期に入ったことが分かる

表現性は意味に優っている。故に先端の意味に重きを置いたアカデミー賞の選考基準は美とは関係がない。賞を「取りに行く」という言い方があるのもそのためである。「勝ちに行く」のは野球だけでいい。美は常に敗者の味方である。
ちなみにアカデミー賞の判断基準の最近数年の移り変わりは、貧困→分断→内面の平和、であると思われる。
映画ではなく、トレンドの倫理を観ているだけなのだ。
それに対して花の表現性を体験することが求められている。それが普遍の真理なのだ。

ミックスナッツではジャイアントコーンが好きだった、と墓石には彫っておいてくれ

徹夜明けCristal Shipの目玉焼

鷹の子温泉の駐車場でドアを両サイド開け放ったまま仮眠している道後タクシーの運転手は朝の光と温度が心地良いのだろう

火事で焼けた新潟の三幸製菓が復活していて嬉しい
柿の種業界は熾烈だから色々ご苦労があったことでしょう

この道を歩く時
私たちは腐っていくものに似ている
私たちは肺魚に似ている
中風の風が吹く指のダンスに似ている
移動し続けていないと排除される
恵比寿駅の動く歩道は牢獄であり通行手形でもある
砂漠との境界線

駅馬車論か
「ジョン・ウェイン起用」と「笠智そうかい」の矢をキッシュの層にぶっ刺した映画史だ老化?
11年生まれで認知にならない蓮實さん偉い
ウヰスキー商人死して地平線にエンジェル騎兵隊
終末場末の大活劇

地ビール「快楽の漸進的横滑り」のための削り無しの筒
garden clay, 1260℃, non-glazed, reduced cooling

重力?に負けているのか、
見るといつも寝転がって手をひらひらさせている

 

 

 

#poetry #rock musician

家族の肖像~親子の対話 その61

 

佐々木 眞

 
 

 

ボクは、平均台好きですお。
そうなんだ。

わたしはユーちゃんです。
こんにちは、ユーちゃん。
ユーちゃん、中学3年生ですお。
4月からね。

「おべんとうをたべよう。みんなでたべよう。ぼくとケンちゃんとおかあさんとおべんとうをたべよう」
それ、なに?
「おべんとうの歌」だお。

自己責任って、なに?
自分で自分に責任を持つことよ。

分断って、なに?
お互いに切り離されることよ。
ブンダン、ブンダン、ブンダン

お父さん、元気ってなに?
ガッツです。
ガッツ、ガッツ、ぼく元気になりました。

コウといろんなとこへ行ったね。あのときコウ君と会えたね。あれどこだっけ。
相模原で。
そうだったねえ。

コウ君といろんなことあったね。コウくんのお陰で楽しい人生だった。ありがとお!

お母さん、タイムアウトは?
時間切れよ。

それっきりって、なに?
♪それっきり、それっきり、よ。

お父さん、攻めちゃ駄目?
駄目だよ。攻めちゃ。

さよなら、バイバイのことでしょ?
そうだね。

お母さん、大町通ってください。
トトトトの信号の方から行ってみようか?
い、嫌ですお。

どうしようもない、って、なに?
どうしようもないこことよ。

ぼく「ダイアリー」好きだお。
そうなんだ。

さきほど、って、なに?
さっきよ。

-―ラジオを聴きながら
ぼく、ライディーン、好きですお。
え、YМOの「ライディーン」?
ぼく、ライディーン、好きですお。
そうなんだ。

トシヒコちゃん、おにいちゃん?
そうだよ、ヒロユキ君のおにいちゃんだよ。

お父さん、「コノヤロウ」って言ってもいい?
言っちゃ駄目だよ。

スピード出すと、危ないよね。
そうだね、危ないね。

お母さん、東急、変わったでしょ?
変わったね。

ユウチャン、生徒会長でしょ?
そうだよ。
中学で?
そうよ。

横須賀、チエ先生、住んでるとこでしょう?
そうだね。

鎌養の生徒会長は誰だった?
そ、そんなこと言わないで。

相模線の八王子行き、なくなったのよ。
え、そうなの?
橋本行になったのよ。
そうなんだ。じゃあ八王子まで行くにはどうすればいいの?
橋本で乗り換えですお。
そうなんだあ。

「ヨムヨム」無くなりましたよ。
「ヨムヨム」って、なに?
桜が丘の本屋さんだお。
そうだねえ、なくなっちゃったね。

第2小学校、好きだったんですお。
そうなんだ。

走れ、コータロー!

スイカズラ、好きですお。
スイカズラ、いま花が咲いてるよ。

コウ君、この葉っぱは、なんですか?
オオバギボウシですお。
あったりィ。

ぼくは、スズキエミコとフクモトリコ、両方好きですお。
分かったよ。

ツッツッツ、去年から鳴っちゃたんですお。
そうなんですか。
ツッツッツ、好きなんですお。
ほんとかな?

あした、セイユウ行きますお。
行こうね。

ままならない、って、なに?
思い通りにならないことよ。

どうにもこうにも、って、なに?
どうしようもない、よ。

販売会、どういうお仕事?
むかし、ふきのとう舎で陶器なんかを売ってたのよ。

ロマンて、なに?
夢と希望だよ。
コウ君、ロマンある?
ないよ。

ぼく、クレソン好きですお。
お母さんも。クレソン食べようか?
いやですお。

コウ君、今日は3人でどこ行くの?
図書館行ってえ、それからセイユー行きますお。
分かりましたあ。

ぼく、スズキさん好きですお。
そう。スズキさん、なんておっしゃったの?
分かりませんお。

ぼくはザルソバ好きですよ。
そう、じゃあ今夜食べましょう。

お父さん、わたしはエモトアキラです。
こんにちは、エモトアキラさん。

今日は父の日ですよ。コウ君、どうしますか?
お父さん、ありがとう!
コウ君、どうもありがとう。

いきなり、って、なに?
突然、だよ。

最後を飾った、って、なに?
かっこよく終ることだよ。

転院先、他の病院に移ること?
そうだね。

下らない、って、なに?
面白くない、さ。

ぼく「生きてふたたび」見ますお。
みてね。

手術、麻酔でしょ?
そうだね。

ぼく、セイユー行ってえ、ハス買いますお。
買おうね。

 

 

 

no peace for the frogs

 

工藤冬里

 
 

争いがないということではない
回復させるのは失われたものである
病がなくなるとは過ちを許されるということ
平和がない
連れ子に雷
雨で繋がる平和が欲しい
la corona de la vida
this morning is the morning
埋葬されなかった王のように
平和ではない

ルイーズ・グリュックはこれで分かった
犬も食わない苦闘ににせの扉が開いたのだ
beauty on either side, beauty without alternative
平和ではない

スティーブンが裸になり、ゲバラだったらこのようにしただろう、とか言って両足でピアノを軍履の四つ打ちのように連打し、弦が切れそうだったがそのままピアノごと上手の袖に消えた
下手にグラスゴー的な茜色のドレスの女性が現れ、treeが修正され並列に置かれることをのみかれは拒否した云々と締め括った
平和ではない
修正主義に怨恨を持つのはいつも死者たちである
個人の仕事とは先取りした死者のアーカイブを大虐殺の前に完成させることに向けて全生活を収斂させてゆくことであり、大他者を入れ替えてシニフィアン連鎖を操作する業界の野心のことではない
平和はない
大地は叫ぶが個人では支払えず、機関説的に王が回収の機能を担う
平和ではない
それが過ぎると不在の王が貨幣となってサカナを水面に浮かせる
平和はない
犬も食わない苦しみから逃れる方法が欲望を全方向に加速させることしかないのであればそれは人格陶冶ではなく自爆テロのための下準備に過ぎない
平和ではない
凡ゆる器型がいやらしいので作りに行くとしたら可塑的で不可避的な爆発以外考えられない
平和ではない
朝から草刈りですっかり疲れたので檮原で買っておいた蜂の巣を切って食べたら少し元気が出た
イチヂクを干したやつも2つ食べ、エルダーフラワーのシロップを薄めて飲んだ
カエルは鳴くけどかなかなはなかなかなかない
beauty on either side, beauty without alternative
平和ではない

かなかないた
かなかなないた
かなたでないたかな

資本主義に於いては輿論誘導の結果としての自分を回収出来ない裂け目が自分なわけだから善悪の決定など出来るわけがない
裂け目が何を決定するというのか
全方向に欲望してゆくだけではないか
旗を振ったところで私は生きてはいない
連鎖しているだけだ

私は安倍であり私はコロナである
それだけだ

私たちはWi-Fiとウィルスによって淡く手を繋いでいる
もはや人の輪で国会を包囲することもない
身体を日本に改造され、ゴキブリホイホイを取り囲むゴキブリのように連帯させられているだけだからだ
平和ではない
勝ったらどうなるというのか
勝っても負けてもひどくなるだけだろう
平和はない
岸田今日子のナレーションみたいな曇り空
平和ではない

耳の底地鳴りを覆えcicadas

機械ではなく獣である
版図を押し広げようと犇く角は十本
扇風機と向日葵に顔を向ける
国家群を集める息は蛙の形をした偽情報であった(rev16:13,14)※

 

 

 


ἐκ τοῦ στόματος τοῦ
out of the mouth of the

δράκοντος 【 ˈdra.kon 】
dragon

θηρίου 【thirío】
wild beast

ψευδοπροφήτου 【psew.do.proˈpʰe.tes】
false prophet

πνεύματα τρία ἀκάθαρτα
spirits three unclean

ὡς βάτραχοι
as frogs

εἰσὶν γὰρ
they are for

πνεύματα
spirits

δαιμονίων
of demons

ποιοῦντα
(they) doing

σημεῖα,
signs,

ἃ ἐκπορεύεται
which is going out

ἐπὶ τοὺς
upon the

βασιλεῖς τῆς
kings of the

οἰκουμένης
being inhabited [earth]

ὅλης,
whole,

συναγαγεῖν
to lead together

αὐτοὺς εἰς τὸν
them into the

πόλεμον
war

τῆςb ἡμέρας
of the day

τῆς μεγάλης
the great

τοῦ θεοῦ τοῦ
of the God the

παντοκράτορος.—
Almighty

龍と野獣と偽預言者の口から出て来るのは3つの汚れた息(スピリッツ-プネウマ複数形)、
悪霊たちの息だ
カエルみたいに見えるそれらは奇跡的な徴(サイン-奇跡)を行い、地上のすべての国家群に向かう
全能の神の天下分け目の平和にゴキブリ王たちを誘き寄せるためだ

 

 

 

 

#poetry #rock musician

バンザイ

 

辻 和人

 
 

バンザイ、バンザイ
昨晩ギャン泣きの洗礼を受けた
ミヤミヤとかずとん
目しょぼしょぼさせながらトースト齧り
朝食会兼作戦会議
「抱っこする時背中ぽんぽんするといいかも」
「激しく泣く時はウンチしてることがあるからオムツ見ないと」
その横でコミヤミヤとこかずとん
バンサイ、バンザイ
両手挙げたカッコで眠ってる
おんなじカッコで眠ってる
すやすや涼しく眠ってる
昨夜コミヤミヤは口を歪めた般若の顔で
ウァーン、ウァーン
呪いをかけるように腕をぐるぐる振り回した
こかずとんは目を腫らした土偶の顔で
エァオーッオエッ、エァオーッオエッ
弓のようにぴーんと反り返って暴れた
哺乳瓶がぷるぷる震えた
恐れ慄いたミヤミヤとかずとん
おろおろ抱っこ、また抱っこ
ひたすらお怒りが鎮まるのを待った
それがどうだ
今、朝の光にふうわり浮かぶ
コミヤミヤの菩薩様のような顔
こかずとんのおむすび様のような顔
バンザイ、バンザイ
夜の顔も朝の顔も
どちらもコミヤミヤでどちらもこかずとんだ
君たちがこれからどんな変化を遂げようとも
君たちが君たちであることに違いはないよ
バンザイ、バンザイ