ワンピース

 

塔島ひろみ

 
 

おばあさんは魔法の杖で どんどんどこまでも歩いていく
枯木をまたぎ 塀をのぼり 川を泳いで
魔法の杖はおばあさんを引っぱっていく
目の見えないおばあさん
どこへ行くのかわからない
ここがどこだかわからない
口をぎゅうと結んで 魔法の杖を握りしめ
おばあさんは
好きな人のところへ行くのである
おばあさんは
大好きな人のところへ行くのである
道なんか知らない
でもおばあさんは
好きな人のところへ向っていた
しわくちゃの顔で 曲がった足で
白髪頭で 歯のない口で
魔法の杖を カサカサの手で握りしめ
小鳥のように
タンポポのように
歩いていくのだ

 

 

 

give the devil his due

 

工藤冬里

 
 

1967年にセシウム133が91億9263万1770回震えると一秒、と決まった。ということはそれ以前に一秒はなかったのだ。一秒がなかったのなら時間もなかったのだろう。かろうじて空にふたつ光体はあった。だがそれは時間とは関係ない。最近は動きを時間と勘違いする奴が多くて困る。俺に規則性などない。ただSaulPaul的な慾望との突発的な戦闘があるだけだ。負けても勝ってもpositiveに倫理はない。B系やセミナー系のポジティブ信仰が廃れるのもそのためだ。セシウム137じゃあるまいし核もないのに海の荒野に対して宣告してみたり、一秒に合意しているのに印欧語族を反米に仕立て上げたり。死ぬことにポジティブ。なかった時間の満期だ。払うよ。

 

 

 

#poetry #rock musician