モコと
夕方
散歩した
いつも
老犬と散歩している婆さんが
モコに
話しかけてきた
あの犬が
死んだのだという
この子は
おとなしくていい子だね
そういって
くれた
だれでもいつか死ぬが
ひらく思いがある
土手に
小さな水仙の花が咲いた
モコと
夕方
散歩した
いつも
老犬と散歩している婆さんが
モコに
話しかけてきた
あの犬が
死んだのだという
この子は
おとなしくていい子だね
そういって
くれた
だれでもいつか死ぬが
ひらく思いがある
土手に
小さな水仙の花が咲いた
玄関には
モコの写真と
草間弥生の版画を
掛けてある
随分前に
イトーヨーカドーの展示会で
買った
そのときは安かったけど
いまは
高価だろう
草間弥生の版画に
西日が
あたる
いずれ
日も沈む
休日には
玄関で
かがんで黒靴を磨く
神田珈琲園で
ビリー・ホリディが
歌っていた
もう
別のピアノ曲になっている
ジャンプして
いる
かつて
ソクラテスを聴いた
あのサティのレコードは
無くなったけど
いまソクラテスの歌が蘇る
その先にあった
そこを細い刃で滑った
死ぬんだろ
あなた
死ぬんだろ
わたしもそうさ
今日か
明日か
もう少し先か
いちど
死んでみたらどう
練習にも
なるしね
みんな
いつかね
今朝も
スープを作った
からだに優しいよ
昨日の残りに
豆乳と味噌と
干し椎茸をたした
このまえ
姉が
ごぼう茶を
いれてくれた
こうばしい
味と
香りがした
居間の日向に
刻んだごぼうを干して
それを
フライパンで炒って
ごぼう茶は
できあがるんだ
秋田の姉が
母のためにつくっている
焼くと
こうばしくなる
こうばしい
嬉しい
日曜日の
午後
昼寝から目覚めて
シュタルケルの
無伴奏チェロ組曲5番を聴いた
シュタルケルは
若い頃に中野の中古レコード屋で
はじめて買って
聴いた
こだまは
いま品川を過ぎた
薬は
毒でもあるんだろうね
シュタルケルはにがい薬だった
皿に
盛らない
皿には
なにも盛らない
野菜も
盛らない
花も盛らない
そのヒトの無いコトバと
そのヒトの
無い死を盛る
生きなさい
生きなさい
コトバを生きなさい
午後に
カモメの鳴いて飛ぶのをみた
それから
眠った
白木蓮の花がひらいた
昨日は
タイ風のカレースープに
豆乳を
入れてみたんです
スープの味はうすくなったけど
豆乳の味が滲みて
美味しかったな
今朝
残りをあたためて
飲みます
余ったら
昼にも
飲みます
余っても
余っても
いつの日か飲み干す
生まれて
56年が過ぎた
この生を母と父から
受けとった
たまたまのようにも
思えるが
必然
かもしれない
受けとったものは
残さず
ひきわたそう
空に
かえそう
空になって
歩いていった
真っ黒に日焼けして
白い歯が
笑っていた
今朝
目覚めた
小鳥たちの
声は
聴こえない
カーテンを開けて
みた
空は青く
ひろがっていた
きみは
どこへいったの
どこへいってしまったの
まっくろに
日焼けして笑っていた
悲しみさえなかった
今朝
目覚めた
今朝も目覚めた