temple 寺

 

紅白を
はなれて

ひとり
高橋悠治さんの

インヴェンションとシンフォニアを聴く

なぜ
シンフォニア11 BWV797を聴くのか

わからない

北の姉をおもう
北の母を憶う

そこは真っ白の雪が降っていて

姉がいて
母がいる

寺は胸をひらいている

 

 

 

suppose 思う

 

今夜は
山側に座った

11E席

小田原を通過した

地獄の扉をひらき
訪れるコトバを待っている

熱海をゆっくりとすべってゆく

扉の向こうのいとしいヒトよ

きみの名はしらない
きみの声はしらない

こだまよ
いとしいヒトよ

伊右衛門という濃いみどりの茶を
飲み干せよ

ゴーと鳴ってすべってゆく
ゴーゴーと鳴ってすべってゆく

 

 

 

pet ペット

 

肌触り

愛玩
かわいい

翻訳すると
そんな言葉がひらかれる

ペットとは
言わない

モコをペットとは言わない
もっと大切なもの

眠るのをみていた

くすぐると
トロンとした瞳をひらいた

ひらいた

モコの瞳はひらいて
世界が

生まれた

世界は

 

 

 

left 左

 

みていた

遠くに
タンカーが浮かんでいた

漁礁のうえには
漁船がたくさん浮かんでいた

左眼でみていた

双眼鏡でみると
わかる

右眼で補っていた

右眼で
なにを補うのか

ないヒトとない時間を補う

みていた
みていた

それから

佇つ
歩いていく

 

 

 

clear 晴れた はっきりした

 

突堤をみていた

突堤の
向こうに

海はひかっていた

空はひろがっていた

晴れた空に
半島は浮かんでいた

みえるものと
みえないものはある

磯ヒヨドリが眼のまえの堤防に止まった

紅い腹で背中は青かった
磯ヒヨドリはすぐに飛んでいった

 

 

 

care 注意 世話

 

神田で飲んで

最終のこだまに乗って
帰ってきた

こだまのなかで
詩は書けなかった

眠って
しまった

詩は

ケアできますか
ケアできますか

モコは飛びついてきた
ぴょんぴょん跳ねた

机の上に

ねじめ正一さんの
ことばを生きるという本があった