recycle 再利用する

西口焼きトンで
荒井くんと飲みました

ワインバーにも行きました
巨大な乳房の女神はいませんでした

亡くなった小山博人さんの
音楽についてのエッセイを荒井くんから渡されました

アンドラーシュ・シフのことが新多感様式と
書かれていました

多感の背後には何が必要でしょうか

 

 

swim 泳ぐ

泳いでいましたね
夏休みには泳いでいました

雄物川の流れのなか
魚たちと泳いでいました

魚たちは
川底の小石のうえを群れになって泳いでいました

世界は水色にひかって
緑色の水草がゆるりと腰をふっていました

言葉のない世界でした
言葉はありませんでした

 

 

window 窓

さよならアドルフ
というドイツ映画を観ました

窓の外で
火が燃やされていました

犬がピストルで殺されました

女の子には妹と弟たちと赤ちゃんの
兄妹がいました

深い森を逃げました

女の子は三角の窓から雪を見ました
燃える世界を見ていました

 

 

flag 旗

手を振る
ヒトたちはいた

手を振るヒトたちはたくさん
いた

旗を振るヒトたちも
いた

日の丸を振るヒトたちもいた

たくさんいた
たくさんいた

すこし浮かれていたかもしれない
すこし悲しかったかもしれない

旗を振った
旗を振った

さよならといわなかった

 

 

to へ まで

わからない

わからなかった
そこは

赤土の崩れた

断崖の夕暮れの
坂道をのぼっていった

暗闇に
紅いぼたんの花が咲いていた

夕暮れは地獄だ

そこにあなたはいたのだろう

性を失って
わらっていた

あなたは紅い空をみていた
坂は過ぎていた

 

 

 

newspaper 新聞

このクニの
水辺に立てばいい

このクニの土の上に立てばいい

このクニの農民はいまどこにいるのか
このクニの漁民はどうしているのか

大きな夢のあとに
残されたものはなにか

夢のあとに消えさったものはなにか
アタラシイ自由のあとに勝ち残るものはだれか

 

 

weak 弱い

朝になってしまいました

西の空が白く
その下に灰青の山々がみえます

パルティータを聴いていたのです

バッハがひかりを感じるには
空しく裸であったろうと思うのです

ひとりの貧しいヒトが見えたのです

いとしいヒトでした
そのヒトは弱くいとしいヒトでした

 

 

possible 可能な

冬の陽射しに

桑原正彦の絵と
SMITHSのジャケットをならべた

still ill をくりかえし聴いている

鉄橋の下でぼくらはキスをした
唇がヒリヒリした

そうモリッシーは歌っている

だけどもうない
だけどもういない

そんなことをモリッシーは歌っている

 

king 王

ゼログラビティのなかで
重力は人間の関係性のことなんですよね

川崎さんはいった

子供を失い関係性を失ったヒトが
宇宙に浮かんでいた

やがて関係を獲得して地球にもどり重力を得たのですよね

川崎さんは渋谷の喫茶店でいった

王はいなかった
王はどこにもいた