「はなとゆめ」 14   生きる

 

悲しみに堪えられないならば

夕暮れに
浜辺にたってみてはどうでしょうか

悲しみは人称を失いました

人称は
失いました

だから
マリア・ユーディナを聴いています
だからマリア・ユーディナの平均律クラヴィーア曲集 第1巻22番を聴いています

西の
山に
日は沈みましたか

青緑の西の山に日は沈みましたか

夕暮れに
燕は
空を
飛んでいますか

悲しみは何処にいきますか
失った悲しみは何処にいきますか

浜辺に佇ち尽くすばかりです
わたしは浜辺に佇ち尽くすばかりです

燕は首をひねりながら鳴きます
燕は電線にとまって首をひねりながら鳴きます

燕たちは夕暮れに子どもたちのために忙しく空を飛んでいます

 

 

message 伝言

もう
話すこともできない

もう
食べることも
着ることも
歩くことも

自分で息をすることも
できない

そんな母の目蓋を指でひらくと瞳が見ている

瞳がわたしの顔をみまわして
うるんでくる

母の伝言はない

ただ瞳がうるんでくる
ただ瞳がうるんでくる

health 健康

きのう
公園で

たくさんのヒトの声をきいた

いつの時代も変わらない声だったろう

その中にわたしもいた

健康
成長

発展

ずいぶんと甘い言葉はならべられて
村落は

まぼろしとなった

いまも公園の片隅に花はあるだろう

ふるえる花はあるだろう