貨幣について、桑原正彦へ 37

 

朝になった
雨はあがった

ゴンチチのロミオとジュリエットを聴いてた

ロミオは毒を飲んだ
ジュリエットは短剣を刺した

35年の生を売る
労働を売る

友人たちに

お元気でといった

よい一日をと
いった

貨幣に外部はあるのか
自己利益に外部はあるか

 

 

 

午後に雨になる

 

朝には
モコのおなかが鳴るので

腹巻させて
ソファーで添寝した

モコのおなかには毛が無いからか

晴れた空の
燕たちを見上げた

モコを置いて浜辺にでかけた

波は繰り返し打ち寄せ
雨になる

夕方
変哲先生の句を読む

あかぎれの娘ブロマイド一枚買いにけり *

 
 

* 小沢昭一「変哲 半生記」岩波書店より引用しました

 

 

 

朝になる

 

朝になった
朝には

西の山の頂が

朝霧に
隠れてる

雀の声も
ハクセキレイの声も

まだ
聴こえない

朝には
モコと散歩する

朝には
燕たちの飛ぶのをみている

川面の上を飛んでた
曲線を曳いてた

佇ちどまって
見上げた

朝になる

ひとびとも朝になる

 

 

 

全部さ

 

揺れてた

夜中に
目覚めたら

揺れていた

それでもう
眠れない

一瞬
見たのさ

湖なのか
海なのかな

わからなかった

海も
凪いだら

ひろい湖みたいさ

どうなんだろう
もう眠れない

一瞬
水の揺れるのを見た

それは
世界の一部なのか

それは全部さ

 

 

 

貨幣について、桑原正彦へ 36

 

朝になった
ゴンチチのロミオとジュリエットを聴いてた

ハクセキレイが鳴いた

ヒトの欲望の裏側に
債務はある

35年の生を売る
労働を売る

部屋に残ったのは

カーテンと

ベットと
青い本棚だけだった

ロミオは毒を飲んだ
ジュリエットは短剣を刺した

 

 

 

貨幣について、桑原正彦へ 35

 

今朝
車できた

新丸子の部屋の
最後の掃除にやってきた

掃除機をかけ雑巾がけをした

部屋に残ったのは
カーテンと

ベッドと
青い本棚だけだった

絵が架かっていた壁に四角い影が残っていた

影はわたしの債務のようだ
債務はわたしの欲望の裏側にある影絵だ

 

 

 

貨幣について、桑原正彦へ 34

 

昨日の夜
ひかりで東京から帰った

燕たちが飛んでる

お茶の水で千先さんと会った

千先さんは
アマゾンの怪魚を撮ったといった

白目が
綺麗な白だった

それから
浅草橋で荒井くんと会った

荒井くんは
富山から帰っていた

浅草橋の駅で総武線が通過した

 

 

 

貨幣について、桑原正彦へ 33

 

閃光は言葉の先にあった

閃光は

言葉の外部にあった
貨幣の外部にあった

閃光は

理性ではないもの
ばかげているもの

閃光は

強い風のなかを飛ぶもの
テトラポットにしろく砕けるもの

閃光は
閃光は

わたしではないもの
あなたではないもの