愛ちゃんは
がんばった
愛ちゃんはがんばったが
接戦で
負けた
錦織はがんばった
接戦で
錦織は勝った
どちらも相手がいて
相手も
勝ったり
負けたりする
終わって
ふたり抱き合うが
どうなんだろう
愛してるわけではない
こころが震えてる
愛ちゃんは
がんばった
愛ちゃんはがんばったが
接戦で
負けた
錦織はがんばった
接戦で
錦織は勝った
どちらも相手がいて
相手も
勝ったり
負けたりする
終わって
ふたり抱き合うが
どうなんだろう
愛してるわけではない
こころが震えてる
ハハと
チチと
赤ん坊と
愛はいた
411号室にいた
愛は休日に散歩した
愛は風が吹いた
愛は雨が降った
愛は青空に白い雲が浮かんだ
チチは電車に乗り働きにいった
赤ん坊はキャッキャ笑った
赤ん坊はキャッキャ笑った
赤ん坊は白い前歯が二本はえた
新丸子の部屋で
夜中に
目覚めた
テレビがついてる
オリンピックの柔道が映っている
ニホンジンが泣いてる
テレビは消して
冷蔵庫の
冷えた豆乳をコップに入れて飲む
ゆるい
だぶだぶの言語がほしいな
無国籍の声で
きみが好きだと言った
暑いので
雨戸を閉めて
エアコンをつけた部屋で
悠治さんの
インヴェンションとシンフォニアを聴いてた
シンフォニア11で
佇ちどまる
小さい時に
ことばの遊びをはじめて
終わらず
まだ
遊んでる
迷惑もかけた
母は
小さくなって死んだ
歌は小声で歌う
秋田の
姉から連絡があった
ハッピーがヘルニアになって
オペした
痛みはとれたけど
後ろ足が動かなくなった
そういった
犬用の車椅子で歩行訓練をする
ハッピーの動画が
届いた
ラッキーが逝って
ハッピーがやってきた
帰省するとよろこんでくれた
窓ガラスを
雨は
叩いた
明方に
アラートは
鳴った
それから
目覚めて
コーヒーを淹れた
コーヒーに豆乳を入れて
飲んだ
電車は
多摩川を渡る
他人の瞳は見ない
多摩川の向こう
川崎の
ビル群の上に
青空はひろがってた
遠雷が鳴っていた
砂
なんだ
此の世は
砂なんだと思う
ことも
ある
砂を噛んだことは
ない
砂を握ったことはある
砂に埋もれたこともある
砂のなかに
ないことばを探す
いま
こだまは熱海を過ぎた
海原が光った
昨日
バーゲンで夏のスーツを買った
夕方に散歩した
海辺で
拾った
拾ってきた
木の枝と貝が
机の
上にある
薄い紙の上にならんでいる
波の寄せるコンクリートブロックの
上に落ちていた
波にあらわれて
辿りついたのだろう
机の上の薄い紙の上にある
命はないが
そこに
見えないものたちが眠る
最終の
こだまで
帰ったのだ
家々の
灯りが
流れるのを見ていた
流れて
いた
灯りを
住むと生きるの間に
置いた
コトバも
置いた
ヒトは流れていった
コトバも流れた
ママと言った
ママと言って泣き叫ぶ
子どもが
駅のホームにいた
曽根さんに
誘われた
どう
そう
言われた
それで神田で
飲んでしまった
温燗を飲んだ
深夜
雨の道を帰った
朝に
目覚めて
雨の音を聴いていた
水道から
コップに水を出して飲んだ
冷蔵庫の
冷えたプラムを食べた
美味しかった
美味しかったな