foolish ばかな

 

新丸子の
部屋の

壁に

雨ニモの詩を
貼ってる

花巻の記念館で買った

ホメラレモセズ
クニモサレズ

そう

彼は
書いた

詩はね
底辺のことばです

底に
佇つんです

馬鹿者の
ことばです

リアルってなんですか

あなたに
問うてるんです

 

 

 

bottom 底

 

春の嵐


いうのか

夜中
風がつよく

眠れなかった

朝早く
起き出して

ソファーに横になり
モコと

眠って
しまったのか

生の底に死はあるだろう

夢も
あるだろう

だが憶えていない

目覚めて
散歩に出かけた

沈丁花の花は咲いて匂った

 

 

 

lost 失われた

 

昨日は
高円寺のバー鳥渡で

飲んだ

長瀬達治さんの写真展をやってた

安部誠さんが
自作の

白菜の漬物が美味しいと
言った

どうなんだろう
もう

失った
ものは数えない

もう
なにもないんだ

わたしは空洞のホウズキみたいだ
真っ赤な種を抱いてる

 

 

 

animal 動物

 

たこ八郎さんと
いちど

会った
ことがあった

品川のホテルだったか
ひろい部屋で

話した

家で飼っていた
牛が

売られるとき
泣いた

道端の
草を食べた

そう
たこさんは

エッセイに書いていた

そのあと
たこさんは海で死んだろう

ヒトは

牛を殺して
食う

ヒトは牛と別れてボクサーになる

 

 

 

past 過去の

 

どう
なんだろう

だれにも過去はある

むかし
信濃町に住んでいて

妻も
子どもも

いた

かわいい
とも

思ってた

いまは
別の女と

犬と

暮らして
いる

いま
海がひろがり

空がある
いつか

新潟の記念館で
菩薩という書をみたことがある

 

 

 

hot 暑い 熱い

 

このところ
寒い日が続いた

雪も
降った

風が吹いて
背中がぞくぞくした

コートを三つ
持ってる

田村隆一みたいなやつ

灰色と
黒と

紺色の厚手のコート
紺色は一月と二月しか着ない

電車の中で
汗をかく

ダンディーにはなれない
神田で飲んでる

 

 

 

bell 鐘

 

お昼ごろなの
かな

鐘の音を
聴く

四谷の路地や

三栄町の
公園で聴いた

長崎の西坂の途中でも
聴いた

教会の鐘なんだね

鐘の
音は

振動だ

詩も振動みたいだね

詩人が震える
のでなく

世界が震える

世界は

停止して
激しく振動している