でかけるとき
今朝
部屋の鍵をかけた
昨日も
鍵をかけて
でかけた
満員の
電車にのった
赤ちゃんの
泣き声を聴いた
たぶん
取られても
失うものは少ないです
それでも
鍵をかけて
赤ちゃんの声は
もう
失っている
もうあまり
わたし泣きません
でかけるとき
今朝
部屋の鍵をかけた
昨日も
鍵をかけて
でかけた
満員の
電車にのった
赤ちゃんの
泣き声を聴いた
たぶん
取られても
失うものは少ないです
それでも
鍵をかけて
赤ちゃんの声は
もう
失っている
もうあまり
わたし泣きません
今朝
満員の
山手線のなかで
泣いてた
赤ちゃんの
泣く声がした
かぼそく
目を
瞑って
聴いた
このまえの日曜日
きみに
会わなかった
声も
聴かなかった
浜辺には
風が渡っていった
きみの
声を
探した
いないきみの声を
探していた
めざめたら
横に
モコがいた
眠ってた
寝息をたててた
ひとみを閉じてた
マリア・コゾルポヴァの
ソナタを
聴いた
それから
窓を
開けてみた
明け方の紺色の空がいた
小鳥の声がした
小鳥たちの声がした
広場に
虫たちの声も聴こえる
母の
誕生日には
母のもとに
家族が
集う
一番
元気だったのは
甥の子供の
しんのすけちゃんだった
はしゃいでいたね
母は
家族の
元気な声を聴いていた
集って
美味しいもの食べて
飲んで
笑う
わざと馬鹿を言う
わざと馬鹿を言った
昨日も霧がでていた
それで
晴れ渡っていった
仁賀保を
通り
象潟を通り
酒田まで車で行ったのさ
ひとりさ
土門拳と会った
人間の事実を直視しろと言った
ことばを必要としない種族だろう
深夜に
母の目蓋を指で開いて
見た
眼球の奥に母がいた
秋田の
西馬音内の
姉の家に
来てる
母の誕生日に
家族は
ささやかなお祝いをする
病に臥せた
母のもとに集う
人工呼吸器で
母は
痩せた胸を上下させている
微かな祈りを
送っている
ほんの少ししかないものが
きみのことばにあるか
神田の鶴亀で
曽根さんと
飲んだ
鶴亀の二階には
店主が
買った
いくつかの
絵が
掛けてある
そこに
店主がいた
竹田賢一さんが言った
コトバを
思い浮かべている
アルバート・アイラーを腹で聴いた
それはホントだろう
腹の底にいる
雨のむこうに
雀がいて
鳴いている
昨日
大杉 栄は死んだ
妻と甥と
三人で殺された
声を
聴きたいんだ
腹の底には
コトバにならない声が
ある
墓の前で
手を合わせてみた
ほんとかよ
竹田賢一さんは
アルバート・アイラーを腹で聴いた
そう言った
目覚めた
キシキシキシ
鳴く
セキレイかな
かぼそい声で鳴いてる
休日に
朝の
浜辺を歩いた
夕方には
モコと近所を散歩した
ゆっくり
ゆっくり
佇つ
耳をすます
匂いを
かぐ
それから
歩く
空には
白く遠い雲が過ぎた
過ぎ去る
昨日の
朝食はなに
だったか
ごはんと
しじみの味噌汁と
納豆と
ハタハタの干物と
漬物と
だったの
かな
今朝もハタハタの干物を食べた
冬の朝
子供の頃はいつもハタハタだった
朝は
ハタハタだった
ハタハタみたいなコトバが食べたいな