key 鍵

 

でかけるとき

今朝
部屋の鍵をかけた

昨日も
鍵をかけて

でかけた

満員の
電車にのった

赤ちゃんの
泣き声を聴いた

たぶん
取られても

失うものは少ないです

それでも
鍵をかけて

赤ちゃんの声は

もう
失っている

もうあまり
わたし泣きません

 

 

 

angel 天使

 

今朝
満員の

山手線のなかで
泣いてた

赤ちゃんの
泣く声がした

かぼそく

目を
瞑って

聴いた

このまえの日曜日
きみに

会わなかった

声も
聴かなかった

浜辺には
風が渡っていった

きみの
声を

探した

いないきみの声を
探していた

 

 

 

excuse 許す

 

昨日も霧がでていた
それで

晴れ渡っていった

仁賀保を

通り
象潟を通り

酒田まで車で行ったのさ
ひとりさ

土門拳と会った
人間の事実を直視しろと言った

ことばを必要としない種族だろう

深夜に

母の目蓋を指で開いて
見た

眼球の奥に母がいた

 

 

 

ear 耳

 

雨のむこうに

雀がいて
鳴いている

昨日
大杉 栄は死んだ

妻と甥と
三人で殺された

声を
聴きたいんだ

腹の底には

コトバにならない声が
ある

墓の前で
手を合わせてみた

ほんとかよ

竹田賢一さんは
アルバート・アイラーを腹で聴いた

そう言った

 

 

 

breakfast 朝食

 

昨日の
朝食はなに

だったか

ごはんと
しじみの味噌汁と

納豆と
ハタハタの干物と

漬物と

だったの
かな

今朝もハタハタの干物を食べた

冬の朝
子供の頃はいつもハタハタだった

朝は
ハタハタだった

ハタハタみたいなコトバが食べたいな