雲のなか
浮かんでいた
頂きは
白くひかっていた
恥ずかしい
ことはなかったかい
丘の此方
からあちらはみえないけれど
なかったかい
なにもなかったかい
知ってたの
かい
貰ってきた仔犬は
オオカミの子どもだった
灰色の眼をしていた
ラッキーと呼ばれた
雲のなか
浮かんでいた
頂きは
白くひかっていた
恥ずかしい
ことはなかったかい
丘の此方
からあちらはみえないけれど
なかったかい
なにもなかったかい
知ってたの
かい
貰ってきた仔犬は
オオカミの子どもだった
灰色の眼をしていた
ラッキーと呼ばれた
朝に
食卓に
すわっていた
窓から光は射していた
家族は
集まって
いた
そのヒトも来ていたろう
ねこもいた
名を持たなくていい
名を持たないで
くればいい
ひかりの途をあるって
だまって
そのヒトは
無いこころを灯していた
金木犀の
枝を刈ってからすこし歩いた
岸辺の向こうに
テトラポットと水平線があった
公園の生垣の向こうに突堤があり
水平線があった
西の山が霞んで空に浮かんでいた
そこには境界はあるのに
触れることがない
ことばでないものをことばで語っていた
散歩に行かなかった
モコはソファーで
眠い眼をうすく開けていた
午後に散髪屋で坊主頭にされて余計に
醜いものとなった
あの花の名前がわからない
白く薄い花弁をひろげて
風に
揺れていた
たぶんカオスは
騒々しいものじゃないだろう
本が
積み重なって
いる
机の上にもベットの傍にも
重なっている
壁には
たくさん絵が掛けてある
山田さんから
頂いた絵
桑原くんや千尋さんや
千代さんの絵
広瀬さんや
兼人さんや三俣元さんの写真
だれもいない
なにもない部屋にいる
雨の季節には
水を張った田圃に苗を植えていた
若い母の頬が
晴れた日には汗をかいた
庭には白い野バラの花が
咲いていて
祖母が窓から庭を見ていた
ヒトは
花のまえで佇ち尽くす
何も持たずに祖母は逝ったろう
わたしは八代にいたのだった
荒井くんが
64抗議のパフォーマンスをした
我
陳光 李文 朋友
友の名前を胸に刻んだTシャツを着て
荒井くんは警官のいる場所で中指を起てた
中国大使館
自由民主党本部 国会議事堂 皇居 靖国神社
警官が守るべきものは国家だ
国家は見えない
萩原健次郎
は、ね、
ねっ
それは、虫の
それとも鳥の
人の根に響く、蒼空の
雲の根、骨、ね、
迂回して、濃緑の木の根の道を歩いていくと陽は
斜めからさして、匕首になり、陽の匕首は、時刻
によっては、鋭利に光り、錆びて病んだ鈍い面を
見せたり、陰が、その尖りを消したり、それはも
うまたたく刹那で、明滅している。
はようみいひんかったら
光の三角も、滅んでしまう。
数をかぞえる、猫の声
魚の声
草の声
ぴちゃぴちゃにゃあにゃあ、ふうふうと
ね、
恋去り
小唄かよと
ひるがえっている
きれいな舞いすがたに
ね、
からむ脚が、
きゅっきゅっ言う。
白昼を服す飲料に混ぜた羽の音の粉々にあたりの
松もその下の薊も被せられて息できなくなってう
ろつく犬ころも猫撫声もふわふわしている種子も
骨肉のすべてが粉末になって枠どりされるそれも
真実の世と記されているから一旦はああ本当だと
驚いてみるがただ匕首で切り刻まれたただの世の
切れ端にすぎず生きた証と言ったら犠牲になった
犬にも薊にも笑われる
わたしにも
根が焼けると
思うことがあって
すこし冷やしてから
きょうは帰ろうと
思う頭が
は、ね、
根は焼けずに
夕照と音羽の真水に溶かされて
麦の筒で吸われる。
世、根、
吸われて、
どこかの胃にいるのは。
休日には
窓から西の山をみていた
海辺で
波の光るのをみた
雲のなかで
太陽がひかっていた
突堤が
波に洗われていた
友情がゲマインシャフトだと
鶴見俊輔は言っていた
そんな共同体がどこにあるのか
荒井くんには
忘れられない記憶がある
レノンは
邪魔する
レノンは想像を邪魔する
あまり意味のないことを
想像していた
ほとんど意味のないことを考えていた
レノンは
邪魔だ
ジョン・ライドンと
ロバート・スミスとモリッシーを聴いていた
あまり意味が無いな
ほとんど意味が無い