大風は過ぎて
西の山が青空に緑色に浮かんでいる
窓を開けると
冷たい空気のなかに金木犀の花の香りがした
ハクセキレイが鳴いている
プログラムは動作している
ただ生起するものを受け入れ特殊性を見いだすしかない
わずかに風が流れている
わずかに
大風は過ぎて
西の山が青空に緑色に浮かんでいる
窓を開けると
冷たい空気のなかに金木犀の花の香りがした
ハクセキレイが鳴いている
プログラムは動作している
ただ生起するものを受け入れ特殊性を見いだすしかない
わずかに風が流れている
わずかに
男の声だった
深夜の闇の中で
大雨警報のアナウンスがながれた
今朝は西の山が雨に煙って
大風は
東に逸れていった
愛好家たちは大風の日どこにいるのか
好きなものを集める
好きなものを集める
大風の日にわたしの似姿をたくさん集めている
愛好家たちは
昨日
地下鉄に乗ってセミナーにむかった
サイトの数値のなかに
果実を見つけるものだった
何もない
誰もいない
夕方の虎の門は
雨だった
大風が近づいてるのだ
地下鉄でミナ・ペルホネンの青いセーターを着た娘をみた
冬の鳥だった
カモメが飛んでいた
昨夜は
西口焼トンで飲みはじめた
それから荒井くんと
ワインバーで大きな乳房の女神をみた
大きな乳房であった
大きな大きな乳房であった
神が去ったあとに
まだすこし地上から浮遊していた
かつて浜辺で犬に神話をかたったことがある
神はいなかったと
小さなボートからみた朝の海面のヒカリと
水辺にうつる空と
波のうちよせる浜辺と
遠くにある突堤と空と海と
雨に霞む西の山と
夕暮れに沈んでゆく山なみと
わたしはわたしの知らないものが現れるのをみた
表層に他者を見た
表層の他者はわたしだった
夜の
新丸子のスーパーで携帯が鳴った
画家の桑原くんからの電話だった
近況を交換しながら作品のことを話した
ヒカリだねといった
それ以上を語らなかったけど
桑原くんは
ヒカリだねといった
ヒカリはヒカリのことは語らない
水の底に
流れつくだろう
いつか
わたしも流れつくだろう
しろい骨となって
魚たちは
水の底に平らにねむっていた
わたしも
しろい骨となってねむろう
かつて
黄金の夢をみた
かつて黄金の女の背中をみた
わたしは白い骨となって水の底に流れついた
きのう
浜辺をあるきました
波が打ちよせるのをみました
モコは波を怖がりました
カモメが
空中に浮かんで
磯ヒヨドリはいませんでした
小雨が
降りはじめました
たくさん降りました
たくさんの雨が降りました
わたしは西の山が闇にしずんでいきました
夕方
神田の空を写真に撮りました
仕事を終えて
長い電車に乗りました
深夜の東横線でスーツを着た男が叫んでいました
ヒャーと何度も叫びました
悪夢のなかでもがくように叫んでいました
愛しいと思いました
その男にも夕方の空はあったのだと思います
昨夜
ソネさんと飲んで
大竹伸朗さんのこと話して
長い電車に乗った
それから新丸子の街を歩いた
風がつめたくて
風がつめたくて気持ちいいね
わたしはソネさんに言ったのだった
そうね
ソネさんは応えた
ソネさんにはケージと小津のDVDを貸している