michio sato について

つり人です。 休みの日にはひとりで海にボートで浮かんでいます。 魚はたまに釣れますが、 糸を垂らしているのはもっとわけのわからないものを探しているのです。 ほぼ毎日、さとう三千魚の詩と毎月15日にゲストの作品を掲載します。

program 予定 番組

大風は過ぎて
西の山が青空に緑色に浮かんでいる

窓を開けると
冷たい空気のなかに金木犀の花の香りがした

ハクセキレイが鳴いている
プログラムは動作している

ただ生起するものを受け入れ特殊性を見いだすしかない

わずかに風が流れている
わずかに

 

 

fan ファン 愛好家

男の声だった

深夜の闇の中で
大雨警報のアナウンスがながれた

今朝は西の山が雨に煙って

大風は
東に逸れていった

愛好家たちは大風の日どこにいるのか

好きなものを集める
好きなものを集める

大風の日にわたしの似姿をたくさん集めている

愛好家たちは

 

 

none 何もない 誰もいない

昨日
地下鉄に乗ってセミナーにむかった

サイトの数値のなかに
果実を見つけるものだった

何もない
誰もいない

夕方の虎の門は
雨だった

大風が近づいてるのだ

地下鉄でミナ・ペルホネンの青いセーターを着た娘をみた

冬の鳥だった
カモメが飛んでいた

 

 

tourist 観光客

昨夜は
西口焼トンで飲みはじめた

それから荒井くんと
ワインバーで大きな乳房の女神をみた

大きな乳房であった
大きな大きな乳房であった

神が去ったあとに
まだすこし地上から浮遊していた

かつて浜辺で犬に神話をかたったことがある
神はいなかったと

 

 

more もっと多く もっと

小さなボートからみた朝の海面のヒカリと

水辺にうつる空と
波のうちよせる浜辺と

遠くにある突堤と空と海と
雨に霞む西の山と

夕暮れに沈んでゆく山なみと

わたしはわたしの知らないものが現れるのをみた

表層に他者を見た
表層の他者はわたしだった

 

 

gold 金 黄金

水の底に
流れつくだろう

いつか
わたしも流れつくだろう

しろい骨となって

魚たちは
水の底に平らにねむっていた

わたしも
しろい骨となってねむろう

かつて
黄金の夢をみた

かつて黄金の女の背中をみた

わたしは白い骨となって水の底に流れついた

 

 

 

many たくさんの

きのう
浜辺をあるきました

波が打ちよせるのをみました
モコは波を怖がりました

カモメが
空中に浮かんで

磯ヒヨドリはいませんでした

小雨が
降りはじめました

たくさん降りました
たくさんの雨が降りました

わたしは西の山が闇にしずんでいきました

 

 

strong 強い 濃い

夕方
神田の空を写真に撮りました

仕事を終えて
長い電車に乗りました

深夜の東横線でスーツを着た男が叫んでいました

ヒャーと何度も叫びました
悪夢のなかでもがくように叫んでいました

愛しいと思いました
その男にも夕方の空はあったのだと思います

 

 

continue 続ける

昨夜
ソネさんと飲んで

大竹伸朗さんのこと話して
長い電車に乗った

それから新丸子の街を歩いた

風がつめたくて

風がつめたくて気持ちいいね
わたしはソネさんに言ったのだった

そうね

ソネさんは応えた
ソネさんにはケージと小津のDVDを貸している