michio sato について

つり人です。 休みの日にはひとりで海にボートで浮かんでいます。 魚はたまに釣れますが、 糸を垂らしているのはもっとわけのわからないものを探しているのです。 ほぼ毎日、さとう三千魚の詩と毎月15日にゲストの作品を掲載します。

つぶやきのなかに、説明のなかに

 

ヒヨコブタ

 
 

しんと響く文章を書くひとがいる
それは重さを感じるときもある
このつぶやきの世界は断じて腐ってはならぬと願う
腐ったことばがならぶのは断じて
とひとりで熱くなりもする

とあるばしょで外国製の物の説明書きからその国のことやその歴史にひきこまれて夢中になった
その対象そのものももちろんだが、書き手の情熱が伝わってくる喜びがある
他者はさまざまに人生を重ねているのだ
考え方や身につけたものから教わることにわたしはどんどん向かっていく
それが趣味の世界であっても
物について興味深く思うより、さらにことばの世界にひきこまれるというのはわたしにとっては幸せだ
他者から教わるということはとても興味深く面白い
それは本のなかだけではなかったのだ
これからあとどのくらい探しめぐりあえるだろう
楽しみに思っている

 

 

 

また海を見にいく

 

さとう三千魚

 
 

今日も
見ていた

波は打ち寄せていた

小雨のなかを
しらす漁の船が出ていた

ふたつの船に
網を渡してしらすを掬いあげる

しらすは

生きているとき
透明な

鰯の子だ

帰りに
セリアで

空色の
食器洗いの

スポンジと
ピンクの布巾を買ってきた

部屋ではリュビモフの弾く平均律を聴いている

広瀬さんから
メールが届いた

今夜も飲むかもしれない

昨日も駅ナカで
詩人たちと芋のお湯わりをのんだのだった

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

二足歩行のブルース

 

工藤冬里

 
 

俺は腹に何かを詰め込んで彷徨っているゆうれいにすぎない
見上げる一様にうすあかい夜空に月は見えず
単発の大喜利で歩を進めているだけだ
祈ればいいんだという声が聞こえ
未来の俺は祈っているが
それは遠い過去のようだ
分断がそこまで来ていて
本は最強決定戦のみとなった
嘘くさいだろ、嘘くさいだろ、という横風を受けながら
踵に集中している

 
シオン

とうとうふたりだけになってしまった
きみどりと茶色だから古生代ぽいのだろう
その木からシオンに線を引いて
心臓を経由させると
いくつかの電波は情を点滅させる
黄みどりと緑と茶の混じった全体は日没に向けて暗くなってゆく
親子の情を基本に据えた世界が今日も暮れようとしている
従順によって今では可能になった
シオン霞ヶ関で働いている
グローバリズムに植え付けた願望?
暮れていった 暮れていった
日本が最初に暮れていった

 

 

 

#poetry #rock musician