こだまは
新横浜を過ぎました
熱海の海が光っていたのを
憶えています
ねむってしまった
のですね
新幹線は
海側に座ります
大切なものを
すこしポケットにいれて
仕事にむかいます
それはありました
それはかつて光っていました
こだまは
新横浜を過ぎました
熱海の海が光っていたのを
憶えています
ねむってしまった
のですね
新幹線は
海側に座ります
大切なものを
すこしポケットにいれて
仕事にむかいます
それはありました
それはかつて光っていました
こだまの終電に乗って
帰った
スマホで
映画をみた
小説家が子犬をダッシュボードに放り込む
映画だった
ウェイトレスと
小説家の恋の物語だった
二人には共通項があった
ひどいものを見たものの眼
だった
世界の中心をみるには
この眼玉がいる
しずくが
したたって
ゆきの
なかに落ちて
しずかに
滲みて
地面まで滲みて
流れて
いったね
春にはね
雪のしたを
雪解け水は流れていったね
まだ雪は
地上を覆っていたね
春の雪は
朝には凍って光っていたね
芽吹いていた
芽吹いていた
みていた
空を
みていた
空の向こう
焼石岳の頂が
白くなるのをみていた
雪が降るのを
みていた
世界が真っ白になるのをみていた
雪のなかに
ラッキーが此方をみていた
ラッキーはみていた
雪のなか
佇つヒトもいるだろう
眼を
見開いていた
雲雀が
なんども
地上に
降りてきたね
なんども
なんども
地上に降りてきたね
老いた
母は
みていたね
なんども高みにのぼり
なんども雲雀は
降りて
きたね
この地上に
降りてきたね
この地上に
雲雀はね
母はベッドから
みていた
店には
お客さんがいた
何人か
いた
店番のひとと
ねじめさんの奥さんもいた
若いころ
夜中の酔っ払いたちに
この奥さんがオニギリを
握ってくれたことがあった
名前をいったら
憶えていてくれた
民芸店は繁盛していた
こころをみてた
昨日は
書けなかった
高円寺の鳥渡で飲んで
目覚めたら
東京駅にいた
昨夜は
荒井くんと
浅草橋と
蔵前で飲んだ
いま目覚めて
荒井くんの部屋にいる
硝子のなかに少女が
佇っていた
桑原正彦の作品だ
雨なのか
今朝は
雨なのかな
昨日
広瀬さんから
メールがとどいた
鎌倉の師の
通夜にいくと書いて
あった
もう星はみえないね
都会ではね
明るい都会ではね
星は佇っている
星はぶつかってくる
もう
あんな奇妙な星には会えないね
星が消えた
小鳥たちの声で
目覚めた
此の世でハクセキレイは
鳴いていた
椋鳥も
鳴いていた
昨夜
荒井くんから電話があった
富山から帰った
といった
富山の病院にお母さんがいて
家と墓がある
薄明かりのベッドのなかで
鳥の声を聴いていた
あの声は
ハクセキレイかな
椋鳥かな
朝になり
小鳥たちは鳴いてる
会話だね
わたしは
いつ死ぬのだろう
そのヒトはいった
支えにならなくてはならない
ともいった
もうすぐ冬ですね
いつまでも
雪の降るのをみていたい
いつまでもね