bad 悪い ひどい 劣った

 

こだまの終電に乗って
帰った

スマホで
映画をみた

小説家が子犬をダッシュボードに放り込む
映画だった

ウェイトレスと
小説家の恋の物語だった

二人には共通項があった

ひどいものを見たものの眼
だった

世界の中心をみるには
この眼玉がいる

 

 

 

heaven 天国

 

しずくが
したたって

ゆきの
なかに落ちて

しずかに
滲みて

地面まで滲みて

流れて
いったね

春にはね

雪のしたを
雪解け水は流れていったね

まだ雪は
地上を覆っていたね

春の雪は
朝には凍って光っていたね

芽吹いていた
芽吹いていた

 

 

 

eye 目

 

みていた

空を
みていた

空の向こう

焼石岳の頂が
白くなるのをみていた

雪が降るのを
みていた

世界が真っ白になるのをみていた

雪のなかに
ラッキーが此方をみていた

ラッキーはみていた

雪のなか
佇つヒトもいるだろう

眼を
見開いていた

 

 

 

death   死

 

雲雀が
なんども

地上に
降りてきたね

なんども
なんども

地上に降りてきたね

老いた
母は

みていたね

なんども高みにのぼり
なんども雲雀は

降りて
きたね

この地上に
降りてきたね

この地上に

雲雀はね

母はベッドから
みていた

 

 

 

star 星

 

昨日
広瀬さんから

メールがとどいた
鎌倉の師の

通夜にいくと書いて
あった

もう星はみえないね

都会ではね
明るい都会ではね

星は佇っている
星はぶつかってくる

もう
あんな奇妙な星には会えないね

星が消えた