仏間に写真が掛けてあった
天皇皇后の写真と
首相と並んで笑う父の写真だった
母や家族のために
わたしを依託し戦争にいった
わたしを依託した
わたしを委託した
閃光の後に
影となったヒトたちがいた
大きな口で
叫んで消えていった
仏間に写真が掛けてあった
天皇皇后の写真と
首相と並んで笑う父の写真だった
母や家族のために
わたしを依託し戦争にいった
わたしを依託した
わたしを委託した
閃光の後に
影となったヒトたちがいた
大きな口で
叫んで消えていった
昨日は
夕方にモコと近所を散歩した
道端に
花々は咲いていた
それから
西の山に日が沈むのを見た
日は沈み
日は昇るだろう
長崎では
汽笛が鳴るのを聴いた
たくさん鐘が鳴るのを聴いた
長崎では鐘が鳴っていた
長崎では鐘が鳴るのを聴いていた
今日は
小鳥たちの声を聴かなかった
港に
風は強く吹いていた
一日
藤圭子とラ・モンテ・ヤングを聴いていた
バカだなバカだなだまされちゃって
と歌っていた
新宿の女だった
全ての愛するもの好むものから離れよと
藤圭子は歌っていた
西坂の公園に
聖人たちはならんで浮かんでいた
坂をのぼると
そのヒトの家はあった
玄関の白壁に
花の絵が描かれていた
子供のころ
縁側から長崎の海が見えたのだという
ひかっていた
玄関先の
その花々の無辺のまえに聖人たちは佇っていた
昨日の朝
きみの名が知りたくて
もう一度
県美の公園にきみを見に行きました
ヒトツバタゴ
別名ナンジャモンジャ
白い花のきみは
ねむの木かと思ったけど違った
きみの花の時期は短いんだね
それから市電で長崎原爆資料館へ向かった
11時2分だった
長崎に来て
千尋さんの墓にいった
千尋さんの無辺
という絵をはじめてみた
無辺は
線が入り組んで
景色が見えた
二十六聖人をみた
東松照明の写真をみた
肌がただれていた
硝子ビンがねじれていた
末次助作さんは
三菱兵器製作所で被爆したのだ
昨日の夜
桑原くんから電話を貰いました
桑原正彦は画家です
若い頃は死んだ
犬を三匹並べて描いていた
いまは巨大な
天使の絵を描いている
巨大過ぎて天使には見えない
巨大過ぎて天使には見えないよ
桑原くんは
天空を支えるヒトとなった
千駄ヶ谷の
美術館にたっていた
千駄ヶ谷の美術館のなかの
小部屋にたっていた
全裸だった
少女は獣の毛皮をはおっていた
わたしの娘なのだとわかった
すぐにわかった
鳥肌がたった
全身に鳥肌がたっていた
アンディ・ウォーホルはわたしの娘なのだった
もう
昼は過ぎたろう
小鳥が鳴いている
誘われて
飲んだ
昨日も飲んでしまった
立ったまま
多摩川をわたった
深夜の満員電車で多摩川をわたった
昨日
そのヒトの命日だった
笑顔が電車の窓ガラスに映っていた
遠い街の灯にかさなってみえた
昨日は
墓参りにいきました
墓石には
慈という文字が刻んでありました
亡くなったそのヒトの娘が
書いた文字です
そのヒトは生前
娘とその母に迷惑をかけたそうです
それでも
墓には花を供えます
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