ぼんやり
してる
だれなのか
ゆめなのか
あなたなのか
あなたではないのか
たちあがって
蛇口をひねり
コップの水を飲む
ぼんやりした場所から
消えていったものたちが
たちあがる
あなたなのか
あなたかい
水を飲みな
蛇口からこぼれていた
ぼんやり
してる
だれなのか
ゆめなのか
あなたなのか
あなたではないのか
たちあがって
蛇口をひねり
コップの水を飲む
ぼんやりした場所から
消えていったものたちが
たちあがる
あなたなのか
あなたかい
水を飲みな
蛇口からこぼれていた
ソファーに
目覚めて
モコは透明な瞳で
見ていた
夢を見たろうか
モコは
夢を見たろうか
夜中に
唇を鳴らして
乳を吸っていた
まったく憶えていない
まったく夢を憶えていない
裏山の暗い坂道に
佇ったままだ
白い百合が咲いていた
朝になった
ラ・モンテ・ヤングを聴いていた
西の山が
明るくなって
雲がながれていった
弥陀は
あらわれなかった
目覚めたモコに
キスをした
おしっこに連れていった
深夜にfacebookで
壊されたガザの街と荒井真一の尻の穴をみた
もういちど
この世にキスしよう
詩集を
買いました
amazonで1円でした
写真に
短い詩が
添えられていました
リルケ
イェーツ
ミューア カーソン
このヒトたちは
世界を見ていたでしょう
ミューアは言いました
ヒトは
すべすべした石の玉みたいに
切り離されている
今朝も海を見ていた
重たい
雲が降りて
ひかりは
隠れていた
海は空の色を映して
灰色だった
ここに
詩の構造があると思った
海と空を別ける
もの
古代のヒトは見ていただろう
風は吹くだろう
古代の
西の
山は灰色の雲に隠れていた
直情に、
頂から、山裾へ落下していく。
水は、直情に、汚濁する。
野を迂回すれば、少しは、澄む。
汚濁は、安穏であるからと
川の声が、ハミングしている。
オダク、ワ、アンノン、
アンノンと。
混じる、幼い子の声
かぞえられないほどの、悲しいことの
束。
針で刺されて、それに応える
泣き、叫び。
疾っと、つっと、
とどまらず、流されていく子ら
笑い声も聴こえる。
合弁花、きばな、べにばな
黒花、
直情の花も、裏切る。
●
あの坂の中腹にある高い木の名を
誰かにたずねてみようかと
すれ違う人の顏を確かめる。
それから、振り返り、
離宮、
北山の峰、西の山。
夕照に、激しく射られて
木の名を訊くことを忘れる。
●
夏に、他季を流す。
声と花いろと、
印を混ぜて、喉いっぱいに
雑音が詰まり、
音の羽が口中に、充満していく。
●
木の名は、夢の中で知る。
混濁する気配のうちに知ったのは
異国のことばだったか、
うにゃりうにゃりと、響いていった。
声音に、弦楽の弦を擦る音が重なり
その名は、薄く削がれていく。
深夜に
目覚めた
酔い潰れて
居間の床に眠っていた
モコが
身体を添わせて
眠っていた
小さなモコが
眠っていた
モコ
モコ
あれらのことや
それらのことが
世界には
あるね
たくさん
たくさん
モコを抱いて
ベッドで眠ろう
西坂をのぼり
千尋さんの生家の手前に
二十六聖人たちは
いた
空を見上げて浮かんでいた
救われたか
彼らは
救われたろうか
公園に猫たちは
いた
長崎の街が見えたよ
教会の鐘の音が響いていた
叫び声だった
ヒトビトは叫んでいたよ
仕事を
切り上げて
荒井くんと会った
浅草のしぶやで
金宮を飲んだ
荒井くんは
すこし濃いめで
といった
鰯の刺身が
おいしかったな
夏の海で
鰯の群れがきて
鰯を釣ったな
海が真っ黒だったな
荒井くんと
地下鉄の入口で手を上げて別れた
流れて
いた
河は
二重に流れていたろう
川底の小石の
上には
ハヤたちが群れて
泳いでた
そこに
世界はあった
水面に
青空と太陽が光っていた
光り
輝いていた
言うべきことは
ないさ
やがて
二重の流れにまかせて
白い腹を裂くのさ