wild 野生の

かもめや
千鳥

磯ヒヨドリの

声を聴いたことあるかい

ハクセキレイと話したことあるかい

あれはズキンときた
ズキンズキンときた

野生だね
野生の声だね

野生の世界にはね
いるね

たしかにいるね

ズキンとね
ズキンズキンとね

ヒタヒタヒタヒタとね

 

 

kitchen 台所

毎朝
ひとつの詩とスープをつくっている

スープには
じゃがいもやブロッコリーやベーコンを入れます

味付けは鶏ガラと塩と胡椒

たまに台所で味見します

詩には何を入れるか
わかりません

ことばに幕が張るのを待って
幕の下にひかりをさがしています

 

 

end 終わり 端

今朝
浜辺の縁にモコとすわっていた

浜辺の縁から空と海をみていた
世界の終わりをみていた

終わりのなかに
はじまりの種子がつまっていた

波は音をたてて
くりかえし岸辺をあらっていた

はじまりは終わりからはじまった
はじまりは終わりからはじまっていた

 

 

 

flag 旗

今朝
浜辺をモコとあるいた

波打ち際にすわり
空をみていた

いままでに
たてたことがない

旗は立てたことがない

旗を

海にしずめたらどうか

すべての旗を海にしずめたらどうか
すべての国の旗を海にしずめたらどうか

旗を海底にしずめる
旗を海底にしずめる

 

 

people 人々 民衆

姥捨から
千曲川はうねってみえた

山々のむこうに
山の頂は白くひかっていた

ひとびとは
冬のはじめに年老いた母を捨てたのだという

ひとびとも

千曲川のうねるのをみただろう
山の頂の白くひかるのをみただろう

山の民だったのだと
そのヒトはいった

 

 

fill いっぱいにする

昨日は
姥捨から千曲川のまがってひかるのをみた

山のむこうに
白くひかる山の頂きをみた

ふるさとの姪から
白い雪に塗りこめられた風景も届いた

千曲の風のなかで千代さんは画布にひかりを集めていた

画布をいっぱいにする
世界をひかりでいっぱいにする

 

 

agree 同意する

昨日の朝
浜辺の町でめざめて

昼間
人ごみのなかで働いていた

深夜
大きな川のながれる町に着いた

深夜のレストランでそのヒトは話した

そのヒトは
発見した語学とゴミ溶融焼却炉のことを話した

わたしはそのヒトに同意する
白く尖った髭に同意する

 

 

cheap 安い

深夜に
ラ・モンテ・ヤングを聴いている

オーディオ装置に
スーパーウーファーを追加してよかった

ラ・モンテ・ヤングには
スーパーウーファーが必要だった

悲しみがこみあげる
悲しみがこみあげる

下部構造の無限に堪えるほかない