かもめや
千鳥
磯ヒヨドリの
声を聴いたことあるかい
ハクセキレイと話したことあるかい
あれはズキンときた
ズキンズキンときた
野生だね
野生の声だね
野生の世界にはね
いるね
たしかにいるね
ズキンとね
ズキンズキンとね
ヒタヒタヒタヒタとね
かもめや
千鳥
磯ヒヨドリの
声を聴いたことあるかい
ハクセキレイと話したことあるかい
あれはズキンときた
ズキンズキンときた
野生だね
野生の声だね
野生の世界にはね
いるね
たしかにいるね
ズキンとね
ズキンズキンとね
ヒタヒタヒタヒタとね
毎朝
ひとつの詩とスープをつくっている
スープには
じゃがいもやブロッコリーやベーコンを入れます
味付けは鶏ガラと塩と胡椒
たまに台所で味見します
詩には何を入れるか
わかりません
ことばに幕が張るのを待って
幕の下にひかりをさがしています
今朝
パスカルはトイレでいった
<人々は一つの球や一匹のうさぎを追いかけるのに夢中である>
パスカルはおかしい
パスカルはおもしろい
真実のみ求めてパスカルは
ヒトの場所にいる
ヒトの場所であたらしい真実を求めている
神の場所ではない
語らない
それはただ見ている
それはただ聴いている
いとしいもの
親愛なもの
それは語らない
それは語らない
今朝
モコと浜辺をあるいた
今朝
きみのことを思った
海がひかっていたよ
空がひろがっていたよ
風がふいていた
今朝
浜辺の縁にモコとすわっていた
浜辺の縁から空と海をみていた
世界の終わりをみていた
終わりのなかに
はじまりの種子がつまっていた
波は音をたてて
くりかえし岸辺をあらっていた
はじまりは終わりからはじまった
はじまりは終わりからはじまっていた
今朝
浜辺をモコとあるいた
波打ち際にすわり
空をみていた
いままでに
たてたことがない
旗は立てたことがない
旗を
海にしずめたらどうか
すべての旗を海にしずめたらどうか
すべての国の旗を海にしずめたらどうか
旗を海底にしずめる
旗を海底にしずめる
姥捨から
千曲川はうねってみえた
山々のむこうに
山の頂は白くひかっていた
ひとびとは
冬のはじめに年老いた母を捨てたのだという
ひとびとも
千曲川のうねるのをみただろう
山の頂の白くひかるのをみただろう
山の民だったのだと
そのヒトはいった
昨日は
姥捨から千曲川のまがってひかるのをみた
山のむこうに
白くひかる山の頂きをみた
ふるさとの姪から
白い雪に塗りこめられた風景も届いた
千曲の風のなかで千代さんは画布にひかりを集めていた
画布をいっぱいにする
世界をひかりでいっぱいにする
昨日の朝
浜辺の町でめざめて
昼間
人ごみのなかで働いていた
深夜
大きな川のながれる町に着いた
深夜のレストランでそのヒトは話した
そのヒトは
発見した語学とゴミ溶融焼却炉のことを話した
わたしはそのヒトに同意する
白く尖った髭に同意する
深夜に
ラ・モンテ・ヤングを聴いている
オーディオ装置に
スーパーウーファーを追加してよかった
ラ・モンテ・ヤングには
スーパーウーファーが必要だった
悲しみがこみあげる
悲しみがこみあげる
下部構造の無限に堪えるほかない