michio sato について

つり人です。 休みの日にはひとりで海にボートで浮かんでいます。 魚はたまに釣れますが、 糸を垂らしているのはもっとわけのわからないものを探しているのです。 ほぼ毎日、さとう三千魚の詩と毎月15日にゲストの作品を掲載します。

heaven 天国

 

しずくが
したたって

ゆきの
なかに落ちて

しずかに
滲みて

地面まで滲みて

流れて
いったね

春にはね

雪のしたを
雪解け水は流れていったね

まだ雪は
地上を覆っていたね

春の雪は
朝には凍って光っていたね

芽吹いていた
芽吹いていた

 

 

 

141109 塀

広瀬 勉

 

写真-350

タイトルを「雪が降る前に来てけれ、と、なじみが言った」としたのは、何十回と訪れているこの街に、「なじみ」という屋号の店があり、この秋に店終いするということで、是非その前に一杯飲るというのが、主要な動機として有ったのでした。

 

 

 

eye 目

 

みていた

空を
みていた

空の向こう

焼石岳の頂が
白くなるのをみていた

雪が降るのを
みていた

世界が真っ白になるのをみていた

雪のなかに
ラッキーが此方をみていた

ラッキーはみていた

雪のなか
佇つヒトもいるだろう

眼を
見開いていた

 

 

 

@141110 音の羽

 

萩原健次郎

 

 

DSC08703

 

破らないと、
逆さの川の
逆さの花の、隙間に満つる
朱と朱の気が混じり
そこに潜んでいる
いきものの胚が、
ほそい振動で、伸びきった
色素の、
諍いのこえが、
高音と低音が
交差して、
どこか水平に、
繊い、和音となって
緑地に溶けている。
よく見ると、
地面と錯視していたそこには
無数の苔の芽が、天をめざしている。

生きる道を習うとなると
つぶやきに耳を澄ますのだが
もう、習う必要もない。

朱の色と濃緑の
まったき調和は、どんな疑いも
とどけていない。

静かな無残に酔うように
空も親和の音楽で合わせ、
景もまた、気もまた
眠っているように感じられる。
鎮める、朱よ
わかれる、隙に
だれかの、思惑をつめて
唱和すれば、
深い、その奥の奥から、呼び戻される。

直立と座位の
こちら側の隙に
ううっと、噎せてくる気は
なんなのか。

毛のもの、
繊維のもの、
それから
人工の、金管や木管、
読経、人声、
吠える声、

糸の、切れる音。