名を呼ぶ
花の名を呼ぶ
流転のただなかで花の名を呼ぶ
タマスダレの
白い花が咲いていた
片隅に咲いていた
その花をとどめなさい
その花をとどめなさい
花の名を呼びその花をとどめなさい
胸を裂き花の名を呼びなさい
胸を裂き花の名を呼びなさい
名を呼ぶ
花の名を呼ぶ
流転のただなかで花の名を呼ぶ
タマスダレの
白い花が咲いていた
片隅に咲いていた
その花をとどめなさい
その花をとどめなさい
花の名を呼びその花をとどめなさい
胸を裂き花の名を呼びなさい
胸を裂き花の名を呼びなさい
フランソワーズ・アルディーのレコードを
広瀬さんはかけてくれた
フランソワーズ・アルディーは
さよならを教えてを歌った
もう森なんかいかないも歌った
万物流転のただ中で
フランソワーズ・アルディーは歌った
花を歌った
花それ自体を歌った
花それ自体を歌った
ねむっていました
ヴァルハの
パルティータを聴いていたのです
夢のなかに
タマスダレの白い花が咲いていました
プラトンは真顔でいいました
花々のなかの実在の花として生きよとプラトンはいいました
なすびの花もプアプアの花も
咲いていました
そこに咲いていました
ギーゼキングの
パルティータを聴いています
第2番ハ短調にさしかかったところで
現れているんですね
そこに
断崖があり風があり林が揺れ
シンフォニアから
アルマンドにうつったところに
ひとりのバッハがいます
ひとりのバッハが見たものがいます
地上にあるもの
詩は地上にあるもの
地上にないもの
詩は地上にないもの
あるものとないもの
あることとないこと
そのあいだで
昨日の夜
フランソワーズ・アルディの歌を聴いたよ
広瀬さんの店で
フランソワーズ・アルディの歌を聴いたよ
果てしない道を帰った
うつくしいものはある
むねがはりさけるほど
うつくしいと思えるヒトもいる
かつて
こどものときに
知っていたのだろう
うつくしいとは何かを
知っていたのだろう
懐かしい場所を
むねがはりさけるほどに
むねがはりさけるほどに
そこにいた
そこに佇っていた
寒い場所に
そのヒトはない
そのヒトはすでにない
寒い場所そのものとなって佇つヒト
今朝あけがたに目覚めて
わたしはぼんやりとみていた
薄目でぼんやりとみた
林のむこうに霧がながれていった
いちばん新しい絵は、枯葉の中のクロッカス。こういう、枯葉や小さな枯枝の落ちた場所が自分は好きなのだなと思う。もういくつもこういう景色を描いた。 今年のわたしの三大事件は、古川ぼたるさんの死、山画廊主人山満代さんの死、そして小中学校の同級生 だった海洋大学教授中村宏の死。現象的には個展をしたとかいうこともあったけれど、死がかれらを連れ去った衝撃が大きい。何か、 自分の領地に訳のわからない力が襲いかかり、ごっそり地面を抉りとっていってしまったという感じだ。冥福を祈るなどという余裕は ない。しかし、今年のこの連続した近しい人の死は、これからはこうしたことが次々に起こるのだぞという予言のようにも思える。
今朝は萩原さんのチェレックの
ゴルトベルクを聴いた
萩原さんは
とぼとぼと立ち返る足取りでいい
といった
この曲に過度な情熱は不要である
ともいった
出獄した河上肇さんは
偶成という漢詩を書いた
老馬は路を知るといえども
という一行があった
一昨日は
スーパーの野菜に森をみた
それから帰りに
青空の中にぽかんと浮かんだ雲をみた
川面につがいの鴨が浮かんでいた
冷たい風が川面を過ぎた
白木蓮の蕾が膨らんでいた
蕾は細かい毛につつまれていた
空は晴れて風がつよかった