広瀬 勉
#photograph #photographer #concrete block wall
雪の降る前に
行った
去年
だった
千曲の戸倉で茸鍋をつつき福寿草の温泉に入った
春になったら
また来ます
そう約束した
それで
この春に千曲に向かった
高速を走った
275kmをクルマで走った
眠くなり
何度か休んだ
八ヶ岳と諏訪湖のPAで休んだ
姨捨のスマートICで高速を降りた
根石さんを乗せ *
田沢温泉に向かった
やっと
ここに
ひとりの詩人がいた
富士屋の風呂に入った
夕食にビールを頼んだ
そこにいた
翌朝
根石さんは言った *
“吉本は喉の奥にひっかかった骨みたいだ” **
“ひとりで荷なっているものが吉本にはある” **
そう言った
そこにいた
* 根石さんとは、詩人の根石吉久のこと
** 吉本とは、詩人、評論家の吉本隆明のこと
#poetry #no poetry,no life
アウシュビッツの後でも
世界中の詩人が、
詩を書いたように、
ベトナム戦争の後でも、
世界中の詩人が、
平気で詩を書いた。
フクシマの後でも、
この国の詩人は、
つまらん詩をぎょうさん書いた。
厚顔無恥な我々は、
ガザ、ウクライナの惨劇の後でも、
下手糞な詩を、ビシバシ書くだろう。
世界の荒廃に対する防御は、
ただひとつ、
創造する営みだけだからだ。*
*「世界の荒廃に対する防御はただひとつ、創造する営み。」byポール・オースター「4321」モンロー先生の言葉より引用。