michio sato について

つり人です。 休みの日にはひとりで海にボートで浮かんでいます。 魚はたまに釣れますが、 糸を垂らしているのはもっとわけのわからないものを探しているのです。 ほぼ毎日、さとう三千魚の詩と毎月15日にゲストの作品を掲載します。

name 名 名前

花にも
名があった

ヒトがつけた名があった

思い浮かぶ花が
ある

雪解けの庭の隅に水仙が咲いていた

夏に
鶏頭が咲いて
鳳仙花が咲いていた

山の斜面に白い百合が匂っていた

ハハコグサは
都市のアスファルトの亀裂に乾いて
いた

黄色の花を咲かせていた

 

 

between 〜の間に

はじめてきいた

蝉が
鳴きはじめた

はじめて声をきいた

風がつよく
空には灰色の雲がひろがっている

西の山は
雲をかぶって頂上が霞んでいる

いまは佇って風をうける
いまに佇って風をうける

蝉の声をきいている
蝉の声をきいている

蝉の声を

 

 

century 世紀

遠い

声に
おびえる

おびただしい

死に

おびえる

つかえないコトバにおびえる

どこかで
密約があったのだろうか

村をやき
民をころし
おびただしい死があった

わたしの祖母の瞳が灰色になった

そのコトバをつかわない
そのコトバをつかわない

 

bridge 橋

たしかに
架かっているのだろう

あちらと
こちらのあいだには

今朝
燕たちの飛ぶのをみていた

燕たちは複雑な曲線をひいて飛んでいた

燕たちに橋はいらない
燕たちに橋はいらない

電線にとまって
赤い首をねじって鳴いて

すぐに
飛びたっていった

 

 

 

cloud 雲

ひとりの
夏に

みていたな
いつもみていたな

雲をみていたな

雲は遠い

雲は
遠いヒト

遠い遠いヒト

みていたな
いつもみていたな

雄物川の
川面に
うつっていたな

ながれていったな
ながれていったな

ひとりの夏に
ながれていったな