日野の
駅で
雪を見ていました
ゆっくり
ゆれながら
降りてきました
日野の駅で
朝まで見ていました
きみはいまどうしているの
雪がふっていました
雪はふっていました
雪が降りてくるのを見ていました
雪はゆれながら降りてきました
日野の
駅で
雪を見ていました
ゆっくり
ゆれながら
降りてきました
日野の駅で
朝まで見ていました
きみはいまどうしているの
雪がふっていました
雪はふっていました
雪が降りてくるのを見ていました
雪はゆれながら降りてきました
夏の
午後
走っていった
白い道を走っていった
誰も乗っていなかったのか
砂埃をあげて
四角い
空白を過ぎていった
走っていった
わたしは見ていた
わたしはいつも見ていた
砂埃をあげて白い道を過ぎていった
空白を見ていた
空白を
溢れかえる
光の
むこうに
わびしい暮らしがあり
そこに
仄かな
ひかりがある
仄かなひかりのなかに
過ぎ去る者が
いた
ことばを求めて
燕は
飛んでいる
あの飛行はより少ないことばから生まれている
燕は
首を捻りながら電線の上でつぶやいた
アサ
雨が降っていて
西の山は
白く
霞んでいて
空との境界が溶けていた
霞んでいく
風景のなかで奇妙なわたしが佇っていた
境界は溶けていた
わたしはわたしの幽霊だった
わたしは幽霊となって
境界のない風景のなかに佇っていた
何度聴いたろうか
今朝から
マリア・ユーディナの
平均律クラヴィーア曲集 第1巻第22番を
何度聴いたろうか
十分ということが
ない
きみに
会うためには
十分ということはない
くり返しうち寄せてくる
波はくり返しうち寄せてくる
いつか
マナイタの
うえに
それは
ありました
ヒナタ
なのか
マナイタ
なのか
台所のマナイタの朝の光に輝やいていました
四角い光の塊となって
ヒナタなのか
マナイタなのか
朝の
ヒナタの
マナイタの
輝やいていました
輝やいていました
使える
ものがありません
利用する
ことができません
服を
ぬいで
素手と
なって
裸足で
歩いて
風にふかれて
飛ぶ燕たちをみあげていた
使われるものであることのうちに
息をはき
息をすい
息をはきました
雲がたって
燕たちがきれいな線をひいて飛ぶとき
あなたはそこにいて
みていた
すでに
あることのすべてをみていた
生きることがわたしのすべてですが
あなたの使命は
そこにいてささえること
そこにいて
あなたの妻と妻のすべてをささえること
山の
斜面の
小道を歩いていました
目覚めると
山の斜面の
暗い小道を歩いていました
ヤマユリが咲いていました
ヤマユリが匂っていました
わたしにはわかりませんでした
わたしにはわかるということがわかりませんでした