michio sato について

つり人です。 休みの日にはひとりで海にボートで浮かんでいます。 魚はたまに釣れますが、 糸を垂らしているのはもっとわけのわからないものを探しているのです。 ほぼ毎日、さとう三千魚の詩と毎月15日にゲストの作品を掲載します。

思い出 ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 57     kazuyo さんへ

さとう三千魚

 
 

忘れた
忘れたの

わたしの花

忘れたの
許さないよ

いつも
咲いていた

庭に
咲いていた

わたしの
水仙

咲いていた

 
 

***memo.

2024年1月8日(日)、
浜松「八月の鯨」にて、
「 無一物野郎の詩、乃至 無詩!」として作った57個めの詩です。

タイトル ”思い出”
好きな花 ”水仙”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

母乳卒業

 

辻 和人

 
 

これが、あの
ミヤミヤのおっぱい
丸々した丘から黒紫の鎌首がギュン
もたげる
奇怪、だ、禍々しい、だ
ミヤミヤのおっぱいと言えば
さらっとした平地にピンクのボタンがチュンって乗ってるのが
定番の姿
これが、あの、だ

今日はコミヤミヤとこかずとんが母乳卒業する日
赤ちゃんには母乳が一番ったって
いっぺんに2人分だからね
鎌首差し出せばコミヤミヤ夢中でしゃぶる
こかずとんも夢中でしゃぶる
でも口に含んで乳の出が悪ければ
ギャンギャン泣いちゃう
それでもミヤミヤはただのミヤミヤじゃなくてミヤミヤママ
母の愛の乳を
ちょっとでも飲ませたい
だから寝静まった後の薄暗い光の下で
1人黙々搾乳機で乳しぼり
黒紫の鎌首がギュン
絞っては冷凍
パックに詰めて冷凍したら解凍
レンジでチンして哺乳瓶のミルクに混ぜる
混ぜちゃったら市販のミルクと区別できないだと?
そんなの問題じゃない
母の愛が問題だ
絞って絞って3カ月
だけどもう卒業してもいいかな

今日は絞った奴じゃない、ナマのをどうぞ
今コミヤミヤの口がミヤミヤの黒紫の鎌首に
吸いつく、吸いつく
コミヤミヤ、目つむってちゅぱちゅぱに集中
お口に流れ込んでくるものにうっとり
実はコミヤミヤは鎌首くわえるだけでもうっとり顔なんだ
お次はこかずとん
こかずとんは何たってミルク飲み
乳の出が悪いと大泣きしたりするけど
今日は出る出るぅ
右手で鎌首しっかりキープして力強くちゅぱちゅぱ

ちゅぱちゅぱがピンクを黒紫に変えてきた
ちゅぱちゅぱがボタンのチュンを鎌首のギュンに変えてきた
コミヤミヤとこかずとんの口に母の愛が白く流れ込んで
母の愛が母の形を変えてきた
母の愛がボタンのチュンを鎌首のギュンに変えてきたんだ

「ミヤミヤ、お疲れ様でした」
胸元拭いてるミヤミヤはちょっと寂しい笑顔
「お疲れ様。
 最後の授乳だったけど2人にはいつもと同じだったね。
 明日からは少し余裕ができるかな」
仕上げの粉ミルクも飲み干したコミヤミヤとこかずとん
お腹いっぱいになって爆睡してる
その爆睡の裏に
かずとんパパが幾ら頑張っても手の届かないものがある
ママはやっぱりパパとは違うんだね
心の中で呟いたら
黒紫の鎌首がギュンっと頷いた
丸々した丘から首をもたげているものは
これから徐々に平地のピンクのボタンのチュンに戻っていくだろう
ミヤミヤママ、ありがとう
奇怪で禍々しい、ありがとう

 

 

 

余生 ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 56     toshimi さんへ

さとう三千魚

 
 

咲いてた

たくさん
咲いてた

ひまわり
咲いてた

たくさん
たくさん

咲いてた

余生を
花で埋める

 
 

***memo.

2024年1月8日(日)、
浜松「八月の鯨」にて、
「 無一物野郎の詩、乃至 無詩!」として作った56個めの詩です。

タイトル ”余生”
好きな花 ”ひまわり”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

よくみる人

 

野上麻衣

 
 

たとえば、声。
目のすみ具合、
肌のいろ、
起きたての体のうごき。

まいにち
そのときのいのちのあるを
くらやみの中で目をこらす、
おう、
とき。

どちらかが
きげんのわるい日は
目がさめたらぶつかる。
どちらがご飯をつくるかでけんかする。

くりかえす日々の
さいごのさいご
だれがいつなにする決まりを
ほおりなげた。

からだは
その日、そのときを生きるようになって
よく、みて
よく、きいて
よく、しるように。

 

 

 

還暦 ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 55     ryuji さんへ

さとう三千魚

 
 

初夏
だったか


だった

白い
きみに会った

白蝶草だった

ぼくは
今年

還暦になったよ

また
きみに会いたい

 
 

***memo.

2024年1月8日(日)、
浜松「八月の鯨」にて、
「 無一物野郎の詩、乃至 無詩!」として作った55個めの詩です。

タイトル ”還暦”
好きな花 ”白蝶草”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

塔 ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 54     yoshimi さんへ

さとう三千魚

 
 

きみは
どこにいるの

さがして
いる

無い
花を

さがしてる

そこに
いた

塔は立っていた

 
 

***memo.

2024年1月8日(日)、
浜松「八月の鯨」にて、
「 無一物野郎の詩、乃至 無詩!」として作った54個めの詩です。

タイトル ”塔”
好きな花  無花

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

たちまち朝の終わりかな

 

工藤冬里

 
 

https://youtu.be/exGprMKGZ1I?si=EFHloriBSAPfnsNu

1月2日
ナマコ荒れ 今年ももう終わりだな
1月4日
ポアの発想が完全に乗り越えられたいま、生きているだけで幸せと思えという使い古された言い草も俄然真実味を帯びてきた。そして自分が神だというような流行りの足掻きも遠い過去のものとなった。
1月7日
万能感に浸りながらの復讐は集合的無意識をいびつなかたちで現実化していくが、その(復讐の)あれこれを万能者に明け渡すことによってのみヒト科の一般意志は乗り越えられる

https://www.instagram.com/reel/C1RL8XDrc2z/?utm_source=ig_web_button_share_sheet

 

 

 

#poetry #rock musician