広瀬 勉
#photograph #photographer #concrete block wall
木の葉の
揺れている
青空に
揺れている
夕方に
みんな
急いでいる
帰る
家が
あるのか
ニゲラの
群青の
花の
揺れてる
群青の空にいる
***memo.
2024年5月5日(日)、
静岡駅北口地下広場での即興詩イベント、
「 無一物野郎の詩、乃至 無詩!」第二十四回で作った67個めの詩です。
タイトル ”なし”
好きな花 ”ニゲラ”
#poetry #no poetry,no life
ダサい歌
逃亡者はダサい歌を作れない
気が狂った振りをして逃げおおせる
着信音が追いかける
真に迫る音だった
話す前に会話が終わり
祝う前に汚れに触れている
歌がダメだ
歌がダメなのは自分の所為?
目の隈のような低音部
掠れた郷愁に頼り
変更される歌
皮を鞣す塩水のメロディよりも更に深い海洋から上ってくる
駐留する高給取りの屋敷の壁の装飾にも歌
偶然とは言えない歌
ダサい歌
奴隷が支配者に与えるメロディ
タラの木は中々見つかりません
私達の暮らしているこの世界は森のようで、
危険に満ちているからです
何故草を刈るのか
おそろしい
登っていくと風の谷のモデルになったポイントがある
冬になると凍る滝は
一枚岩を流れ落ちる
Love peopleとはとんでもない指示が出たものだ
アリは諦めて巣を代えた
エジプト郡(ママ)は追いかけてきました
シロアリはゴキブリの仲間
雲の柱のように大理石は浮き乍ら運ばれた?
溺死するという証拠を見ました
見える蚊柱がドローンのように
風で車が揺れる
目がすごく良くなくても分かる
菌類のようにまとまって ひとりのように
何故草刈りするのか この短い人生では分からない
西谷の上の方に風の谷のポイントがある筈だった
約束の地の蚊柱
はっきりと証拠があるのに入れなかった
或いはこの荒野で死んでいれば良かった
暴力的な輩が来る予想をしている
自分はまだ動けるだろうか
風が強い
日向にはもう居られないと思ったがこれなら大丈夫だ
エンジンを切って本当に良かった
悟性にヤハジエルが来てくれたら
ではなくて
絶体絶命と思える時に
半分推測かなあ
施設からの叫び
ゲンタマイシンでは効かない
多くの場合 誇りが関係していました
農作業の服装が分からない
畝を作らずいつも畑に突っ立っていた老人
ポーズをつける八重洲のホームレスの男に似ていた
戦争中に作る野獣の平和のように退行してみせる
振り返ってみるとそれが私達に辿り着いたのだと
握りしめる右手指1㎠に2500のセンサー
天に行ったらジェノサイドにぶつかる運命(さだめ)
さびしくて涙が出ました
財産処分は人それぞれだが
まだ働いている70代女
やましい気持ちを抱えないで済みます
注意を払いさえすれば
炎症は無くなる
鳩ラップで頷く
慢性痛にとって疼痛は快となる
ひとりになって
風に吹かれている
最後までビデオは切らなかった
「悲しみの谷をあなたと抜けて
喜びの丘をあなたと歩く」
#poetry #rock musician
電車で1時間半も離れた知らない町で
名字の違う家に住むことになった
知ってる人たちから離れ知らないものに取り巻かれて
社交的な性格でも器用なタイプでも物覚えがよくもないのに
彼が住んだこの知らない町の彼と違う名字の家はもうなかった
平たい駐車場になっていた
道を挟んでその向かいは延々と続くバリケードで
中は見えない
高いクレーンだけが頭を出してる
空高く高くのびている
そしてなにかを吊り下げていた
黄色っぽいなにか お弁当箱みたいな
ぷらんぷらん揺れていた
一体何十メートルあるんだろう あんな高いところに
その高いところに 他になにもないところになんの用があって
空中に吊るされているんだろう
クレーンは動いていないのにそれだけが揺れてて
もがいてるようにも見えたし
踊ってるようにも見えた
鳴らない楽器のようにも見えたし
内臓が出たネコの死骸のようにも見えたし
爆弾のようにも見えたし
私のようにも見えた
私だった
バリケードの内側では138戸(邸)の巨大プロジェクトが進んでるらしく
バリケードにはそのまだ存在しない未来の邸のリビングで
架空の家族が暮らすイメージパネルがでかでかと取りつけられていた
顔に西日があたって熱く
体を揺するけど高すぎてどうすることもできず恐くてめまいがして
クレーンだけが頼りだった
知らない町のうんと高い高い空中で
親兄弟でも友だちでもないクレーンだけが頼りだった
誰とも遠いところにいて
私だけが小さくて
物覚えが悪くて センスがなくて 場が読めなくて
それから クレーンが動きだし
少しずつ私は近く大きくなり
色とか形とか肌目とかが見えてきて
ああそっか、これ…、と正体がわかり(バレ)かけたけど
バリケードの高さまで来ると見えなくなり
それからすごく大きな ギエ!という怖い音がした
延々と続くバリケード
若めの女性、赤ちゃん、中年ぽい女性、よくわからないたぶん男性、
はっきりしない人たちが
表情とかなくて ぼんやりしてて
服装も地味で おとなしそうな人たちが
パネル上で暮らしている
なにかしてるわけでなくただいるだけで
だから暮らしてるんじゃないかもしれない
家族ですらないかも
ゴージャスなできたての(実はまだできてない)高級マンション
その一室で 後ろ向きに腰かけて
来年7月には終わる、不要になる人たち
壊され、むしられ、化けの皮を剥がれる人たち
だから顔が(正面)ないんだなと思った
それともこのまま別のところで使いまわされるクリアホルダーみたいな人たちかもしれない
電車で1時間半かけてやってきて
来てみてら本屋や魚屋さんがあるなんかあったかい懐かしい町で
ゆっくり歩きたくなる町なのでゆっくり歩いて
彼ん家(名字は違う)がなくて平たい駐車場とバリケードとクレーン、パネルに行き当たって
なんだか寂しくてしょうがなくて
どこに帰ればいいのかわかんなかった
(4月某日、板橋区上板橋2丁目で)
大海原に 抱かれながら
不思議な夢をみていた
花びらが 一枚一枚
風に 流されて 舞い散る
川面に 揺らぐ
妖精たち
音も聴こえずに
何ひとつ 発することもなしに
たおやかに 沈んでゆく
夢から覚めたとき
わたしは 一片の生を片手にして
目をそっと あけた