Claudio Parentela
おとといかな
こだまに
乗る
東に上るときは
いつも
こだまだった
こだまは
全部の駅に停まる
駅を発つ
そのとき
景色は
ゆっくり流れる
由比の海を見る
トンネルの切れ目で一瞬
海を
見る
おとといは
灰色の海を見た
空の色を映していた
聖蹟桜ヶ丘の駅に向かっていた
中学の頃か
新川さん*の編んだ本を持っていた
「愛の詩集」
だったか
数年前
施設から
葉書をもらったことがあった
あなたの名前は
両面を焙って手で割きながら酒の肴にしたら
美味しいだろうな
腰を痛めて
ここでは月を見ていない
緑は私の一番好きな色です
そんなことが
書かれていた
空に白い月が浮かんでいた
* 新川さんは、詩人の新川和江さんのことです.
#poetry #no poetry,no life
下唇を突き出した
気に入らないことがある時のコミヤミヤのサイン
こかずとんはまだお昼寝中だがコミヤミヤは覚めてしまった……
観音様みたいだった頬っぺの線が硬くなってしまった
見守ってくれてるかと思いきや
ああ、かずとんパパはテーブルに座って読書に夢中
ここでウィェーンと声をあげれば
かずとんパパは慌ててこちらにやってくる
「ウィェーン、ウィェェーン、イェェーン」
ほうら、本を放り出して椅子から立ち上がった
かがんだぞ、腕を伸ばしてくる
抱っこだ、抱っこ
しかも縦抱き、お腹がパパのお腹とくっついて気持ちいいー
ところがところがかずとんハパパ
どうしても続きが読みたいらしい
お部屋をぐるぐるしてるうち
ちょっと目をつむってみたら
途端にマットに向かってそろーりそろりと下降
寝かせる気だな
そうはさせるか
下唇突き出してやる
そうら
びくっとした
目をぱちくりさせて
タテタテ抱っこし直して
またお部屋ぐるぐる思案中
おっ、宙を見上げた
なんかいいこと思いついたか
抱っこ紐を取り出して
下唇突き出てるコミヤミヤをそおっと押し込む
コミヤミヤのお腹
かずとんパパのお腹
お腹とお腹がくっついた
そのままテーブルに移動
抱っこ紐のコミヤミヤと向かいあったまま
かずとんパパは読みかけのご本を開きます
突き出した下唇、ゆるゆる引いて
静かな眉とふっくふっくした頬っぺたが復活
観音様コミヤミヤ
タテタテ抱っこ紐に包まれて
あったかい、おやすみなさい
夕方に
行った
今日も
行った
マリーナ横の
夕方の
海の
ゆらゆら
揺れてる
見てた
ゆらゆら
ゆらゆら
揺れている
すべての青い波は揺れている
すべての青い波が揺れている
夫婦の釣り人ふたりは昨日もいた
ふたりは並んで釣っていた
釣り糸を垂れ
撒き餌を撒き
黒鯛を
狙って
いる
揺れてる
浮のまわりの
ボラたちの
腰を振っている
平たい唇で餌を吸っている
青い波の
暮れて
群青になる
ゆらゆらの波の群青になる
ゆらゆらの海の群青になる
#poetry #no poetry,no life