広瀬 勉
東京・杉並高円寺北。
そこに
いた
ひかりは
射していた
祠のまえに
ござをひいて
すわって
いた
笑って
いた
牡丹の紅い花が咲いていた
母も
沖縄で死んだ
叔父さんも
笑って
いた
祠の横には
泉があり
山椒魚たちが
泳いでた
そこで産まれ
帰る
そこに帰る
今朝
神田で朝日が昇るのを
見てた
多摩川でも
樹木のなかに
輝いて
いた
そこにいた
電車のなかでは
悲愴と
バードの
パヴァーヌとガイヤルドを聴いて
帰った
むかし
戦争があった
いまも戦争がある
ヒトの
バランスの向こうに
おととい
大阪から帰って
ビールを飲んで
ねむった
それから
海をみた
のか
空をみたのかな
突堤をみた
波が光るのをみた
世界の果ては
平らで
この世の時間がない
深夜に
ブラームスのピアノを聴く
晩年の118-5
この世の果ての唇に触れた