いつだったか
平川典俊の展覧会で
光るアスファルトの写真をみた
ひくい場所で
光っていた
たぶん早朝の路上で
女の子に小水をさせて
それを平川くんは写真に撮った
女のコたちからは
嫌われるだろうな
汚らわしいもののむこうに
ひかるものはある
いつだったか
平川典俊の展覧会で
光るアスファルトの写真をみた
ひくい場所で
光っていた
たぶん早朝の路上で
女の子に小水をさせて
それを平川くんは写真に撮った
女のコたちからは
嫌われるだろうな
汚らわしいもののむこうに
ひかるものはある
映画では平原がひろがっていた
水に身を投げて死んだ父の
書斎には本が並んでいた
父は本と煙草と
ウィスキーを手放さなかった
父はインディアンの家政婦にエリオットの
詩集を渡した
オクラホマの平原はどこまでも
ひろがっていた
いま新幹線は熱海を通過しました
わかいころは
船大工だったそうだ
そのヒトは
九州まで転々として
晩年に
田舎にもどって下駄をつくる
職人になった
下駄を削ると
カンナ屑がうまれた
そのカンナ屑に詩を書いた
そのカンナ屑に詩を書いた
きみにカンナ屑をあげよう
深夜の街を
歩いた
ところどころ
意識は途切れていた
途中
コンクリートの電柱に顔面をぶつけた
のだったか
眠っていたのか
そのヒトに
手紙を届けにいく
腹の底から笑ったっけなあ
そのヒトは
白い歯で
月を見上げることも
無かったよ
水が揺れているのをみた
波が
打ちよせていた
くり返し
打ちよせていた
女のヒトの
むこうに女のヒトがいた
別のヒトなのに
女なのであったろう
均質のなかに
同一の部分もあったろうか
ヒトも
波もおなじではなかった
死者を数えるのはやめろ
夜中に
桑原正彦の絵をみていた
深夜に目覚めたんだ
醜い女の絵をみた
ピンクの花を抱いた少女の絵もみた
それから
天上の広場を歩く全裸の少女の絵をみた
女というのが
実はわからない
この世に
ほんとにきみはいるのかい
きみの名は仮の名前なのかい
土曜の夜に
電話をもらった
桑原正彦だった
体調を心配して
電話をくれた
すこし
桑原くんと絵のことを話した
あれほど
天国的な場所に到達してきみは
どこへ行くの
これからきみはどこへ行くの
もう
ない
もう
この地上に戻るしかない
テトラポットを
波が洗うのを見ていました
いつまでも見て
いました
昨夜
桑原くんは電話で言いました
ペラペラなものの向こうに
別の景色が見えることもあると
言いました
遠く
水平線と空の間は霞んでいました
海と空は
別の場所に在るのでした
どうなんでしょうかね
ひとりぼっち
なのかな
さびしい
のかな
どうなのかな
わかりません
どうなんでしょうか
空のむこうや
海のむこうや
林のむこうや
そこには
誰もいない
どこにいるの
いまなにしているの
きみは
アサ
小鳥がないています
昨日は一日
雨が降っていたのです
雨は
山や崖や平野に降って
それから
海に流れていきます
そこでつかのま
安定して
しずかに揺れています
ないだときもうねるときも
揺れて
海のむこうや
空のむこうや
林のむこうや