sad 悲しい

 

今朝
電車で

シフの
モーツァルトの

ピアノ曲を
聴いた

楽興の時だったか

なぜ
モーツァルトは

風が旋回するピアノ曲を作り

ヒトは
聴くのか

満員の通勤電車で
揺られて

聴いた

車窓の向こうに
景色は流れた

悲しい
わけではなかった

 

 

example 例

 

春は
過ぎる

春には

過ぎるもの
たちが

いる

風は過ぎた
花も

友も過ぎた
母たちも過ぎていった

たとえば
世界は

過ぎ去るものと
包むものでできている

ひとつ

泪を流して逝った
ことばは無かった

花々の中の蝋の

母の
白い手に触れた

 

 

 

fond 好き

 

いつも
車窓から

景色をみる

新幹線の
車窓から

景色が流れるのを
みる

景色が
好きなのか

景色が
流れ去るのが

好きなのか
どうか

ただ
みてる

流れ去る世界の景色があり
流れ去るものをつつむ世界がある

これを
好きというのか

ただ見てた

 

 

 

own 自分自身の

 

朝になる

障子をあけると
窓の外に

西の山と
軒下の

白木蓮のしろい
花が

見えた

窓辺には
桑原正彦の

子鹿の絵葉書がある

子鹿の向こうに草原が
ひろがり

遠くに
白い山脈が見える

いまハクセキレイが
鳴いた

西の山の上に灰色の空がある

 

 

 

beat たたく 打つ

 

詩を三つ残して
逝った

坂の上の家
いのり
生きる  ※1

最後に

ときには暴力的に
境界線上にいた人びとも引き裂いて
心たちのすみかをつくる  ※2

と書いた

だから俺は叩く
だから俺は何度も叩く

花は咲いた
川は流れた

ヒトはいた

心たちのすみかに

 

 

※1:渡辺 洋さんに浜風文庫は三つの詩を寄稿いただいた。

浜風文庫:渡辺 洋さんのページ
https://beachwind-lib.net/?cat=26

坂の上の家
2015年1月29日
https://beachwind-lib.net/?p=4762

いのり
2015年2月4日
https://beachwind-lib.net/?p=4842

生きる
2015年2月20日
https://beachwind-lib.net/?p=4987

 

※2:渡辺 洋さんの詩「生きる」から引用しました。

 

 

 

hole 穴

 

母の
腹から

産まれた

憶えてないが

空白から
産まれたのではない

母は
絹といった

一人娘で

兄は
沖縄の戦争で死んだから

苦労もした
水をはった田圃に

屈んだ母の
姿を憶えている

空白から産まれた
のではないが

そこに
帰る

笑っている