昨日は
浅草のしぶやで飲んだ
荒井くんは
白子ポン酢をうまいなといって食べた
それから荒井くんの
駒形の新しいアパートまで歩いた
荒井くんの部屋では
ボーズのスピーカーで戸川純を聴いた
また恋したのよと歌っていた
生きてる意味なんてないのよと歌っていた
昨日は
浅草のしぶやで飲んだ
荒井くんは
白子ポン酢をうまいなといって食べた
それから荒井くんの
駒形の新しいアパートまで歩いた
荒井くんの部屋では
ボーズのスピーカーで戸川純を聴いた
また恋したのよと歌っていた
生きてる意味なんてないのよと歌っていた
磯ヒヨドリは
なにも持たないだろう
カモメも
なにも持たず翼をひらくだろう
流転のなかで
そのヒトは逝った
そのヒトは流転そのものとなった
御影石に
薔薇と秋桜の花を刻ませた
田圃の向こうに生家がみえた
青空にぽかんと白い雲が浮かんでいた
昨日は
加藤さんと会食しました
加藤さんは
美しい
加藤さんには男の汚れがみえない
能を愛する
クラシックを愛する
たぶん奥さんも愛する
加藤さんと
ぼたるさんのことを話しました
最後に神田の改札で見送りました
片手をあげて加藤さんは帰っていきました
今朝
夢から醒めて夢のなかに目覚めた
シロツメクサが咲いていた
花の名を呼んだ
花の名を呼んで泣いていた
美しい少女だった
それさえ幻影なのか
少女は相対的には美しかったと
雲雀が鳴いていた
空高く雲雀が鳴いていた
雲雀は見えない声で鳴いていた
名を呼ぶ
花の名を呼ぶ
流転のただなかで花の名を呼ぶ
タマスダレの
白い花が咲いていた
片隅に咲いていた
その花をとどめなさい
その花をとどめなさい
花の名を呼びその花をとどめなさい
胸を裂き花の名を呼びなさい
胸を裂き花の名を呼びなさい
フランソワーズ・アルディーのレコードを
広瀬さんはかけてくれた
フランソワーズ・アルディーは
さよならを教えてを歌った
もう森なんかいかないも歌った
万物流転のただ中で
フランソワーズ・アルディーは歌った
花を歌った
花それ自体を歌った
花それ自体を歌った
ねむっていました
ヴァルハの
パルティータを聴いていたのです
夢のなかに
タマスダレの白い花が咲いていました
プラトンは真顔でいいました
花々のなかの実在の花として生きよとプラトンはいいました
なすびの花もプアプアの花も
咲いていました
そこに咲いていました
ギーゼキングの
パルティータを聴いています
第2番ハ短調にさしかかったところで
現れているんですね
そこに
断崖があり風があり林が揺れ
シンフォニアから
アルマンドにうつったところに
ひとりのバッハがいます
ひとりのバッハが見たものがいます
地上にあるもの
詩は地上にあるもの
地上にないもの
詩は地上にないもの
あるものとないもの
あることとないこと
そのあいだで
昨日の夜
フランソワーズ・アルディの歌を聴いたよ
広瀬さんの店で
フランソワーズ・アルディの歌を聴いたよ
果てしない道を帰った
うつくしいものはある
むねがはりさけるほど
うつくしいと思えるヒトもいる
かつて
こどものときに
知っていたのだろう
うつくしいとは何かを
知っていたのだろう
懐かしい場所を
むねがはりさけるほどに
むねがはりさけるほどに