ないないない

 

辻 和人

 
 

お皿がない
お茶碗がない
花瓶がない
本厚木にある母の店「花甕(はなかめ)」
ぼくが小学6年の頃から始めた陶磁器の店だ
こないだ来た時はまだそこそこ品物あったのに
ガラララーン
漆器とか置いてごまかしてる
創業45年
ずっと一人で仕切ってた
遂に閉店かあ
「お母さん、売れちゃったねえ、棚スカスカだね」

「いやあ、9月に年内で閉店ですって看板出したら
お客さん、来るわ来るわ。
コロナで閑古鳥だったのに
いきなり売上げ3倍以上よ。
慌てて倉庫に寝かせてたもの引っ張り出したんだけど
日用品は全部売れちゃって。
みんな惜しんでくれてありがたかったわぁ。
昨日は10年ぶりに千葉から足を運んで下さった方がいて
有田焼の刺身皿の良いのを買って下さってねえ。
話し込んでいたら涙ぐまれてしまってねえ。
でも、こればっかりは仕方ないよねえ。
お母さんもうトシだしお父さんも病気がちだし
どこかでケリをつけないとねえ。
でも、昔からのお客さんと毎日お話できて楽しいわぁ」

80過ぎた母が興奮気味
有田焼なんて不要不急のものだから
普段つい足が遠くなってしまうけど
店がなくなると聞くと俄然気になる
欲しいものあったはず
買いに行かなくちゃ
しばらく顔見てない
店主のおばあちゃんに会いに行かなくちゃ
連日大賑わい
あ、お一人様ご来店
「いやあ、この間買ったブトウの絵のパスタ皿家でとっても評判いいんですよ」
60過ぎくらいの上品な女の人だ
「そうでしょそうでしょ。
有田も洋食に合う器に力入れていてお洒落なデザインのがいっぱいあるんですよ」
「息子が結婚したら引き出物にいいかななんて思ったんですけど
その時は花甕さんもうないんだって、寂しいですねえ」
お皿がない
お茶碗がない
花瓶がない
のに
お喋りはある
笑顔はある
貰い物だけどどうぞのお饅頭はある
ぼくには目もくれず
何にも買わず
お茶飲んで饅頭食べて
はい、お帰りになりました

外まで出てお見送り
ちょっと曲がってきた立ち姿、それは
経営者そのもの

月並みな言い方だけど
つくづくこの店は母のお城なんだなあ
高校出たきり結婚して
内職しながらぼくたち育てて
家建てて、あ、お金足りない
どっかのスーパーにでも勤めれば気が楽なものを
佐賀出身だしやってみたかった焼き物の店を開くって大決断
店舗の作り方もわからない
仕入れの仕方もわからない
帳簿のつけ方もわからない
のに
さっさと物件を見つけ
さっさと品物を注文し
さっさとレジを打ち
時はバブルへ
高額のお皿や花瓶が次から次へと売れまくって
父の給料プゥーッと追い抜いた
のに
海外旅行もせず服も買わずレストランにも行かず
店閉めるのは元旦と仕入れ旅行の日のみ




風邪ひいて高熱が出ても

倉庫に毛布敷いてぐてっとしながら仕事、って父から聞いたんだ
ぐてっ
経営者、経営者
これぞ経営者の
寝姿

おっと他のメンバーも到着
父、姉、妹、甥っ子に姪っ子
実は今日はちょっと早めの母のお疲れ様会なんだよ
ちょっくら花屋に取りに行ってくるか
さっき赤バラ買い占めちゃった
花屋では他のお花も混ぜましょうかと言われたけど断固拒否
そしたらチーフらしき人が出てきて
お祝い事ですか、と聞かれたから
母が店を閉めるのでその慰労です、って答えたら
「わかりました、倉庫にあるもの全部出してきます、30分でお作りします」
書店街から店まで気恥ずかしい気恥ずかしいと運んで
今ドキなかなか見ない赤バラのでっかい花束
やりますかね
杖ついた父がよろよろ母に近づいて
はい、チーズ!
希代の経営者に
花束贈呈
じゃあ、今度はみんな一緒に
父、姉、妹、甥っ子に姪っ子
お皿がない
お茶碗がない
花瓶がない
ガラララーンな陳列台を前に
経営者にっこり
はい、チーズ!
「ありがとう、ありがとうね。
45年頑張ってきてホントに良かったと思うわぁ」
白くなった頭を何度も下げる
遠巻きにしていたお客さんも思わず拍手
お疲れ様、お疲れ様でしたぁ

打合せ通り次のプログラムといきますか
「それじゃお母さん、前に知らせた通り、
これからウチで慰労の食事会やるから。
いいトコのお寿司とってあるよ。
今日はこの辺でお店おしまいにしてね」
と姉が促したら
「ああ、悪いんだけどね。
今日はやっぱり一日お店にいることにしたから。
だってお客さんみえるでしょ?
せっかく来て下さったのにお店閉まってたらがっかりなさるでしょ?
ね、お寿司はみんなでわいわい食べて下さいな。
お母さん、もうひと踏ん張りするから」
ええーっ

お皿がない
お茶碗がない
花瓶がない
されど
高級品ならまだ残ってる
唐草模様に大胆な曲線を描き加えた鉢7万7000円とか
中東っぽい鮮やかな色の孔雀が描かれた大皿33万円とか
ものすごく早い時期から注目して買い付けた
後に文化勲章を受けるに至った青木龍山作の漆黒の花瓶「非売品」とか
45年はまだ終わらない
ないないない
終わらない
全くね
経営者って奴
終わらないわぁ

 

 

 

ラ・ツーダ・デイズ 02

 

今井義行

 
 

ある日 突然脚が痙攣して歩きづらくなった
家でも 外でも 両脚が 絡まり合って 転倒 転倒 転倒・・・!!
昨日は買い物をして 両手が塞がった状態で
歩いていたら 玉砂利に脚を取られて転倒した 顔から出血 痛いッ 痛いよッ 
玉砂利に 顔から溢れた血が 広がっていった

わたしは 精神疾患が 重くって
ラツーダという特効薬を 3錠服用していた

そこで わたしは 心療内科の主治医に
相談して みたんだよ──

「なるほど 脚が痙攣して 歩きづらくなったわけだね
よし 試しに ラツーダを 1度 切ってみよう」
「ラツーダ」というのは 新しい 向精神薬
それは キモチを引き上げてくれる クスリ
どのような出来事が起きても ハイになれる

「ラツーダ」と いう名前の向精神薬に
「なかぐろ」を 入れて
「ラ・ツーダ」と歌えば ハイになれます
「ラ・ツーダ」って ラテン音楽みたいな
響きでしょう?

ホラッ トランペットが 興奮してます
ホラッ パーカッションが 興奮してます

ささやかな出来事しか起きていないのに
嬉しさに変わってしまう不思議なクスリ
の はずなのに・・・
わたしは 特効薬のラ・ツーダを 切る事になったんだ

そうして主治医は言ったんだ
「もしかしたら パーキンソン病を患っている可能性もあるねえ・・・」
パーキンソン病は 脚がだんだん痙攣していく病気 最後には車椅子になるらしい
1人で暮らしているわたしは暗澹としてしまった
もし そうなったら どのように 暮らしていけばよいのだろう・・・?
脳の病気らしいのだけれど原因はまだ解っていない そういう難病である事は知っている

ラ・ツーダは 新しい 向精神薬
それは キモチを引き上げてくれる クスリ
どのような出来事が起きても ハイになれる

「ラツーダ」と いう名前の向精神薬に
「なかぐろ」を 入れて
「ラ・ツーダ」と歌えば ハイになれます

「ラ・ツーダ」って ラテン音楽みたいな
響きでしょう?

ホラッ トランペットが 興奮してます
ホラッ パーカッションが 興奮してます

ささやかな出来事しか起きていないのに
嬉しさに変わってしまう不思議なクスリ
の はずなのに・・・

わたしは 特効薬のラ・ツーダを 切る事になったんだ

就寝前に 服用してきた ラ・ツーダ 3錠
そんな日々を わたしは ラ・ツーダ・デイズと 呼んでいました

ラ・ツーダ・デイズでは
毎日 ものごとを 上向きに 感じては
毎日が 嬉しい 事ばかりに なるんだ

ラ・ツーダ ラ・ツーダ ラ・ツーダさん
わたしは あなたを 信頼していたんだよ

両脚が 痙攣して 怖れに 震えてしまう
「ラ・ツーダ」って 何だか
ラテン音楽みたいな名前なのに
パーキンソン病の疑いがあるなんて!!

わたしは 新しい向精神薬で いつまでも
嬉しすぎる ヒトに なれて しまうはずだったのに・・・

就寝前に 服用する ラ・ツーダ 3錠
そんな日々を わたしは ラ・ツーダ・デイズと 呼んできました

ところがだ
ラ・ツーダ3錠を切ってみたらね
なんということ・・・・・!!
なんということ・・・・・!!
両脚の痙攣が 収まってきたんだよ
普通に 歩けるように なってきたんだよ

これでパーキンソン病の可能性は消えた!!

ラッキー!!

ところがだ ね
普通に 歩けるように なったものの
今度は 精神疾患の症状が
首を もたげてきたんだよ ねえ・・・

主治医がふたたび わたしに言ったんだ
「歩けるようになってきたから ラ・ツーダ もう1度 投薬してみようか?
3錠から 2錠に減らして・・・」

えー・・・!!

「先生 そうしたら また 脚の痙攣が 始まってしまうのではありませんか?」
「そうかも しれないけれど 試してみる価値はあるね」

ああ せっかく 脚の痙攣が収まったというのに・・・

ラ・ツーダ ラ・ツーダ ラ・ツーダさん
ラ・ツーダ ラ・ツーダ ラ・ツーダさん

ラ・ツーダさんの 大バカヤロー!!
ラ・ツーダさんの 大バカヤロー!!
オレを 振り回すんじゃ ねーぞ!!

今度オレを痙攣させたら タダじゃおかねーーぞ!!だって あなたは 天使でしょ??

ラ・ツーダさん あなたは 精神疾患を やわらげる おくすり なんでしょう 
ラ・ツーダさん わたしを 何とかして ちょうだい よ!!

そうして ラ・ツーダ2錠 服用してみたら
脚の痙攣は出なくなって 精神疾患も 和らいできたって わけなんたよ

ラッキー!!
ラッキー!!

やっぱり ラ・ツーダは わたしを 天国に導いてくれる天使だった

 

 

 

小川のほとりで

 

白鳥 信也

 
 

小川のほとりで暮らした日々を思い返す
おだやかに降り注ぐ陽射しと
水の匂いを

いつも釣り糸を垂らし
夏の暑い日は小川に足をひたし魚たちを驚かせたものだ
夜になればカエルたちの鳴き声が響き続け
専属の交響楽団だって笑い飛ばしていた

小川のほとりには野ゼリが茂り
夕飯時になれば
セリを抜いて湧水で洗い
野生の香りごと味わったし
水底の小エビを網ですくっては食膳に並べたものだ

そこでゆっくりと死んでいきたい
そんなほとりの日々
戻れるものならあの頃に
男はそんなことを薬臭い病室で告白した

死んだ男の過去の時間には
水のほとりで暮らした日々はみあたらない
出入りの多い魚屋の裏で育ち
生臭い風が休みの日でも吹いていて
ハエの多い家だった
奥には農機具の工場があって
昼夜を問わず農機具のエンジン音が響いていた
生涯を事務机のうえで
最初は算盤でのちには電卓を叩いて過ごした

生の火花をやさしく包みこんだ
水のほとりの日々を俺も思い返す
群生する野ゼリの茎を朝露がしたたりキラキラと輝いている
小川の底ではタガメが小鮒に抱きついて血をすいとり
タガメも小鮒もまどろんでいる

 

 

 

粦(リン; 鬼火の連なり)

 

工藤冬里

 

鯖の青で希望を包み
池の中から夕暮れを見た
人っ子一人いない風景は
未来のためのロケに使えそうだ
郵便配達夫の息の障害は
未知の記号を皮に書かせた

Esfuércense vigorosamente
https://twitter.com/_YukioHakagawa/status/1469820618602610691?s=20
BBCで虫に感情があるという記事があったがゾウムシを沢山水没させたばかりだったので怖くてよう読まんかった
リスのうどんのメニューを見上げている夢を見て目が醒めた
冬の映画といえばwinter bone、冬の小説といえば凍(いて)、冬の(乾いた)道といえばノエミさん
▶︎ The Dry Path | noemienours
https://noemienours.bandcamp.com/album/the-dry-path/

子供を産んで戻ってきたのか
寝間着で画面offにしてるという噂を立てられて
語尾砂漠に建てられた幸福の楼閣
知らない飲み物
捉えにくいものだ、という喜びは
遮眼革を付けて走る
物を入れたまま売る容器
狭められることでオブジェとなる
内径が縦横深さの喜び
喜びを産んで戻ってきたのか
印象派の影はむらさき
戦前の子らにも教えられていた
教えられた者達の舌がトートロジーとかトートバッグとか
エジプトの月と時と文字の神トート
頭がトキだけに
トキには母がない
武蔵には子がない
曇りでそんなに寒くはない
喜べ喜べと教えられている
本当の懺悔とはなにか
アハブは自己憐憫から泣いただけだったがマナセは悲しみを行動に表した

テンペストの最後に黒人歌手が出てきて歌うシーンがあり、度肝を抜かれたことがある。ベイシーのsee you againとかソドムのラジオとか、有終の映画には最期に出来ることがある。それを希望と勘違いしてはいけないけれど、兎に角律儀に時系列を追うのはやめろ。死刑囚達は時間に飽き飽きしているのだ。

個人間と国家間の領土契約気持ち悪い
土地の再分配気持ち悪い
境界線気持ち悪い
人の土地気持ち悪い
所有欲気持ち悪い
居場所ない

わけのわからないアンファンテリブルたちの圧倒的な新しさが、世のやさしい窪溜まりに落ち着いていくのを見てきた。突き詰めていればぶつかる矛盾点なんてどこからでも同じなのに、一歩引いて型に嵌ろうとするのだ。それを大人になることと勘違いしてはいけない。脳が敗北しただけだ。

習ったらお仕舞いだし移動してもぶつかるだけだし練習しても死ぬだけだ
https://twitter.com/zappa_bot/status/1470159839855017984?s=20/

本の轍の向かいの猫カフェ、覗いたらハチワレばっかりで16匹くらい居た
大人しいから扱いやすいのだろう

僕は行けない
どこにも
地上には
グリーンパスなしで入るところが無くなった
ゼンメルヴァイスでやっていけなくなったセリーヌ

5歳の頃組内のお日待ちで手をぶらぶらさせるモンキーダンスを踊ったことがある。山岸君の結婚式でも演奏していた。それから何十年も経ち一人死に、最近また一人死んだがそいつのボーカルだ。アノラック風の複雑な単純化と繋がった晩年のこのカヴァーをケイトも好きだと言った。
Me and Magdalena
We’re driving south through Monterey
As the sun is slowly sinking
Into a distant ocean wave
And I don’t know if I’ve ever loved any other
Half as much as I do in this light she’s under
https://youtu.be/FfruDTmFDUA/

崔実『pray human』(発=講談社)
ジニのパズルの次は精神病棟の話
表紙は有村佳奈

古井 由吉『われもまた天に』 (発=講談社)
未完の絶筆の最終行は
「自分が何処の何者であるかは、先祖たちに起こった災厄を我身内に負うことではないのか。」

差し入れいただきました

ミソジニーとミサンドリーがくっついて未酸素死に鳥

流れ星屑に願いを落とす屑

炭水化詩
COp
削減

シフォンとオグと資本ケーキ

いきなり電車とかだと生きてる方がおかしいので夜と朝とのスペーサーが必要
耳鳴りをクッションにして生きてる方がおかしいと絶叫する朝の電車の軋みを消す
https://youtube.com/shorts/hYsZJPL4zjU?feature=share

ラリーズがズラリ

πάνταἰσχύω
ἐν
τῷ
ἐνδυναμοῦντί
με.

僕は昔床大工だったのですがウッドカーペットの補修をしていたら祖父の油絵みたいになってしまいました

銭湯で肌色を調合して相手の肌に塗るワークショップをやっている人がいました

砂原と柾木まで出てきて完全にA-BOUT!だが皆似た顔なので朝霧に負けたけど友達になった奴らという以外どんなキャラだったかよく思い出せない

は、肌だ、だはは
禁煙延期
カリーカヒミ光りカヒミ光りか⁉︎

こう並べ!ジェンダジェンダダジェンダジェンダジェンジェンダ
これはバズると思ったがジェンジェンダった

めずらしく正しいあるある父さん
https://twitter.com/ArtaudbotJP/status/1470950200173031425?s=20

12月16日という物体の切れ端

雨さえ腐ったら
16日が言い返したりはしない
王族になることは断わり
ミラーリングには画像を切って
床擦れの身軀を旧詞で操作する
雨夜の眉毛
火を点けぬ丸いストーブと
苗字を変えぬ復讐
なんて書いてありますか
なぜ理解できなくても何度も知らせるのかとおでこに言われたら
強さとは依存の強さだとイカのように答える

コロナ飲み薬はあります
これはバズるとおぼったのだがおぼかった

まずいうどん屋のようにきみは死にたい
金の夕陽が顔を炙る
年末まであと何ギガ
八尾の狐も焦がす農薬

石川良子『ひきこもりから考える』(発=ちくま新書)
言葉に出来ない訴えを掬う大文字一を想定せざるを得ない事態だが良子さんはそれを社会学に事寄せてつらつらと書き綴ったのだった。
どの学問分野からでも認知閾を明るみに引き摺り出し生きるか死ぬかの選択という存在論的核心に持っていけるが、社会学をフレームワークにしたからには「働く」という言葉に政経心理哲学を統合した学知の雨を降らせるべきで、動けないことへの共感の条には小泉政権時代を絡ませなければならないだろう。

ロックというと死んだり入院したりといった話題ばかりになっていくのが新しいフェーズだ。瞬間を生きてたんじゃなかったっけ?と突っ込まれそう。ミック・ジャガーとかそこら辺一番気にして化け物みたいになってくんじゃないかな。

ジャシンダがいることは日本と真逆のようだが対米中構造は一緒だ。移住しても同じような一波乱があるだろう。
ジャシンダに対する批判は、共産主義と「共産主義」を連結させる点で「分断」とは真逆であり、それはキリスト教と「キリスト教」を地続きのものとする刷り込みと似ている。そのようにして国家主義は希望に関する最終的な対立構造に向けて寄り集まる。

思っていたよりも少し余計に伸びる声に反応していたに過ぎない
パチンコ屋のネオンの真っ直ぐなピンクが空に照り返す顔を上げて

https://twitter.com/_YukioHakagawa/status/1472342342703382528?s=20/

音が霙
雨より麺が太い
読み書きは大事
パンデミック中の時間を有効に活用しよう
付与されていた自由意志を間違った仕方で使い
専心しているように見えれば良いというものではなく一番良いものを上げたいという動機が火事だった
ばかでかい葉が霙に撃たれて

粦(リン; 鬼火の連なり)
僯隣撛噒獜潾憐嫾璘橉轔(辚)暽膦燐磷瞵鄰䫰嶙驎(𬴊)麟繗蹸鏻鱗(鳞)疄㔂䗲䚏䚬亃粼甐斴翷遴

強い矯正は必要な処置
病気の羊を隔離
日が三角に射して

わたしゃなんとかイヌホオズキよという歌があったが忘れた

冬のユリ

 

 

 

#poetry #rock musician

アルデバラン

 

原田淳子

 
 

 

あなたは戻らない風
還らない雨
一度きりの季節

くぐもった灰色のコートを引き摺り
歩くたびに夜の幕を引いてく

瞬きのあいだに夜は重ねられ
あなたの不在を押しあげる

12月の赤い眼
全能の神の化身が髪を震わせて月を追う
燃える血のα
あなたの心臓

わたしは幹にしがみつき、
枯葉に擬態して生を凌ぐ

氷の朝
蹄で霜柱を踏む
軋む音
土の嘶き

12月
大団円の音楽が始まる
朝焼けと黄昏のスライドショー
最終の黄金の陽までつづく

凍りかけてなお
まだしがみついている
まだ死んではいない

赤橙の光だけがみえる

 

 

 

ゴシパラヤケル

 

白鳥 信也

 
 

伯母さんが来て父親に言う
職場の行事が失敗したのはあんたのせいだと上役に
さんざぱらかつけられた
ゴシパラヤケル
父親はそうくどきすな
見ている人は必ずいるもんだっちゃっと自分の姉に言う
小学生の僕は伯母さんの持参したバナナにかぶりつく
ゴシパラヤケル
腰と腹がやけるものなのか

伯父さんが来て父親に言う
昨日の晩に桃畑に泥棒が来て
桃をごっそり盗られた
ゴシパラヤケル
父親は柵がねえからまたやられるべと自分の兄に言う
中学生の僕はその夜
桃畑の番をさせられる
夏休みの気楽さで手伝うよと言ったけれど
からだじゅう蚊とブヨに刺される
坊主頭まで刺され
かゆくて我慢ならない
こんなとき
ゴシパラヤケル
と言うものなのか

父親の三回忌に出るため
仕事を休んで東京駅から東北新幹線に乗る
法事が終わって実家の茶の間で
リンゴの皮をむきながら母親が言う
おまえたちの父親も伯父さんも伯母さんも
生まれてから死ぬまでこの町にいたから
東京生まれのあたしには
わからない言葉だらけでさ
ようやくわかるようになったころは
みんないなくなっちゃったけど
いまでもゴシパラヤケルは使えない

その場では何も言えなかったけれど
東京で僕は
思わず口から出ることがあるんだ
こんなことされちゃごしぱらやけるって